
3月の声を聞くと共に、バンクーバーオリンピックも終わりました。真央ちゃんも残念でしたね。また、キム・ヨナはやはり大したものでしたね。でも、女子も男子もフィギュアに団体戦があれば金メダルだったのにね。残念です。なんで団体戦やねん、と言われるかもしれませんが、スキーのジャンプには団体がありますよね。なんであるのかわかりませんが、それなら、フィギュアにも、と思ってしまいます。最終的には、金メダルはゼロで、同じアジアの中国や韓国に大きく水を開けられてしまいました。結局は、どれだけ国や社会がお金をかけるかということらしいですが、なかなか難しいんでしょうねえ。私はあまり見なかった五輪でしたが、うちの娘は、妙に見入ってました。閉会式まで熱心に見てました。
さて、前回TDKのオリジナルコンサートのライブを取り上げましたが、今回も引き続き、このシリーズからです。以前にも触れましたが、このシリーズ、製造が中止となってしまうそうです。それで、欲しかったやつを買っておかなければ、と思ったのです。とは言ってもけっこうこれまでに買っていたので、残るはこれのみ!。ということでJSバッハの『無伴走チェロ組曲』。ピエール・フルニエによる1972年3月2日・4日、東京の虎の門ホールでのライブであります。もう40年近くも前のことになります。かの札幌五輪の閉会式が同年2月13日。あさま山荘事件が解決したのが2月28日。そんなときのライブとなります。
フルニエの無伴奏チェロ組曲については、以前に1960年のアルヒーフ盤と1976~77年のフィリップス盤がありますが、その中間に位置するものになります。フルニエは頻繁に来日しており、この年の来日は5回目となるものでした。65才のときでした。日本がけっこう気に入っていたようですねえ。
このCD、まず録音がいいです。40年も昔のライブなのに、たいそう瑞々しいチェロの音に驚かされます。また、観客の咳の声までも当時のホールでの響きをそのままで、生々しいのであります。当時の日本の技術の素晴らしさでしょうか。やはり、音がいいということは、大切なことだなと痛感します。
そして、演奏ですが、ライブ録音ならではのよさが痛感できるものです。フルニエのスタジオ録音では決して聴けないような音が散見されます。その点では、粗さも感じられるものですが、それは楽器の音に感じるものであり、フルニエが奏するバッハの音楽にはそれほど気になりません。それどころか、それ以上に演奏から受ける印象の方が強いのです。それはスタジオ録音からあまり聴けないようなチェロの音色、フルニエのチェロから生み出される魂のこもった旋律、それらから感じる生気に満ちたバッハの音楽なのであります。技術的にはどうかわかりませんし、おそらくフルニエよりもうまいチェリストはいるんでしょうが、やはり少々の瑕疵があろうとも、このフルニエのチェロほどの骨太で存在感のある音はなかなか聴けません。中でも、最も気になったのは、第6番ニ長調であります。躍動かあふれる前奏曲、高音が多少怪しげですが、このあふれる気品がいい。アルマンド、もっともゆったりとした曲。かなりねちっこい演奏。それがまた旋律がこころに染み込む。クーランド。重いリズムと軽快さの相反するチェロが心地よい。サラバンド、すすり泣くようなチェロ。決して暗くならず、それでいて魂を揺さぶられる。そしてガヴォット。山崎浩太郎氏の指摘されていた、この曲が舞曲であるということを痛感させてくれる。豊かなリズム感と気品がたっぷりの演奏。瑕疵も多いですが、熱く素晴らしいガヴォット。最後にジーク。曲の流れが実に流麗。最後まで気迫を感じるチェロでした。
しかし、TDKの番組がなかったら、残っていない演奏です。当時のTDKやGFM東京に感謝しなければいけませんね。
(Creative Core TDKOC001 2001年)
さて、前回TDKのオリジナルコンサートのライブを取り上げましたが、今回も引き続き、このシリーズからです。以前にも触れましたが、このシリーズ、製造が中止となってしまうそうです。それで、欲しかったやつを買っておかなければ、と思ったのです。とは言ってもけっこうこれまでに買っていたので、残るはこれのみ!。ということでJSバッハの『無伴走チェロ組曲』。ピエール・フルニエによる1972年3月2日・4日、東京の虎の門ホールでのライブであります。もう40年近くも前のことになります。かの札幌五輪の閉会式が同年2月13日。あさま山荘事件が解決したのが2月28日。そんなときのライブとなります。
フルニエの無伴奏チェロ組曲については、以前に1960年のアルヒーフ盤と1976~77年のフィリップス盤がありますが、その中間に位置するものになります。フルニエは頻繁に来日しており、この年の来日は5回目となるものでした。65才のときでした。日本がけっこう気に入っていたようですねえ。
このCD、まず録音がいいです。40年も昔のライブなのに、たいそう瑞々しいチェロの音に驚かされます。また、観客の咳の声までも当時のホールでの響きをそのままで、生々しいのであります。当時の日本の技術の素晴らしさでしょうか。やはり、音がいいということは、大切なことだなと痛感します。
そして、演奏ですが、ライブ録音ならではのよさが痛感できるものです。フルニエのスタジオ録音では決して聴けないような音が散見されます。その点では、粗さも感じられるものですが、それは楽器の音に感じるものであり、フルニエが奏するバッハの音楽にはそれほど気になりません。それどころか、それ以上に演奏から受ける印象の方が強いのです。それはスタジオ録音からあまり聴けないようなチェロの音色、フルニエのチェロから生み出される魂のこもった旋律、それらから感じる生気に満ちたバッハの音楽なのであります。技術的にはどうかわかりませんし、おそらくフルニエよりもうまいチェリストはいるんでしょうが、やはり少々の瑕疵があろうとも、このフルニエのチェロほどの骨太で存在感のある音はなかなか聴けません。中でも、最も気になったのは、第6番ニ長調であります。躍動かあふれる前奏曲、高音が多少怪しげですが、このあふれる気品がいい。アルマンド、もっともゆったりとした曲。かなりねちっこい演奏。それがまた旋律がこころに染み込む。クーランド。重いリズムと軽快さの相反するチェロが心地よい。サラバンド、すすり泣くようなチェロ。決して暗くならず、それでいて魂を揺さぶられる。そしてガヴォット。山崎浩太郎氏の指摘されていた、この曲が舞曲であるということを痛感させてくれる。豊かなリズム感と気品がたっぷりの演奏。瑕疵も多いですが、熱く素晴らしいガヴォット。最後にジーク。曲の流れが実に流麗。最後まで気迫を感じるチェロでした。
しかし、TDKの番組がなかったら、残っていない演奏です。当時のTDKやGFM東京に感謝しなければいけませんね。
(Creative Core TDKOC001 2001年)
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