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人を活かす言葉と、逝かす言葉---綾戸智絵 in 『Dのゲキジョー』

2005-05-14 | BLOG
さっき、夕飯の準備をしながら見ていた番組に、綾戸智絵が出ていた。
この人の歩んできた過去は、他のTV番組でも既に何度かとりあげられていた。「最近のバラエティ番組はデジャブが多いなー」と思った。

と、思いながらも他のチャンネルに変えることなく見て、……そしてジィ---ンと感動してしまった。
綾戸さん。
この人の言葉ってなんて優しくて、あたたかいんだろう。

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ジャズ好きだった両親の影響を受け、17歳で「行きたかったから」と単身で渡米する。ニューヨークでゴスペル合唱団に加わる。そこで出会ったアフリカンアメリカンの男性と結婚する。だが夫は、彼女を深く愛するがゆえに独占欲を強め、他の男性との一切の接触を嫌う。それは牛乳配達屋に挨拶を交わすことも禁じるような、激しい嫉妬だった。やがて彼女に暴力を振るうようになり、それが恒常的になる。
離婚し帰国すると決意したとき、綾戸さんは妊娠に気付く。そこでお腹の子どもが飛行機に乗れる生後半年を迎えるまで、離婚と帰国は延期することにした。


「なぜ、すぐに日本に帰らなかったんですか」というタレントからの質問に、綾戸さんは「生まれてくる子どもに、米国籍をあげたかったんです。それには父親のいる米国にいないといけない。もしここで日本に戻って子どもを産んだら、国籍がなく、父親も分からない子になってしまう。そうなったらこの子が社会に出るときに、どれだけ苦労することになると思います? 私、妊娠に気付いたときに、母親になったんですわ」と答えた。

知り合いに助けられながらも、米国で子どもを産み育てる綾戸さん。ようやく6ヶ月経ち、帰国して実家に戻る。
洋服の販売員と、英語での観光案内の2つの仕事を務め、夜はライブハウスなどでジャズを歌う。やがて成長した息子さんは小学校に入学するが、すぐに激しい苛めに遭う。ある日、綾戸さんは息子さんの着ている上着の背中部分に、上級生によるものと思われる大きな泥のついた足跡を見る。


綾戸さんは、「ここで『これは苛めじゃない』と、ウソをつくのは、あかんと思った。この子は半分は外国人なのでそのせいやろと思うけど、今は日本人同士でも細かぁーい理由で苛めるじゃないですか。暗ぁーい理由で。でもな、息子にはポジティブな理由をつけてやった」とコメントした。

綾戸さんは息子さんに苛められた理由を、こう教えてやる。
「皆はな、イサがええ男やから羨ましがってんねん。嫉妬して苛めてんねんな。私もよう背中に足跡つけられたわ。美しすぎやねんて。ホンマやで、他にも長谷川一夫っちゅう人が同じ理由で蹴られてたわ」
「誰やねん、それ」息子さんが笑った。

綾戸さんはいじめのある現状について学校に訴えるが、そんな事実はないと一切取り合わない。これを発端に息子さんは小学校を自主退学することになるが、綾戸さんが「息子を退学させる」と教師に宣言して帰宅し、息子さんに説明する。

「イサ。お母ちゃんな、イサに謝らなきゃいけないんや。ごめんな。学校やめたわ」
「うん。いいよ。僕、学校行かない」
「先生が馬だとしたらお母ちゃんは豚でな、お母ちゃんは馬語が話せんのや」
「僕も話せないよ」

数年後、綾戸さんがプロシンガーとしてデビューしたとき、多くの週刊誌が彼女の過去を書いた。
その中には、まだ息子さんには知らせていない内容があった。「お母さんたちが離婚した原因って、お父さんの暴力が原因だったん?」息子さんが綾戸さんに尋ねる。

そこで、綾戸さんは当時中学校に入学したばかりだった、息子さんにこう説明した。
「イサの父さんはな、イサみたいに格好良くて優しい人やった。ウチらは美男美女のカップルやったんやで。ただな、優しすぎて弱いところがあったんや。弱い自分がどうしょうもなくなって、そういう形になってしまうこともあった」


綾戸さんは、父親の悪口は言いたくなかったと語る。「もし父親の事を悪く言うと、それは息子を悪くいうことにもなり、私のことを仕事のことも含めて悪く言うことにも繋がると思う。どんな小さなことだって、それを息子が自身に繋げてしまう可能性だってあるから。悪くは言えない。(タレントから「息子さんが、父親の暴力を受け継いでいないかと、恐怖はないか」と質問され、)息子の半分は父親とか思うよりも、『この子は私の子だ』という気持ちの方が強かった」

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綾戸さんのしゃべったそのままの表現で書きたかったが、いくらかもう忘れてしまった。ニュアンスだけでも伝わるといいな。

彼女の言葉は常にユーモアに包まれてて、きっと苦手な人であろう人に対しても決してけなしてはいない。だけども、彼女の言いたいことはしっかりと聞き手に伝わるし、内容がネガティブなことでも、聞き手が感じる印象は決してネガティブではない。だからもっと彼女の言葉を聞いていたいと思う。彼女の周りにたえず人が集まるのは、このためでもあるんだろうな。

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19歳の女の子が友だちに「ウザイ!」と声を荒げた。その友だちはさらに言葉を続けようとして、「だからウザイって言ってるでしょ!」再度、口撃●●に遭った。

19歳ちゃんのこの言葉は、この友だちばかりでなく、この言葉をたまたま耳にした私にも、突き刺さった。

うーーーん。本人じゃない私にも痛いよ、この言葉は。
人格を否定する言葉は、その事態を収めないどころか、相手の気持ちが離れていくんだよ。

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