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万能薬だった?江戸時代、幕府がミイラを大量輸入していたわけ
万能薬だった?江戸時代、幕府がミイラを大量輸入していたわけ - ライブドアニュース
「日本医学」の発展の陰で
江戸時代、幕府が鎖国を行い、自国の支配を強固にしたことは周知の通りだ。しかしこの間、完全に海外との交流を断絶していたわけではない。幕府はいわゆる「四つの口」と呼ばれる、長崎の出島、対馬、薩摩、松前の地で貿易を行ってきた。
当時の輸入品の大部分は生糸や絹織物で占められていたが、それ以外に一風変わった代物もあった。例えば、享保13(1728)年に時の将軍、徳川吉宗が中国の商人から取り寄せた象などは有名だろう。
だが、奇妙な輸入品は他にもある。江戸中期以降、西洋医学の研究が盛んになると、伝統的な漢方医学と融合し、日本医学は独自の発展を遂げるようになった。
その過程で海外から様々な薬が輸入されたのだが、その中には、なんと「ミイラ」があったのだ。
当時、薬学に精通していた学者の貝原益軒が編纂した書物に『大和本草』がある。同書では日本内外の1362種の動植物・鉱物の効能がまとめられているが、そこには確かに「木乃伊(ミイラ)」の項目が記されているのだ。
また、蘭学者の大槻玄沢も自著『六物新志』で、ミイラを薬として紹介。とりわけエジプトのミイラが最上品だとしている。
気になるミイラの薬効だが、前出の『大和本草』によれば、まさしく"万能薬"のような扱いだ。
曰く、塗り薬にすれば骨折や打撲に効き、丸薬にして服用すれば、貧血や頭痛、胸やけなどに効く。他にも、虫歯や虫刺されにも効果があり、炙って匂いをかがせれば、気付け薬にも使えたという。
万能薬として珍重されていたミイラ。一見すると、超自然的な癒やしの力を期待した人々の迷信にも思えるが、そうとは言い切れない。
実は死体に施された防腐剤の主成分は、ミツバチの巣から採取できる樹脂製混合物「プロポリス」。天然の抗生物質として、実際に滋養強壮に効果があると言われているのだ。
死後の世界へ旅立つはずが、遠く離れた江戸の地で薬にされてしまったエジプトの人たちは、何を思ったのだろうか。(栗)
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