公園の池も雨の中

陶磁器コレクション、千夜一夜物語、映画の話等

Royal Copenhagen 背中を咬むシーリハムテリア

2006-08-14 16:06:14 | コレクション



品番:3087
年代:1966年
サイズ:H=6cm,W=10cm
デザイン:Th. Madsen



陶器の質感を生かした洒落たフィギュリンです。

Rosenthal やRC,B&Gには、痒がっている犬をモチーフにしたフィギュリンが幾つかあります。
わざわざ痒がる仕草を模写するなんて変に思いますが、犬や猫を飼っていると、
日常の格好悪い仕草の方に気持ちが動くから不思議です。
私はそんなメーカーの思惑にまんまと乗せられているわけで・・・

「痒い」シリーズは主に後ろ足で首の辺りを掻く仕草が多いのですが、これは背中を咬んで
います。ノミに喰われたのでしょうか?
目を細めたり、鼻が広がったりと、芸が細かいです。
正面から見た顔は渥美清に似ています。

Th. MadsenはNo.3085,3086,3087とシーリハムテリア三連作を作成しています。
No.3085,3086はレアですが、この3087はたまに出てきます。3087が一番可愛いので生産数が
多かったのでしょうか?

ちなみにB&Gの痒い犬 No.2060を探しています。

Royal Copenhagen 水盤を覗くトカゲ

2006-08-11 18:32:49 | コレクション

メーカー:Royal Copenhagen
品番:25
デザイン:Andrea Pedersen
サイズ:H=9.5cm W=20.5cm
年代:1911-22年

暑い夏に涼しげな作品を。

ロイヤルコペンハーゲンの青い色をロイヤルブルーといいますが、
1900年代初期の淡い淡い水色が私は好きです。

水色の底に一重の白い花が可憐に咲いています。
静かに水盤の中の花を覗き込むのは清楚なトカゲ。
長い尻尾が大事そうに水盤をぐるっと抱えています。

なーんて。

私が表現すると
水盤の縁に「あらよっと」足を掛け、「おいらのものだからねー」と尻尾を巻きつ
けて甘い水を飲みに来たところ、って感じ。

水盤には水を入れて、水の底にトカゲを映したら風情があるでしょう。

水盤は手作りならではのぼこぼこした質感がとてもよいです。
トカゲは耳の部分まで精巧に作られています。
お店の人曰く、この器はトカゲの長い尻尾がアクセントになっているそうです。

Andrea Pedersenのトカゲトレイシリーズは色々種類があります。
この水盤に乗ったタイプも、私が持っている器には1匹しかいませんが、2匹が向
かい合って尻尾を巻きつけているものがあります。

私は勿論、この1匹のタイプが好きです。
とても好きな作品でトカゲには名前を付けました。

大東亜戦争と国際裁判

2006-08-09 13:45:37 | 映画
1959年 / 日本
お勧め度★★★★★

 よく出来た作品です。新しい教科書は読んでいないのでコメントできませんが、
この映画は中学校の授業に使ってもよいのではないかと思います。

-戦争を遂行した人達を裁いても、何が開戦に向かわせたのかを追求することなく
裁判が終了したということで全て完了してしまった-
確かこのような言葉で締めくくられていたと思います。

東京裁判は連合国の押し付けだったかもしれない。では日本人はあの戦争にどう
責任を負うべきなのかを自分で考えなければいけない。
***

近年ドイツではベルリン大空襲について議論されるようになりました。
米軍の空爆による民間人の大量虐殺は「悪」であるナチスドイツや帝国主義日本を
倒す為には仕方がなかった、とアメリカは正当化していますが、原爆を含めこれらの
事実を罪として追及していかなければ、アメリカは今後も安易に他国を空爆をし続け
るでしょう。
***

外国人は戦争中の日本を「軍事政権による独裁国家」としばしば呼びますが、これに関して
私は疑問に思います。戦前から選挙は行われており、東條は指名されて総理大臣になってい
ます。
思想の統制や情報操作等等は戦時下にあったからであり、程度の差は違えどもどこの国でも
みられるものです。
「日本を民主化しなければいけない」と、言われても元々民主主義だったと思うのですが・・・
繰り返しになりますが、戦争は(少なくとも当初は)国民の支持で行われたのであり政府と
軍部のみの責任に帰してはいけないと考えています。

「日本に民主主義を!」
 この映画を観ていて驚いたのですが、今の中東に言っているようなことを
当時からアメリカは言っていたのですねえ。感慨深かったです。

***

 この映画を観る際に「白州次郎占領を背負った男」講談社 を併せて読んでみるのをお勧
めします。映画の中に出てくる近衛の自殺や、広田弘毅の奥さんの死(映画の中では美化
されていましたが、これは広田弘毅には追い討ちだったと思う)等、映画の中では描かれな
かった経緯がでていて参考になるかと思います。

ロード・オブ・ウォー

2006-08-07 18:14:51 | 映画
 お勧め度:★★★★★
 2005年 製作国?(スポンサーが見つからなくて転々としたとか)

Load of War "戦争の負荷"などとしょーもない直訳をしてましたが"戦神"という意味だそうです。

 "史上最強の武器商人と呼ばれた男"の実話を元にした映画、だそうですが
主人公は5人の実在する人物を合わせて作り出した架空の人物だそうです。

 ニコラス・ケイジの出演作は殆が3流だと自分の中で固まっていたのですが、
これはよく出来ていて、かつ、はまり役でした。
ニコラス・ケイジの愉快なブラックジョークと憎めない性格がないと最後まで観れません。

ニコラス・ケイジが扮するユーリー(主人公)は銃を撃たない、持たない、拳も振るいません。
彼の両親や弟はおだやかで貧乏を苦にしていません。
ユーリーが妻に選んだ女性も贅沢が好きでもまあ、普通です。
悲惨な展開に関わらず、物語はコミカルにシニカルに軽快に進み、温和で無邪気なユーリーにあまり
罪を感じません。
ラストの字幕に国連の常任理事国がそのまんま武器輸出のトップに並んでいるのをみて、バカヤロー
と画面に叫んで(※叫んだのは私)終了。常任理事国も拒否権もくそったれだ。

しかし・・・翌日。咽喉に骨がささったかのようにずーんと重苦しい。
リベリアの難民キャンプを軍隊が襲った場面が頭から離れません。
あれは現実にアフリカで起こっていることです。
大統領の息子が市内をオープンカーでドライブしながら、思いついたように無作為に誰彼かまわずに
銃を向けて連射している場面も頭から離れません。

武器が悪いのではなく、それを使う人間が悪いのですが、あの大統領親子に武器を売るのは人間としてどうよ?
「俺達が売らなくても他の誰かが売るんだ」
そうですかねー。そうですかねー。君が売らなくてもいいじゃない。
スーパーマーケットでぴちぴち水を噴いているアサリを見て「美味しそうー、でも可哀相、やめとこうかな、でも私が食べな
くても他の誰かが食べるんだから」というのとは違うんだよ。
ユーリーも嫌ってたじゃないの。あの親子。でも「差別しないで売るのが俺の信条」なんだっけ・・・

ユーリーは人の気持ちが理解できるし、罪悪感も持っています。捜査官の気持ちも理解して見せます。
人を殺す実感も知っているし、紛争の現場も立ち会っています。只、理解はしているがそこまで。
自分の売った銃が目の前で弟を撃ってもそれでも武器を売りさばく。
だから"戦神"なのか?

ユーリーは自分の才能が面白くてしようがないようですが、その才能を武器の密輸に使う、というところが
彼の個性であり特殊なところなのでしょう。平均的な人間はそれに耐えられないので去ってしまいます。

捜査官が「人は核兵器で殺されているのではない、殆どの人は銃で殺されているんだ。だから僕は武器の
販売人を追うんだ」といったのが2日遅れで響いてきました。
周回遅れくらいに鈍いかな私。

その他の点では
武器の仕入先や売り先など、細かいところで妙に説得力のある構成になっていて観る価値ありだと思います。
例えばソ連崩壊後、武器庫や核器廃棄物の管理がずさんになり、夥しい量の在庫が消えたのを記事で度々読んだ
ことはありました。それがこんな形で密輸業者に売られていたんだなーと感心。