走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

エキスパートとアドバンス

2020年07月24日 | 仕事

昨日の続き

Expert vs Advanced

おそらく日本の方の多くが看護の専門性にこだわり、大学院進学をその専門性を極める事だと思っていると思います。

専門性と言った時あなたはどんな事を専門と呼びますか?殆どの人が特定の医療分野の知識が沢山ある人と言うでしょう。看護学校の時には看護を満遍なく学び、就職後に派遣された専門分野を学び始める。そこで年数を重ねれば経験も積まれ、勉強会を通して医学的に知識も増えるでしょう。そこで10年働きました。しかしその後に全く畑の違う違う病棟へ移籍。その新病棟で看護師としてあなたはエキスパート?それともノービスNovice?どう考えますか?

看護師としては経験あるが専門としてはノービスへ逆戻りですよね。専門が変わるわけですから新分野の知識や経験が浅ければ仕方のない事です。エキスパートと言う言葉はその分野に付属するもので看護師個人全てを表す言葉ではないと私は思います。

では視点を変えて、看護は何なんでしょうか? 以前シリーズで書いた患者に寄り添う診療の補助行為、他にも沢山触れています。昨年のシンポ前のメッセージビデオで私が言っていたのは、看護を2つに分けるなら技術と理論。看護の業務は看護技術で、その技術の背景つまり背骨は看護理論。エキスパートは看護技術にかかわる言葉で、看護師としての経験は看護理論にかかわるもの。10年他の分野で経験を積んだ看護師は新人看護師とは同等ではない。看護師として大切にしている事も患者の捉え方も熟練されてくる。それは専門分野が変わったからと言って変わるものではなく貴方を形取り貴方の基礎になっていると思います。つまり10年働いた間に経験を通して背骨がしっかりしてきたと言う事。だからその分野ではノービスでもエキスパートになるスピードは新人看護師さんよりずっと早い。

認定をとって長くその分野で活動する看護師さんもいるでしょう。その分野を極めエキスパートとして活躍されている方を多く見かけます。後輩を指導しその分野を極めようとしている姿勢は素晴らしいものです。しかしそれだけでは看護は発展しないのです。何故ならば看護は技術だけではなく理論も重要だからです。ナイチンゲールから現代まで多くのスカラーが知識の上に知識を積み上げてランドスケープを作り出しています。それは深く広く大きく医療と人間と社会を看護という視点で織り込んでいるのです。その難技は昨日も書いたように自己学習や本を読めば理解できる、そんなものではないのです。

なんだか長くなりそうなシリーズの始まりです。








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