公園の池も雨の中

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大東亜戦争と国際裁判

2006-08-09 13:45:37 | 映画
1959年 / 日本
お勧め度★★★★★

 よく出来た作品です。新しい教科書は読んでいないのでコメントできませんが、
この映画は中学校の授業に使ってもよいのではないかと思います。

-戦争を遂行した人達を裁いても、何が開戦に向かわせたのかを追求することなく
裁判が終了したということで全て完了してしまった-
確かこのような言葉で締めくくられていたと思います。

東京裁判は連合国の押し付けだったかもしれない。では日本人はあの戦争にどう
責任を負うべきなのかを自分で考えなければいけない。
***

近年ドイツではベルリン大空襲について議論されるようになりました。
米軍の空爆による民間人の大量虐殺は「悪」であるナチスドイツや帝国主義日本を
倒す為には仕方がなかった、とアメリカは正当化していますが、原爆を含めこれらの
事実を罪として追及していかなければ、アメリカは今後も安易に他国を空爆をし続け
るでしょう。
***

外国人は戦争中の日本を「軍事政権による独裁国家」としばしば呼びますが、これに関して
私は疑問に思います。戦前から選挙は行われており、東條は指名されて総理大臣になってい
ます。
思想の統制や情報操作等等は戦時下にあったからであり、程度の差は違えどもどこの国でも
みられるものです。
「日本を民主化しなければいけない」と、言われても元々民主主義だったと思うのですが・・・
繰り返しになりますが、戦争は(少なくとも当初は)国民の支持で行われたのであり政府と
軍部のみの責任に帰してはいけないと考えています。

「日本に民主主義を!」
 この映画を観ていて驚いたのですが、今の中東に言っているようなことを
当時からアメリカは言っていたのですねえ。感慨深かったです。

***

 この映画を観る際に「白州次郎占領を背負った男」講談社 を併せて読んでみるのをお勧
めします。映画の中に出てくる近衛の自殺や、広田弘毅の奥さんの死(映画の中では美化
されていましたが、これは広田弘毅には追い討ちだったと思う)等、映画の中では描かれな
かった経緯がでていて参考になるかと思います。