「尺には尺を」というお芝居を観劇してきましたよ。日曜日、19日のお昼の部です。
いつもシェイクスピア劇をやっている劇団AUNによるお芝居です。私はここの劇団の公演を見続けて4年になります。
サンシャイン劇場は前にも一度使われていたのですが、あのときは客席が舞台に、舞台が客席に…というとても変わった仕掛けで、異様な雰囲気の「オセロー」でした。今回は、左右に花道がせり出しているちょっと変わった趣向だけで、シンプルなお芝居だった気がします。
この「尺には尺を」って学生の時に原書で読んだきりで、長ゼリフなんてほとんどワケわからんかったのですが、実際にみてようやく、「あーこんなこと喋ってたのか」とわかりました。だいたい、ギリシアの誰とか天使とか女神とかを修辞で持ち出してるもんだから、ニッポン人(私)にはさらにわからない(笑)。当時の英国の大衆だってどれくらいついてこれたんだろうか。(たぶんついてこなくてもウィルはどうでもよかったのでしょう。)
でも、シェイクスピアのレトリカルな喋くりというやつは、いつも思うのですが、早口で言われるとなかなか頭に入ってこないんですよね。AUNのお芝居は、中心になって演じるのが若手(20代)の人だからか、熱が入るとものすごく早口になってくる気がします。とくにこの「尺には尺を」ではヒロインのおっそろしい長ゼリフがいくつもあって、私はその半分もついていけませんでした。まあ何を言っているか意味はわかるんですけどね…。同じことを色んな表現使って言いかえているだけだから…。でも、早口で何言ってるかわからなくなる、というのが、良いことか、悪いことなのかなぁ…。(でも、ヒロインの根岸つかささんは大熱演でした。もーかわいいったらない。台詞かんでても許す)
あとはやっぱり、この「尺には尺を」、作品自体が今ひとつ納得いきません。オチなんてとくに釈然としません。「君らこれでハッピーエンドのつもりか!?」みたいな。ヒロインのイザベラはまあいいんですが、浅はかな自分の命ごいのために妹の操を権力者に投げ出せという恥知らずな兄貴も、清廉潔白なふりして処女を我が物にしようとする公爵代理も、いい人かと思ったら最後にはヒロイン(尼僧志望の処女)に色目をつか…いやプロポーズする公爵も、とにかく誰のやり口にも納得できないのです。シェイクスピアがやっつけ仕事をしたのだと私は最初に戯曲を読んだ時に思いましたが、今回その思いを更に強くしました。うんそうに違いない。このAUN版「尺には」では、その釈然としないオチをあえてそのままにしていたのが面白かったです。皆が「よかったよかった、丸く収まった」と言っている間、イザベラだけが、神がおわします天をみつめて唇をきつく噛み、押し黙る。これは神が彼女に与えた試練であったのか、そしてこれからもその試練は(受難は)続くのか。ひとり楽天的でないヒロインの哀しげな表情で終わった、そんな幕切れが印象的な芝居でした。
で、この劇団AUNには私が愛して止まない本多菊次朗さんという役者さんが出ているのですが、この人がものすごく良い役だったのです。その役は、「典獄」。役名がないじゃんなんてバカにしてはいけません。物語のなかで唯一人間らしく、策を弄さず、お上から与えられた職務を全うしようと生真面目に苦悩しつつも自らの良心に従って行動する善良な男。この彼と、イザベラだけが、この納得いかない芝居を良きものに変えてくれていたような気がします。
ああ幸せ。好きな役者さんがいい人を演じてくれてるとなんかものすごく嬉しいです。
いつもシェイクスピア劇をやっている劇団AUNによるお芝居です。私はここの劇団の公演を見続けて4年になります。
サンシャイン劇場は前にも一度使われていたのですが、あのときは客席が舞台に、舞台が客席に…というとても変わった仕掛けで、異様な雰囲気の「オセロー」でした。今回は、左右に花道がせり出しているちょっと変わった趣向だけで、シンプルなお芝居だった気がします。
この「尺には尺を」って学生の時に原書で読んだきりで、長ゼリフなんてほとんどワケわからんかったのですが、実際にみてようやく、「あーこんなこと喋ってたのか」とわかりました。だいたい、ギリシアの誰とか天使とか女神とかを修辞で持ち出してるもんだから、ニッポン人(私)にはさらにわからない(笑)。当時の英国の大衆だってどれくらいついてこれたんだろうか。(たぶんついてこなくてもウィルはどうでもよかったのでしょう。)
でも、シェイクスピアのレトリカルな喋くりというやつは、いつも思うのですが、早口で言われるとなかなか頭に入ってこないんですよね。AUNのお芝居は、中心になって演じるのが若手(20代)の人だからか、熱が入るとものすごく早口になってくる気がします。とくにこの「尺には尺を」ではヒロインのおっそろしい長ゼリフがいくつもあって、私はその半分もついていけませんでした。まあ何を言っているか意味はわかるんですけどね…。同じことを色んな表現使って言いかえているだけだから…。でも、早口で何言ってるかわからなくなる、というのが、良いことか、悪いことなのかなぁ…。(でも、ヒロインの根岸つかささんは大熱演でした。もーかわいいったらない。台詞かんでても許す)
あとはやっぱり、この「尺には尺を」、作品自体が今ひとつ納得いきません。オチなんてとくに釈然としません。「君らこれでハッピーエンドのつもりか!?」みたいな。ヒロインのイザベラはまあいいんですが、浅はかな自分の命ごいのために妹の操を権力者に投げ出せという恥知らずな兄貴も、清廉潔白なふりして処女を我が物にしようとする公爵代理も、いい人かと思ったら最後にはヒロイン(尼僧志望の処女)に色目をつか…いやプロポーズする公爵も、とにかく誰のやり口にも納得できないのです。シェイクスピアがやっつけ仕事をしたのだと私は最初に戯曲を読んだ時に思いましたが、今回その思いを更に強くしました。うんそうに違いない。このAUN版「尺には」では、その釈然としないオチをあえてそのままにしていたのが面白かったです。皆が「よかったよかった、丸く収まった」と言っている間、イザベラだけが、神がおわします天をみつめて唇をきつく噛み、押し黙る。これは神が彼女に与えた試練であったのか、そしてこれからもその試練は(受難は)続くのか。ひとり楽天的でないヒロインの哀しげな表情で終わった、そんな幕切れが印象的な芝居でした。
で、この劇団AUNには私が愛して止まない本多菊次朗さんという役者さんが出ているのですが、この人がものすごく良い役だったのです。その役は、「典獄」。役名がないじゃんなんてバカにしてはいけません。物語のなかで唯一人間らしく、策を弄さず、お上から与えられた職務を全うしようと生真面目に苦悩しつつも自らの良心に従って行動する善良な男。この彼と、イザベラだけが、この納得いかない芝居を良きものに変えてくれていたような気がします。
ああ幸せ。好きな役者さんがいい人を演じてくれてるとなんかものすごく嬉しいです。
ワタシも観に行きました!19日の夜の部です。
初AUNの舞台観劇だったのですが、すごい熱演でいいお芝居でした。
できるならWキャスト共に見たかったなと思いました。
ちなみにサマソニ行きます・笑
しかもラーズ・TFC目的です。
ラーズはトリらしいですよ~。