その日は暖かい午後でした。伊勢佐木町の焙煎珈琲店に一人で「本日の珈琲」を飲みながら、呆けーっと街を行き過ぎる人を眺めていると、
入り口からピンクの小花のどてらを着た大柄なおじいさんと、小柄な口のよく回るおばあさんが入ってきて、私の隣のベンチに座りました。
おじいさんが珈琲をレジに注文している間に、おばあさんは席を座りやすいように、椅子の位置などをあれこれしつらえて、「こっち、こっち」とおじいさんを手招きしました。注文し終えたおじいさんに、おばあさんは盛んになにやら話しかけています。
「ここはよく来るの?珈琲よく飲むの?」
「来ん!いつもは缶コーヒー!」
おじいさん、何か怒っているのだろうか・・・
何を聞かれても、店中響くデカイ声で、断定調で、一言二言答えるだけですが、おばあさんも別におじいさんの答えを気にする風でなさそう。小鳥がさえずるように一人でしゃべっています。
それにしてもおじいさんが発する江戸弁の歯切れのよいこと、そして声のでかいことといったら!
ああ、これが江戸っ子というか、江戸弁なのか、別に怒っているわけではないんだなと感心して聞いていると、お店の若い女性が珈琲を運んできて「今日はまた素敵なお召し物ですね」とおじいさんに言いました。
おばあさんが「こういうどてらはクールっていうのよ」とおじいさんに話しかけると、
「そうか!くーか!」とおじいさんが復唱しました。
するとおばあさんが「ちがうちがう。クール」と直します。
おじいさんがまたまたバカでかい声で「くー!」と素直に言うと、おばあさんが「クール」と。するとおじいさんが「くー!」と応酬。
おじいさんの発音の方が英語に近いんじゃないかなあと思いつつ、これ以上いると、私も笑いが我慢できなくなりそうになり、帰り際にチラッとおじいさんの姿を見ると、一面に小花の散ったピンクのどてらを引っ掛け、頭にはすっぽりバンダナ風のニット帽をかぶったなかなかの美男子でした。
あれはいったいどういう関係?ご夫婦ではなさそうでしたが、英会話の先生と生徒かな。
入り口からピンクの小花のどてらを着た大柄なおじいさんと、小柄な口のよく回るおばあさんが入ってきて、私の隣のベンチに座りました。
おじいさんが珈琲をレジに注文している間に、おばあさんは席を座りやすいように、椅子の位置などをあれこれしつらえて、「こっち、こっち」とおじいさんを手招きしました。注文し終えたおじいさんに、おばあさんは盛んになにやら話しかけています。
「ここはよく来るの?珈琲よく飲むの?」
「来ん!いつもは缶コーヒー!」
おじいさん、何か怒っているのだろうか・・・
何を聞かれても、店中響くデカイ声で、断定調で、一言二言答えるだけですが、おばあさんも別におじいさんの答えを気にする風でなさそう。小鳥がさえずるように一人でしゃべっています。
それにしてもおじいさんが発する江戸弁の歯切れのよいこと、そして声のでかいことといったら!
ああ、これが江戸っ子というか、江戸弁なのか、別に怒っているわけではないんだなと感心して聞いていると、お店の若い女性が珈琲を運んできて「今日はまた素敵なお召し物ですね」とおじいさんに言いました。
おばあさんが「こういうどてらはクールっていうのよ」とおじいさんに話しかけると、
「そうか!くーか!」とおじいさんが復唱しました。
するとおばあさんが「ちがうちがう。クール」と直します。
おじいさんがまたまたバカでかい声で「くー!」と素直に言うと、おばあさんが「クール」と。するとおじいさんが「くー!」と応酬。
おじいさんの発音の方が英語に近いんじゃないかなあと思いつつ、これ以上いると、私も笑いが我慢できなくなりそうになり、帰り際にチラッとおじいさんの姿を見ると、一面に小花の散ったピンクのどてらを引っ掛け、頭にはすっぽりバンダナ風のニット帽をかぶったなかなかの美男子でした。
あれはいったいどういう関係?ご夫婦ではなさそうでしたが、英会話の先生と生徒かな。