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アバドさんの訃報

2014年01月26日 16時28分37秒 | ベートーヴェン
1月20日、クラウディオ・アバドさんが逝去されました。突然の訃報だったので、大変驚きました。現在の現役指揮者の最高峰とも言える人だっただけに、残念です。2000年に胃癌を患われ、元気に復帰されたのですが…。私は、1973年にVPOと来日されたときに、倉敷でのコンサートに行きました(私の勘違いかもしれませんが、その頃アバドさんはVPOの首席か常任指揮者となって、そういうのを置かないVPOだったのに、えらいことです、という報道があったように思うのですが、これは間違いの記憶なんですかねえ???)。そのとき39才だったアバドさんは、気鋭の颯爽とした俊英という指揮者でありました。それから40年ですねえ。その前後にメンデルスゾーンのスコットランドとイタリアのLPを買って、気に入って気に入って聴いておりました。ご冥福をお祈りします。

ということで、今回はアバドの演奏を、というのではなく、カルロス・クライバーの演奏になります。すんません。アバドさんのは、また後日ということで…。クライバーのベートーヴェン。交響曲第7番イ長調作品92。バイエルン国立管弦楽団。1982年5月3日のミュンヘン国立劇場でのライブ録音です。クライバーはこの日、カール・ベーム追悼のコンサートとして、交響曲第4番と第7番を演奏しました。4番の方はかなり昔に発売され、4番のイメージを変えた名演を言われる演奏です。それと同じ日に演奏されたこの7番がこのCDの演奏であることは、周知のことであります。

さてこのCDですが、初出はどうだったか知りませんが、SACDなのです。最近購入するCDにもSACDは、ごく自然のなりゆきのように、増えております。そして、その内容ですが、ハイブリット盤でも、かなり音質は向上したな、と思います。シングルレイヤーならなおよいでしょう。このクライバーの演奏も、SACDで聴くことで、その音質の向上によって、けっこう印象も変わるのではないかと思っております。

クライバーの演奏なんですが、怒涛の進撃かのように、管弦楽がエネルギシュな演奏を展開してくれます。弦は力の限り弓がしなり、管楽器は血がにじむように吹きかけ、打楽器は強打し、そんなオケが爆演が、それはまあ凄いのです。クライバーの示す到達点にみなさん全力で着いていく。誠心誠意クライバーの下で演奏に奉仕するような、そんな様子が聞こえてきます。まあ、凄まじいの一語に尽きるベートーヴェンなのであります。そしてクライバーの熱気に圧倒されます。

そんな演奏、凄いと思います。しかし、それが好きかどうかと言えば、少々考えてしまうのです。生でこんな演奏を聴けば、狂喜乱舞し、音楽が一週間は頭の中で反芻するだろうと追います。CDで聴くとどうか。これはSACDですが、やはりこの方がいい。従来のCDとは比較にならない情報量であるので、この演奏の暖かみを感じ取ることができる。それは、それぞれの楽器の生々しい音が身近に感じられ、そこからの感動を享受することができるのです。恐るべしSACDであります。

第1楽章は、怒涛の進撃。進むにつれて熱気と激しさが増す。リズミカルな表情にもあふれ、新鮮な感動を呼び起こしてくれます。時折聞こえる木管が綺麗ですねえ。第2楽章、一転して切々悲しみに満ちた旋律が語られます。テンポは少々速めですが、しっとりとした佇まいの中に、端正な構成が見られます。第3楽章、オケの響きもよく、躍動感に満ちて、クライバーのよさが堪能できます。そして、終楽章。第3楽章の躍動感に、豪快さと迫力が合わさるような展開がいいです。そんな中で大いに盛り上がりを描いて、終わります。

アバドさんの逝去とは関係なく、クライバーの演奏を述べました。しかし、アバドさんの倉敷のコンサートで聴いた曲は、このベートーヴェンの7番だったのでした。そんなことからのこのCDについて、述べたのでした。しかし、このSACD、36分くらいしか収録されていません。同じ日の4番と一緒に一枚に収録されて発売して欲しかったですねえ。と思ったのでした…。
(ORFEO C 7000 51B 2005年 輸入盤)

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