かつら文庫正面入り口
かつら文庫テラス側
2014年3月3日お雛祭りの日、東京・荻窪にある「かつら文庫」を、文庫の仲間5人で訪れました。ここは1958年、石井桃子さんが自宅の一部を開放して始められた家庭文庫。その名は知れわたっていたものの、初めての訪問で心ワクワクして出かけました。
渡辺茂男氏蔵書コーナー
児童図書賞を受賞した書棚(奥の書棚)
2008年、石井桃子さんが101才で他界されたあと、東京子ども図書館が改装し、ご自宅と別棟とを統合しリニューアル・オープンした初公開日。戦後児童図書賞(1947−2011)受賞作がずらりと並んだ書棚の他に、渡辺茂男氏の蔵書コーナーが設けられていました。2010年、渡辺氏の他界後、寄贈されたもので、戦後、日本に児童外国文学を次々に翻訳出版し、夜明けを告げたお二人の本が一堂に並んだ空間でした。
文庫マップ
また「文庫マップ」というユニークなコーナーもあり、家庭文庫などの団体が、日本全国のどの地域にどのくらいあるのか一望出来る地図が目にとまりました。その数の多さに驚くと共に、「かつら文庫」に刺激されて芽生えた文庫が、今なお地道な活動をつづけている様子が目に浮かびました。
別棟の階段を上って、側面が本棚という廊下をわたると、そこはもう桃子さんの元ご自宅。一階が文庫、二階がお住まいとされていた建物は全面開放。居間、書斎、どの部屋も広い出窓やテラスなど明るい空間に工夫が凝らされており、愛用の食器もそのまま。桃子さんの書斎の真ん中には大きな机が置かれ、四方がぐるりと本棚に囲まれていました。桃子さんがその椅子に腰掛けておいでのような気になるほど、何もかもがそのまま保存されていました、再販に向けて、ご自身で翻訳に手を入れられた直筆の跡も見られ、貴重な資料館といえます。
階段を下りれば、1階は全フロアーが「かつら文庫」
かつら文庫受付コーナー
かつら文庫は入口近くの部屋が文庫の受付と蔵書コーナーで、隣りの部屋が8畳ほどのおはなしの部屋になっていました。部屋の中は暖かみを感じる丸みのあるつくり。そこで子どもたちは、ゆったりとおはなしの世界に入っていくのでしょう。
かつら文庫に飾られたおひなさま
ひな祭りのこの時期、犬養家から譲られたという由緒ある「おひなさま」が飾られ、「三月ひなのつき」を想わせてくれました。
児童文学に生涯を捧げられた桃子先生の思いが、このように次の世代に受け継がれると思うと、感動をかくしきれません。たくさんの子どもたちに本が愛され、読まれ、さらに次世代に続いていくことを願いました。
みどり文庫にもまた、おはなし好き、本好きの子どもたちがたくさん来てくれますように!
文責/みどり文庫 西矢悦子
★ 上記の写真はすべて東京子ども図書館の許諾を得て掲載しております
<かつら文庫を訪問したい方へ>
東京都杉並区3−37−11(JR中央線 荻窪駅より徒歩)
開庫日(地域の子ども対象)毎週土曜日 2時〜5時
公開日(大人対象) 原則として火・木曜日 午後1時〜4時
見学希望者は東京子ども図書館に前もってご連絡を。☎ 03−3565−7711