PGSの有用性については、海外で多くの発表がなされています。
2014年の米国のデータによると、年齢が高くなるほど、染色体異常の胚の率が増加し、PGSの有用性が高まることが報告されています。
年齢34歳以下の場合、PGSを行わない場合の、胚移植あたりの、妊娠継続または無事出産した率は、48%、それがPGSを行った場合は、84%に増加します。...
年齢が41~42歳の場合は、PGSなしで、7%しか成功しないのが、PGSを行うと、67%になります。年齢43歳以上の場合は、PGSなしでは、0%、PGSを行うと100%となっています。
ただし、体外受精周期から見ると、高齢になればなるほど、体外受精を行って得られた胚のPGSを行った結果、1個も正常の染色体がなく、胚移移植を行えない場合も増加します。34歳以下では、46周期の体外受精中、胚移植を行えたのが43周期ですが、41~42歳では、28周期の体外受精で、胚移植を行えたのは12周期のみ、43歳以上になると、8周期の体外受精で、胚移植を行えたのは、1周期のみという結果でした。
PGSを行わなければ、胚移植できる率は高くなりますが、実際に出産に至る割合はかなり低くなります。
以下は、PGSを行った場合と行わなかった場合の出産(または妊娠継続中)率をしめしたものです。胚移植当たりの比較です。年齢が高くなるほどPGSを行った方が胚移植あたりの出産にいたる確率は高まるように思えます。異常胚を移植することがないので、移植しても着床しない胚や流産してしまう胚が、除かれるので、不要な胚移植を避けられるからです。
<PGSの有無による胚移植あたりの出産(または妊娠継続中)の割合>
年齢 PGSを行った群 PGS無しの群 p Value
34才以下 84% 48% *p≤0.01
35-37才 76% 53% * p≤0.05
38-40才 84% 29% *p≤0.01
41-42才 67% 7% *p≤0.01
43歳以上 100% 0% p=0.11
<PGSの有無による胚移植あたりの着床率>
年齢 着床率% p Value
PGSを行った群 PGS無しの群
34才以下 85% 40% *p≤0.01
35-37才 79% 37% *p≤0.01
38-40 才 81% 24% *p≤0.01
41-42才 72% 3% *p≤0.01
43歳以上 100% 0% *p≤0.05
◎PGSを行った群で、
体外受精周期のうち胚移植を行えた周期での出産(または妊娠継続中)の割合
年齢 IVF周期中/胚移植を行えた周期
≤34歳 46 周期中/ 43周期 出産 78%
35-37歳 43周期中 / 41周期 出産 72%
38-40歳 47周期中 / 37周期 出産 66%
41-42歳 28周期中 / 12周期 出産 29%
43歳以上 8周期中 / 1周期 出産 13%