台湾人と愛国心

AC通信 No.809 (2020/10/09)AC 論説No.809 台湾人と愛国心

台湾では明日10月10日の双十節と呼ぶ中華民国の建国110年記念日を迎える。だが台湾人は建国記念など興味がない。新聞メディアの報道も殆どない。それもそのはず、8割以上の台湾の住民は中華民国を認めないし中華民国政府に警戒心を持っている。しかも中共の武力恫喝に怯えながら反対している。

もしも中共が台湾を攻撃すれば台湾人は台湾を守るために戦うだろうか?台湾はシナの一部ではない。だけども若者は中華民国の軍隊に参加してシナ軍と戦うのは嫌だ。台湾の軍隊は「中華民国の軍隊」で台湾を守る決心が曖昧だ。軍の上層部は殆ど外省人だから中共が攻撃してくればいつ中共に寝返るかもわからない。台湾人と外省人の間に愛国心の違いがあり、軍隊ではそれが顕著である。人民は台湾を愛する気持ちはあっても台湾のために戦うのか、それとも中華民国のために戦うのか、区別がつかない。政府は中華民国の政府、つまり台湾人の政府ではないからこの疑問に回答できない。

台湾は東南アジアの火薬庫である。中共の覇権拡張を阻止する重要な拠点であるのに台湾は独立国として認められていない。世界諸国は中共の台湾領土の主張を認めない。台湾の国際的地位が曖昧だから台湾人の愛国心も曖昧である。

アメリカは台湾の安全を保証するけれども台湾独立を支持する意図がないし、台湾人の主張を認めることもしない。アメリカは台湾の国際的地位を曖昧にしながら台湾の安全を保証するだけである。台湾と中華民国の区別がつかないけれども台湾人が台湾の地位を決定することにも賛成しない。

トランプ政権になってこの立場が少しづつ変化を見せている。国会が台湾安全保障法案を通して「台湾」の名称を明らかにし、これまで台湾に提供しなかった最新型武器、戦闘機やミサイルを提供したのである。つまりアメリカは中共の台湾攻撃を防止し、台湾の軍隊が一定程度の反撃ができる武器を提供したのである。これで台湾の防衛はかなり堅固になった。だが台湾の軍隊内にいるスパイが新武器の機密を中共に売り渡す恐れは過去にあったし今でもある。軍隊だけでなく政府と企業にもスパイがいる。

アメリカが台湾の安全を確保するから中共が台湾を攻撃しても統一は達成できない。中共が台湾を攻撃すれば台湾が負けるのは当然、だけどもアメリカが提供した武器があるから損害が大きな上に占領は不可能だから攻撃する意味がない。アメリカが介入すればインド、英国、オーストラリアなども介入して第三次世界大戦となるだろう。

中共が台湾を大規模攻撃する可能性は殆どないが小さな戦闘はあるかもしれない。台湾の軍隊はどのような防御をするのか。台湾人民はどう反応するか。これは愛国心の問題、アメリカでなく台湾人が解決すべきことである。民進党、蔡英文は期待できない台湾人の覚醒と新しい指導者が必要なのに台湾人は相変わらず「不安定な平穏」に満足しているようである。

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