拍手を受けて指揮者のホルスト・シュタインが登場し、オーケストラ・ピットから聴衆に一礼して前奏曲が始まった。バイロイトのオーケストラ・ピットは舞台の下に潜り込んでいる構造なので客席からは楽団員も譜面台の照明も見えないため、暗黒の中から前奏曲が湧き上がって来るあの雰囲気は何ものにも換え難い経験である。
演出はヴォルフガング・ワーグナー。兄のヴィーラントの様式を継承した簡素でモノトーンな舞台装置である。「トリスタン体験(1)」に書いた通り、当時の私はまだこの曲に十分に精通していなかったので演奏の内容をここに再現する生々しい印象が残っていない。ただイゾルデを歌ったリゲンツァよりもブランゲーネを歌ったイヴォンヌ・ミントンの情感に溢れた歌唱が印象深かったという記憶がある。
演出はヴォルフガング・ワーグナー。兄のヴィーラントの様式を継承した簡素でモノトーンな舞台装置である。「トリスタン体験(1)」に書いた通り、当時の私はまだこの曲に十分に精通していなかったので演奏の内容をここに再現する生々しい印象が残っていない。ただイゾルデを歌ったリゲンツァよりもブランゲーネを歌ったイヴォンヌ・ミントンの情感に溢れた歌唱が印象深かったという記憶がある。





