「十勝岳のナキウサギ」
毎年のように上富良野町の吹上温泉の銀嶺壮に泊りがけで出かけていました。空気も良く景色も良いので我が家の愛する年間の行事としていました。
しかし、近年では襟裳岬行きが多くなり気持ち的に忙しくなって、吹上温泉に行きたい気持ちはあるのですがいつの間にか月日が流れ、「今年も行けなかったね」ということが多くなりました。
ある年の事、ナキウサギの写真を撮りに来ていた人と温泉で親しくなり、車がないのでナキウサギのいる場所まで行ってほしいとラビ妻に頼み込まれ、こちらもナキウサギをぜひ見たいと車にて同行しました。
そこは十勝岳の登山口の望岳台の近く、危険そうな橋を渡り、ナキウサギの住んでいる地域に行くのです。撮影地では結構なナキウサギが姿を見せ、いたるところからナキウサギの「キェッキェツ」「キッキッ」の鳴き声が聞こえるのです。
その時私は交換レンズの150ミリしか持ち合わせていなかったので、2本のフイルムを使ったのですが、豆粒ほどのナキウサギの姿しかキャッチできず、引き延ばしもあきらめてしまっていたのです。
それでも方々から聞こえるナキウサギの鳴き声に経験したことの無い自然界を感じたのでした。
その後、富良野岳の安政火口の登山道にて聞こえる鳴き声がナキウサギの声であることに気づいたのです。望岳台近くでナキウサギの撮影をしていなかったら、分からない事でした。
望岳台近くの橋は古くなり、今では撮影地まで行けなくなっています。
えりも町の豊似湖周辺にもナキウサギが居るとして撮影に来ている人が居ますが、その人たちに聞いてもその時は撮影に成功したと聞いておりません。
ナキウサギの生息地に案内して下さった方から、額に入れたナキウサギの写真が送られてきていて、我が家の廊下に飾ってありますが、驚いたのですが、この暮れ喪中のはがきが浦上さんの奥様から届き、今年亡くなられたとのことでした。ご冥福をお祈りいたします。
年とともに悲しい便りも多くなり、嘆かわしく思っています。