キ上の空論

小説もどきや日常などの雑文・覚え書きです。

この手紙が届くかなんて

2006年11月23日 | みるいら
 記念品だけもらって(じゃないとちゃんと出席しなかったことがばれるので)さっさと帰ろうと思っていたら、声をかけられた。
 誰だろう、思い出せない。
「こないだ家の中大掃除したんだけど、そのとき出てきたんだ。一応、渡した方がいいかな、と思ってさ」
 と、古そうな封筒を差し出す。
 宛名は「ふゆさかみどり」。
 確かにぼく宛だ。ひらがなだけど、知る限りで他に「ふゆさかみどり」はいない。
「たぶん、幼稚園の時だかに渡してくれって頼まれて、そのまま忘れてたんじゃないかと思うんだ。ごめん」
 封筒の古さに納得。十五年近く前だ。
 気にしないように言うと、安心したように離れていった。
 あれは誰だっけ。
 幼稚園の時にと言ったんだから、同じ幼稚園に行ってたはずだ。
 卒園アルバムでも見たら思い出すかもしれないが、どこへやったか忘れた。
 封筒を裏返し、差出人の名前を見る。
「……ふゆさかとうま」
 身に覚えのない名前だった。

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