電話がかかってくる。明日(水曜日)に患者Aを診察してもらえないか?と。
んんん?A は金曜日に予約が入っている。2日早めなければならない理由は?
調子が悪いから。
でも昨日まで救急にいましたよね?入院を勧められたのに断って自主退院してますよね?
そうなの、だから1日でも早く!とサポートはいいます。しかし今週の予約は詰まっている。そこへねじ込まなければならない理由がわからない。
また倒れるかもしれないから。
だから入院を勧められたんですよね?私のところに連れてきても病院のような診断機器があるわけではないしラボでできる検査に限られているし、水曜日にきても金曜日にきても何も変わりませんよ。それに緊急性があるのなら救急です。
続けて私は言う。わかりますよ、何とかしたい気持ち。でも本人がリスクを承知の上で選択したのだから、これ以上何もできないですよ。見ているだけは辛いですが、彼の人権を取り上げることはできないのですから、といいました。
ようやくわかってもらえた。
人はリスクを承知の上で危ない、リスクの方を選ぶ権利だってある。選択権は基本的人権のひとつ。それを越えて自分の価値を押し付けるのは人権侵害。タバコは百害あって一理なしと知っていても吸い続けるのもリスク行動のひとつ(自殺と他殺はこれに含まれません)。わかりますか?
障害があっても疾病があっても基本的人権は守らなければならないのです。