武漢からの帰路は前回同様、"高鉄"を利用しました。別に鉄道に拘ったという訳ではなく、武漢から
虹橋空港に着く飛行機の便が適当な時間に設定されていないとか航空運賃がエライ高いとか、そう
いう事で飛行機の方を敬遠したんですね。

"高鉄"ですとおよそ5時間の道のり。上海からですと無錫や南京、杭州でも約1時間圏内ですから
ちょっと物足りないですし、5時間というのは適度に乗り応えが有って宜しい頃合な訳です。
で、そこに至るまでの思考錯誤のあれこれは割愛しますが、今回は大奮発して"商務座"を体験して
みる事にしました! "大人買い"ってか???

因みに 武漢⇒上海 を"高鉄"で乗り通しますと…;
●二等車(日本で言うところの普通車):300元(強)
●一等車(同じくグリーン車):400元(強い)
●商務車(同じく…グリーン車の上という事ならグランクラスに相当?):927元!
ズバリ二等車の3倍、一等車と比較しても2倍以上ですから、これはもう「エイヤーッ!」が有ります
わなぁ。。。

さて、多少なりとも理性有る人間なれば、こういう時には一抹の罪悪感なんかもムクムクと頭をもた
げて来るのですが、そんな時いつも脳裏をよぎるのは、私が尊敬してやまない偉大なる我がお父上、
衛(まもる)さんの「百聞は一見にしかず」理論です。
それは、例えば借金までしてとか、無分別な贅沢は勿論イカンけれども、「グリーン車なんて…」とか
「高級料亭なんて…」とか批評しようにも、グリーン車に乗った事が無かったら、高級料亭でご飯を
食べた事が無かったら何も言えへんがな…と。だからいっぺんは1番高い席に座っとくもんやし、高い
料理を食べとくもんなんや…と。
まぁ冷静に考えればメチャクチャな理論なんですが、今回もまた切符購入の際に、この「百聞は…」
理論にドンッ!と背中を押されてしまったのです。
という訳で乗り込んだ"商務座"は前から3輌目の③号車。「1番前(…或いは後ろ)とちゃうんや…」
と、ちょっとイヤな予感もしたんですが。。。
車内はこんな感じ。


或る程度以上の年齢の方ですと その後必ず「…どぉぞぉ~♪」と続けてしまうキャプションで失礼!
いよいよ発車ですが、定員24名のこの車内に、武漢発車時の乗客数は私入れて7名。その内の
5名が私の近辺に位置しておりまして、先ず通路を挟んで右横に口ヒゲの中年男性。斜め後ろに
2人組のやはり中年男性で、その内の1人が"どおくまん"の漫画に出て来る様な「角刈りのオヤジ」
にさも似たりの「如何にも」な風貌。そして真後ろには("湯婆婆"の頭でない時の)末成由美さん似
のオバちゃんが、早々にシートをフルフラットにして仰向けになっておられました。
武漢を発車して暫く、座席回りのアレコレをひと通り見たり触ったり動かしたり、またアテンダントの方
からは色々と"免费"なグッズなんかを頂いたりして、私自身も徐々にこの"商務座"に馴染んで参り
ました…

…ところが、(実は乗車して直ぐに気になっていたんですが)件の"どおくまんオヤジ"が冒頭から携帯
電話で喋りまくり……それ自体は「ここは中国だから」と諦めていますが、電話を切っても横の男と
喋るわ喋るわ。で この男、先ずは声がデカイ!更にはメチャクチャ エエ声してると来た。テナー調の
この声がまたよく通るし響くんです。こりゃたまらんわいとオーディオのプログラムを検索すると メニュー
はクラシックが数曲のみ。しかし「取り敢えず 耳を塞ぎたい」との思いだけで適当なのをピックアップ
しますと、ヘッドフォンから流れて来たのは「ジャジャジャ・ジャァ~ン♪ ジョジョジョ・ジョォ~ン♪♪」

お馴染みベートーヴェンは交響曲の第5番、その名も"運命"! 静かな空間を求めて乗り込んだ
"商務座"にこんな輩と居合わせてしまうのもまた運命かと思うと、何だかなぁ。。。
結局、この2人組も私と同じく上海まで乗り通し、寝てる時以外はずーっと喋りっ放しでした。ただ、
こやつは乗客なんですから好しとしましょう(日本では摘まみ出される手合いですが)。それに対して
許されなかったのが乗務員。"商務車"には専属のアテンダント嬢が1名就いており、そちらの方は
"愛想"は無いものの"愛嬌"の有るお顔立ちで、まぁそこそこに好感が持てました。
ダメなのはそれとは別の乗務員(複数)で、何か「食堂車の給仕さん」みたいな制服を来た女性。
これがまぁ"商務座"の車内を行ったり来たり…5時間程の行程中に一体何往復したでしょうねぇ。
"商務座"の車が端っこでない事の悪い予感が的中してしまいました。
夕方の17時過ぎにはこんな電子レンジで加熱したお弁当が配られました。勿論"免費"…ってか
運賃(料金)に含まれているんですがね。

で、この弁当を食べ終えて、テーブルの上に食べガラを置いておいても、件の「給仕さん」は無言で
通り過ぎるばかり。キッと正面だけを見据え、「敢えて乗客やテーブルの上のゴミには目線を合わし
ません!」的な、強烈な意思をも感じさせる位に怖い顔をして通り過ぎて行きます。
挙句の果てに到着間際には何ぞ事件でも起きたか?…ドタドタバタバタと 通路を走り出しました。
ホンマ、足出して引っ掛けてこかしたろかと…すんでのところで思い留まりましたけどね。。。
いやはや、定刻通りに上海虹橋駅に着いた事だけが救いですが、それって二等車も同じですよね。
【結論】 "商務座"にはもう2度と乗らんやろなぁ…って事も実際
に乗ってみたからこそ言える訳で、おおっー! やはり
父の教えは正しかったという事ですか。。。
Michael.
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