障害者と家族からカネを奪う「悪質後見人」その卑劣

これは ひどい 裁判所自体が これで どうするんだ

あきれて 言う言葉もない

それほど 今の司法界は 堕落している

これも 現行憲法の条文にあっていさえすれば なんでも 通ると 思い込み しかも 誰も責任をとらない卑怯者ばかりの連中だからでしょう

長谷川 学

障害者と家族からカネを奪う「悪質後見人」その卑劣

なぜこんなことが許されるのか…

障害を持った子供の将来を思い、成年後見制度を利用することを考えた家族。ところが裁判所は、家族の願いとは無関係に後見人として弁護士や行政書士を選任し、財産の管理を任せてしまう。

認知症の高齢者とその家族の問題と思われがちな成年後見制度。だが、実は障害を抱えながら懸命に生きようとしている若い世代の人生にも、大きな影を落としている(これまでの記事はこちらから)。

大震災でも安心、と思ったのに…

「子供のことを考えて成年後見制度を利用しました。私が子供の後見人になれたので安心していたら、とんでもありませんでした。こんなひどい制度だと知っていれば成年後見制度なんて利用しなかった。いまは子供の将来が心配で、毎日、あまり眠れません。生きているのが嫌になりました」

疲労困憊した様子で胸の内を語るのは、埼玉県在住の竹田房子さん(仮名・60代後半)だ。

成年後見制度といえば認知症高齢者が対象と思われがちだが、実は知的障害者、精神障害者もこの制度の対象だ。そして、知的・精神障害者とその家族が、この制度の誤った運用で受ける被害は、後見を受ける本人が若い場合もあることから、数十年単位に及んで続く可能性がある、甚大なものなのである。

どういうことか、実例で見ていこう。房子さんには、今年33歳になる一人娘の陽子さん(仮名)がいる。陽子さんは知的精神障害者。両親と同居しながら、埼玉県内の福祉施設で菓子造りに励んでいる。菓子は市販されており、陽子さんは毎月、給料をもらっている。

「娘は早産で帝王切開で生まれました。生後の体重は、わずか1076グラム。医師からは無事に育つかどうかは五分五分だと言われ、毎日、生きた心地がしませんでした。

退院後も、鼻から胃に直接、管を入れて栄養を補給しなければならず、その管入れも私がやりました。娘に知的障害があることは、その後の数ヵ月で分かりました。でも、私と夫はかわらず、娘を手塩にかけて育てました」

そんな房子さんが母親として成年後見制度を利用することを思い立ったのは、東日本大震災の後だったという。

「もし今後、首都直下型地震が起きても、私が後見人についていれば、私の命がある間は、娘の生活を見守って財産も管理して増やしてあげられる。誰かに騙されて高額な商品を買わされても、私が代理になって取り返すこともできる。申請通り私が後見人に選任されてやれやれと思いました」

ところが今年になって予想もしなかったことが起きた。さいたま家裁の裁判官が、房子さん親子の頭越しに、房子さんとは別に弁護士を成年後見人につけたのだ。

娘のために積み立ててきた預貯金なのに

それまで房子さんは、陽子さんの身上監護(医療や介護にまつわる契約や支払い)と財産管理を一人で担当してきた。だが、家裁は房子さんから財産管理の権限を取り上げ、房子さんが見も知らない弁護士に権限を与えてしまった。

このように、裁判所が後見人を複数つけて権限を分けることを「複数後見・職務分掌型」と呼ぶ。

「家裁から後見制度支援信託についてのリーフレットが郵送されてきたので、何だろうと怪訝に思っていたら、その後、突然、家裁から『弁護士を後見人につけた』と文書で通知がありました。

内容を読むと、家裁は、娘の財産を保護するためには後見制度支援信託を利用した方がいいと判断し、信託契約の締結事務を行うため、新たに弁護士を後見人につけたということでした。

私も夫も事態が飲み込めず『信託って何? 何でそんなものが必要なの?』と驚きました。娘の財産は私がしっかり管理してきて、これまで何も問題を起こしたことがありません。そもそも後見人である私も当事者である娘も『信託に入りたい』なんて一言も言っていません。

しかも家裁が勝手につけた弁護士への報酬は娘が払わされるという内容でした。到底納得できませんでした」

後見制度支援信託(以下、後見信託)とは、親族後見人が被後見人の財産を横領しないようにするために、一定額以上の流動資産がある場合、日常生活に使わないお金を国家(家裁)が、半ば強制的に信託銀行に預けさせ、家裁の承認抜きに使えなくする仕組みだ。

今回の場合で言えば、両親(房子さんと夫)が娘の陽子さんのお金を横領できないようにするのが目的だということになる。房子さんは、こう憤る。

「母親である私が、娘のお金をドロボーする恐れがあるから国(家裁)が強制的に銀行に信託させるということでしょう? 私と夫は、自分たちのお金を娘の将来を考えて娘名義で積み立ててきたんですよ。それを私たちがドロボーするかもしれないなんて……。こんな屈辱はありません。

これまで33年間、娘を大切に育ててきた私たちの思いを踏みにじるようなことを勝手に決めて『従え』と言われて、どうして従えますか」

「旅行におカネは出せない」

房子さんは、後見人に選任された弁護士に「なぜ信託が必要かわからない」と何度も質問したが、弁護士は「家裁が決めたことだから」と聞く耳を持たない。

それどころか、「財産管理のため」として娘名義の通帳を母親である房子さんから取り上げ、名義を「竹田陽子 後見人○○」(○○は弁護士自身の名前)と書き換えてしまった。後見信託をしないうちから、本人も家族も資産を動かす自由を失ったのだ。以降、房子さんは弁護士に「お願い」をして、毎月、娘の生活費10万円を弁護士からもらうこととなった。

そして他聞に漏れず、この弁護士は、本人や家族のためを思って使われるべき財産を独善的に支配するようになる。房子さんは、こう証言する。

「私も夫も高齢なので、元気なうちに娘と思い出作りをしたいと、娘との旅行を計画したんです。ところが弁護士は『旅行なんてもったいない。お金は出せない』と、娘名義で積み立ててきた口座からお金を下ろすことを拒否してきた。結局、娘の旅費は、私のわずかな年金をやりくりしてまかなうことになりました」

こんな弁護士が、なぜ後見人につく必要があったのか。裁判所の説明では、後見信託の締結業務のためとされていたわけだが、後見信託の設定手続き自体は、信託銀行の担当者が丁寧に説明してくれれば、一般の人でもできるものだ。それが普段から信託という金融商品を扱っている信託銀行の業務なのだから、当然といえば当然だろう。

ところが家裁の元締めである最高裁家庭局は、この手続きを、弁護士や司法書士らのいわゆる「士業後見人」(専門職後見人)に独占させることを決めているのである。

なぜ、そんな方針を決定したのか。実は、日本弁護士連合会などの「士業団体」は、後見信託という制度が導入される前には、「被後見人(後見を受ける人)の財産が凍結・固定化され、本人のために使われなくなる恐れがある」と反対をしていた。ところが、のちに方針を180度転換し、後見信託推進派に転じてしまった。事業の独占が、口うるさい士業団体を黙らせる材料になったと見るのは邪推が過ぎるだろうか。

「え! 意思表示できるんですか?」

ちなみに、後見信託の設定をすると、弁護士らは報酬を受け取る。その報酬額は設定する流動資産の金額(つまり被後見人の財産の多寡)によって異なるが、最低でも20万円はもらえる。短時間で効率的に稼げるというので後見信託に関するセミナーは弁護士、司法書士らの間で大人気であるらしい。

こう書くと、

「何を言うか。後見人の業務はそんな簡単なものではない。楽して稼げるなんて、とんでもない」

と憤る、真面目な専門職後見人の方もいらっしゃるだろう。もちろん、その通りなのだ。だが残念ながら、そんな専門職後見人は多くないのが実態だと言われる。

今回取り上げた房子さんの娘・陽子さんに後見人としてつけられた弁護士は、呆れたことに、後見人として支援を義務付けられている被後見人、つまり陽子さん本人とはこの記事の公開時点まで、会ったことすらない

母親の房子さんが「娘はある程度意思表示ができる」と話すと、弁護士は「え! 意思表示できるんですか」などと驚いていたという始末なのだ。

今年7月、房子さんは自分の思いを綴った手紙をさいたま家裁の裁判官に送った。

<私は母親です。1076グラムで生まれて、死ぬか生きるかでスタートして以来33年間頑張り続けてきました。やっとの思いで生きてきたのに!! 急に何の説明もなく信託だと言われても納得できません>

裁判官からの返事はない

信託がなくても子供の将来は縛られる

房子さん夫妻はどうにかして娘の後見信託を回避したいと奔走しているが、さらに気になっていることがあるという。それは、家裁から届いた通知の記述だ。そこには、「信託を利用しない場合は、引き続き、専門職後見人と複数で後見事務を行ってもらう」などと書いてある。

つまり、後見信託の手続きのために弁護士を後見人につけた、としながらも、信託をしない場合でも弁護士を後見人とし続けることを命じているのだ。房子さんはこの点にも不安を募らせている。

「娘の月給は10万円。障害者年金も月6万円ちょっとです。弁護士に毎月2~3万円も報酬を取られたら、娘は生活できない。娘はまだ若いのに、死ぬまで弁護士にまとわりつかれたら、その報酬だけで娘の預貯金は目減りしていき、やがて底をついてしまう……。なぜ、こんな理不尽なことがまかり通っているのでしょう」

専門職後見人をゴリ押ししてくる家裁側の強硬さは、親族後見人による横領事件などを受けて、自らが推進してきた成年後見制度や家裁自身に批判の矛先が向けられるのを避けるためとも言われる。

だが家裁の冷徹な判断と、制度に群がる心ない弁護士たちの横暴に泣かされているのは、本来は救いの手を差し伸べられるべき障害者やその家族なのだ。司法や士業団体は成年後見制度の原点に立ち返って、支援するべき人々のために、責任あるチェック体制を構築すべきではないのだろうか。

 

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