走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

懺悔

2017年09月20日 | 仕事
医療者の皆さん、仕事を辞めたいって思った事はありますか?病院看護師時代に夜勤がとにかく嫌で、夜勤をしなくて良いポジションに変わりたいとは何度も思った事はありますが真剣に辞めたい、辞めるべきだと思ったのは一度だけ。

14年ぐらい前だと思います。とんでもないミスをして患者はコードブルーを呼ぶ状態になりました。コードチームのサポートをしている時に自分のミスに気づき、震えながらゴミ箱に入っていた点滴のラベルを読み、自分のミスを確認し吐きそうな悪寒に襲われた事は今でも忘れません。それでもチームに伝えなければとミスを伝え、そこから患者の治療は大きく変わりました(原因が限定されると対応が的確になる)。後の事はあまり覚えていません。

患者はICUに運ばれ数週間後病棟へ戻ってきました。後遺症もなくそれは良かったのですが、、、。

患者をコードさせるようなミスをして、カナダでもう看護師はやって行けないと思った。クビになるに違いないと思いました。いや、こんなミスをする自分は看護師を続けるべきでないと思いました。

しかし職場はとても優しかった。まずクリティカルインシデントチームのカウンセラーが来ました。カウンセリングを数回ほど受けました。インシデントリポートから、なぜミスが起こったのかが分析され、医師の指示の出し方、クラークの指示受けの仕方、薬局のラベルの仕方まで見直され、新しいやり方が施行されるようになりました。

間違いを責めるのではなく、間違いから学ぶ姿勢のカナダのやり方に驚きました。カウンセラーが自分を責めるのを辞めなさいと何度も言ってくれました。

何度も書きますがミスをするのが人間です。それを認めない限りミスは続きます。ミスが限りなくゼロに近いようにするにはたゆまないシステムの見直しにあります。決して個人の責任ではない。そして治療する者としておごる事のない姿勢が大切だと改めて思いました。


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