外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(7)~チュニス3日目・カルフールと夕食編~

2019-11-26 13:01:58 | チュニジア

 

今回はチュニス滞在3日目の後半、ホテルで昼寝して夕方再び出かけるところから。

 

近くのバルセロナ駅から市電(「メトロ」と呼ばれる)に乗って、リパブリック(=共和国、アラビア語では「ジュムフーリーヤ」)駅で降りた。その辺りにインターネット屋があるという情報を見かけたからである。私はイタリアやトルコ、シリア、エジプトなどに滞在していた時、スマホを持っておらず(昔のことだし)、家にネット環境がなかったので、日本語が使用できるインターネット屋に通っていた。今では、家でネットが出来ない生活なんて考えられない・・・

 

歩いてる途中に見かけた猫を撮っていたら、通りかかった若い男性が英語で「Don't you have cats in your country?」(あなたの国には猫はいないのか)と私の顔を見ずにつぶやいたので、「Of course,we have cats!」(いるに決まってるやん)と言い返したら、じゃあなんでわざわざ写真を撮ってるんだと言いたげな顔をされた。そういえば、かつてヨルダンのアンマンに住んでいた頃、街角のゴミ入れの中の猫を撮っていたら、やはり通りがかった男性に「何を撮ってるんだ。ゴミじゃないか!」と呆れられたことがある。よけいなお世話やねん。

 

 

市電のバルセロナ駅

 

リパブリック駅

 

 

駅の近くに仏系スーパー・カルフールがあるのが車窓から見えたので、寄ってみる。カルフールは中東各国に展開しており、品揃えが良くて安いのでアンマンでは日常的に通っていた。カルフールを見かけたら、素通りするわけにはいかない。

 

懐かしいトリコロールの外観。店名はアラビア語だけだが。隣りには同様に仏系の通信会社オレンジが肩を並べている。

 

店内の配置はヨルダンと変わらない。

 

多少こじゃれたケーキ類もある。

 

当然クスクスの種類が豊富。手軽に安くお土産を買うには、カルフールが便利だと思う。

 

 

私の目当てはキャットフードだった。カルフールならきっとあると思ったのだ。

 

 

 

案の定、ペットフードコーナーは存在した。しかしすごく狭い一角で、ドライフードは3キロ入りの箱しかなく、後は何種類かの缶詰と1種類のパウチ(映ってないが)のみ。あまり選択肢がない。3キロのドライフードは多すぎるのであきらめ、ビーフ入りのドロッとしたフードのパウチを4個購入。1個4.39ディナール(約170円)。チュニジアの物価水準を鑑みると、非常に高価だと言える。容れ物としてプラスチックの皿も買った。

 

カルフールの隣にインターネット屋があったので入る。デジカメで撮った写真をパソコンに転送するためのSDカードリーダーを忘れてきてしまったので、もしあれば買いたいと受付のお兄さん2人に聞いたら、店中を探してくれたが結局なかった(彼らはこれを「アダプター」と呼んでいた)。しかし、ここのパソコンを使ってSDカードからUSB(持参した)に転送することはできると言ってやり方を教えてくれたので、やってみたら出来た。お兄さんたち、親切でプロフェッショナルでステキだった・・・しかも45分ネットを使った代金は1.5ディナール(60円弱)。チュニジアに住みたくなった瞬間だ。

 

お世話になったのはこの店。他の客は地元の若者オンリーだった。

 

 

用事が終わったので、徒歩でハビーブ・ブルギバ通りに出て(すぐ近くだった)、前日入った食堂の周辺をうろうろして夕食をとる店を物色。「カプリ」という名前のピッツェリーアがあったので、小さな窓の中を覗き込むと、薄暗くてよく見えないながらも酒がある気配が漂っていた(酒の気配に敏感な私)。貼り出してあるメニューを見たら、値段も安いし、チュニジア料理もある。というわけで、この日はここで夕食をとることにした。後で見たら、ここも地球の歩き方に載っていた。どんだけ詳しいねん、地球の歩き方・・・

 

 

 

店内はこじんまりとして、そこそこお客が入っていた。iPodで音楽を聴きながらハーフボトルの白ワインを飲んで、サラダをつついている若い女性の1人客や、テーブルいっぱいにずらりと前菜を並べて、ボトルのロゼワインらしきものを飲みながら何か熱心に語り合っているおじ様2人組など。落ち着いた雰囲気だ。ちなみに、この時は「おや、この人たちロゼワイン飲んでる。おじさんとロゼって、妙な組み合わせだな」などと偏見に満ちたことをちらっと考えたが、チュニジアの赤ワインには色が薄いものが多いので、普通に赤ワインを飲んでいたのかもしれない。

 

陽気なコックさんの写真が印象的なメニュー。店主かな?

 

 

まずドイツのベックスビールを頼む。料理は、チュニジアのソウルフードだという「ブリック」とツナサラダに決める。パンは頼まなくても出てくる。

 

久しぶりに飲んだベックスビールは非常に美味しかった。「チュニジアにいるんだから地元ビールを飲まなきゃいけない」というプレッシャーのため、これまでセルティアばかり飲んでいたせいで、余計美味しく感じられのかもしれない。

 

ブリックはカリっと揚げた皮に卵・ツナ・ミント・玉ねぎ等の具が包まれていて、ナイフを入れると黄身がトロッと流れ出すのが特徴だ。安価でとても美味しい。サラダも野菜が新鮮だ。

 

きれいな半月形のブリック。サイズは大きいが、具はそれほど多くないので気軽に食べられ、ビールのつまみに最適だ。

 

これを嫌いな人ってあんまりいない気がする。嫌いになれる要素がない。

 

ツナサラダはてんこ盛り。オリーブが入っていて、地中海らしい雰囲気だ。

 

 

ベックスを2本飲んで、端数程度のチップを置いて、全部で18ディナール(700円弱)だった。満腹になったので、後はホテルに帰って寝るだけだ。

 

(参考)

ブリックについての記事

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140220/384621/?P=1

 

ウィキペディアのチュニスの市電(メトロ)の項目

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AD

 

(続く)

 

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(6)~チュニス3日目・猫好きピープルとスーパーのビール売り場編~

2019-11-09 18:39:13 | チュニジア

 

チュニジア滞在3日目は、観光以外のことを色々したような一日だった。

 

疲れのせいか時差ボケのせいか、前日よく眠れなかったので、朝食をとってから2度寝し、11時過ぎに出かける。

 

この日は朝食ルームで観光客らしき欧米人の女性客を見かけた。これまで外国人観光客らしき人を全然見なかったので、少し安心した。観光客、いるんだ・・・近年は大きなテロは起こっていないものの、2015年のバルドー博物館襲撃テロの衝撃が強かったためか、外国人観光客の数は非常に少ないように思われた。バカンスシーズン直後という時期のせいもあったかもしれないが。

 

 

チュニジアらしい青と白の装飾のホテルの廊下。掃除道具がアクセント

 

翌日からもう少し安いホテルに移ろうと考えていたため、この日はまず新市街でホテルを探した。

 

当初の計画では、チュニスに3泊してから南下して、サハラ砂漠のオアシスの街トズールかドゥーズ、あるいは古い穀物倉庫群「クサール」が残っているメドニンやタタウィン周辺で2,3泊するつもりだったのだが、どうも重い荷物を抱えてバスで7,8時間かけて移動し、短期間で慌ただしく観光する気合が出なかったので、今回はチュニスに腰を落ち着けて、のんびりすることにしたのだ。

 

メドニンのクサール。いつか見に行きたい…

Medenine Ghorfas.JPG

 

ウレド・スルタンにあるクサールはさらに魅力的。行きにくそうだが。世界の果てっぽい廃墟って、なぜこんなに心惹かれるのだろう。私の心象風景に重なるのかもしれない。心が荒んでるのかも・・・(この2枚はウィキペディアから拝借)

 

 

とにかくそういうわけで、また安ホテルを探して回ることになった。私の希望は、今のフランスホテルよりも宿泊料金が安くて、Wi-Fiが使えて、エアコン・テレビ・シャワー・トイレ付きのシングル。スマホにSIMカードを入れたとはいえ、パソコンがあるので、部屋でWi-Fiを使えないと不便なのだ。

 

路上でくつろぐ三毛猫さん

 

間近でよく見ると、けっこうな美猫だ

 

 

まず、地球の歩き方に載っていたジュネーブ・ホテルに行ってみる。欧米の国・都市名を冠したホテルが多いのだ。イメージ戦略か。ここはわたしの希望にぴったり合っていて、料金も朝食付きで1泊50ディナール(約1900円)と比較的安く、しかも清潔そうでフロントのお兄ちゃんも感じが良かった。しかし予約できるかと聞くと、「明日の朝8時に来て、空きがあるかどうか聞いて」と言われる。その近辺にある他のホテルで聞いてみても同様だった。チュニス到着の日の宿探しの時にうすうす察したように、ここの安宿は予約が出来ず、当日に直接行って確かめるしかないようだ。でも8時って、早すぎないか?

 

とにかく、ジュネーブホテルを第1候補、その近くのサランボホテルを第2候補にして(第3候補はイギリスホテル)、翌朝出直すことに決めてホテル探しは打ち切り、昨日と同様に旧市街に行く。またゼイトゥーナ・モスクに面した広場のスタンドでミックスジュースを飲み、その近くのアイスクリーム屋さん(たぶん)の前の猫スポットへ。そこで猫の写真を撮っていたら、毎日猫の餌付けをしているという老人や、猫好きの母娘たちに話しかけられた。

 

 

猫好きの老人

 

 

もう1匹寄ってきた

 

 

私も撫でさせてもらった。

 

 

くつろぐ白黒猫さん

 

 

このフレンドリーな母娘3人組も大の猫好き。家で2匹飼っているそうだ。

 

 

すぐ近所にある家から、飼っている子猫を連れてきてくれた。後ろの黄色いシャツを着たおじいさんも猫を飼っていると言っていた。猫スポットに猫好きあり。

 

子猫、逃げたそう

 

 

彼らと別れてから、またアーケード付きスークを通ってフランス門に向かう。もちろんスークも猫だらけだった。

 

猫は旧市街の建物によく似合う。富士に月見草が似合うのと同じだ。

 

 

 

子猫は石の床ではなく、ビニール袋の上に寝ていることが多かった。その方が寝心地がいいのだろうか。

 

 

 

 

この日は日曜で午後はスークが休みということで、もう店仕舞いを始めているところも多かった。金曜日はアルコールの販売が禁止で、翌日はイスラムの祝日(ヒジュラ暦の元日)でやはりアルコール販売禁止で、日曜日は日曜日で午後スークの商店等が閉まるって、キビシイ・・・

 

フランス門を過ぎて新市街に入り、両替所を探す。日曜日なので銀行は閉まっていたが、空いている両替所が見つかったので、手持ちの現金のうち1万円を両替する。窓口のお兄さんが日本好きで、いつもテレビで日本の番組を見ているそうで、非常に感じが良かった。中東は(イタリアも)日本好きの人が多い。

 

用事も済んだので、今日こそスーパーで酒を買うぞ!ということで、モノプリに行く。過去2日間は無駄足だったが、三度目の正直だ。

 

あった~!!!(感動の嵐) でもビールがないぞ。ワインは前日買ったものが残っているので、ビールだけ買いたかったのだが。ちなみに、前日30ディナールで買ったワインが、ここでは3分の1近い値段で売られていた。ふっ・・・

 

 

その辺を歩いていたおっちゃんに、ビールはどこで買えるのか尋ねたら、「外にある」と言う。外? 店員さんにも聞いてみたが、「いったん店から出て、右側にある」と言われた。店を出て右って、なんのナゾナゾなんだ。

 

言われた通り外に出る。店内から見て右ということは、店を正面に見て左側ということだ。

 

この倉庫の入り口らしき扉を通って中に入るようだ。

 

入ってみると、係の人が「ビールはあっちだ」と奥のブースを指さす。そこにカウンターがあって、若者たちが並んでビールを買っていた。なぜワインや蒸留酒が店内で売られていて、ビールだけが倉庫でこっそり売られているのか謎だったが、とにかく私も並んでビールを買う。料金表が張られていて、分かりやすかった。小さい缶のセルティアを2缶買う。約5ディナール(約190円)。小さいわりに安くはないし、冷えていないが、まあいいとしよう。ビールをスーパーで買えただけで満足すべきだろう。

 

ホテルに帰ってビールを2缶とも飲み干し、クーラーをつけて夕方まで昼寝することにする。暑い中を歩き回ると疲れるのだ。体が弱いから、休憩しないと行き倒れるかもしれないし・・・

 

 

長くなったので、3日目の後半は次回。なかなかサクサク書けない、しくしくしく。

 

(続く)

 

 

 

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(5)~チュニス2日目最終・酒とカタルシス編~

2019-10-29 08:36:03 | チュニジア

 

今回はチュニス2日目の分の最終回。

 

 

朝ホテルを出たのは11時と遅かったが、スークなどを3,4時間歩き回ってすっかりくたびれたので、スーパーでビールを買ってホテルに戻り、軽く飲んでから夕食まで昼寝しようと思い、フランス門からすぐのところにある「マガザン・ジェネラル」に行った。しかし、それらしき棚には前日と同様ノンアルコールビールしか見当たらない。

気配が悪い・・・

 

心象風景

「rain clouds」の画像検索結果

 

 

平静を装いつつ、暇そうに立っていた若い男性の店員にビールはどこかと尋ねると、「今日はヒジュラ暦(イスラム暦)の元日だから売ってない」と返された。

 

 

心象風景

「陰の風が吹き滅の雨が降る」の画像検索結果

 

 

前日は金曜日だから法律でアルコール類の販売は禁止されていると言われたが、今日もヒジュラ暦の元日だからやはりアルコールはご法度らしい。なんとタイミングの悪い・・・「明日は土曜日だからあるって昨日言われたのに~」と苦情を言っても、「ないものはない」と言われるに決まっているので言うだけ無駄である。

 

一応もう一軒のスーパー「モノプリ」にも行ったが、やはりアルコールはなかった。しかし、私が絶望した表情を浮かべているのに同情してくれたのか、店員の一人が「販売は禁止だけど、飲食店で飲むことはできるよ」と言って、「カフェ・ド・パリ」というアルコールを置いている店を教えてくれた。

 

心象風景

「sole dopo la pioggia」の画像検索結果

 

カフェ・ド・パリは新市街のメインストリート、ハビーブ・ブルギバ通り沿いにあり、モノプリからさほど遠くなかった。名前の通りパリっぽいこじゃれた外観で、通りにテーブルが並べられ、日よけの赤いパラソルが広がっている。ただし、座ってるのは男性ばかりで、あまり爽やかさはないが。

 

中に入ってみたら、午後の中途半端な時間だったせいか、けっこう空いていた。そして、アルコールを飲んでいる人は一人も見当たらなかった。

 

心象風景

「sole prima la pioggia」の画像検索結果

 

 

年配のベテランっぽい陽気なウエイターのおじ様に話しかけてみる。

 

み「ビールありますか?」

おじ「今日はないよ」

うう、やはり・・・

み「どうしてないの?(知ってるけど一応聞く)」

おじ「イスラムの祝日だから」

み「チュニジアはダウラ・マダニーヤ、ガイル・ディーニーヤ(宗教を基盤としない世俗国家)だとずっと思ってたのに~」

おじ「いやいや、チュニジアはダウラ・イスラーミーヤ・アラビーヤ(アラブのイスラムの国)だぞ」

み「(アラブの国なのは当然だけど、が~ん)・・・で、あなたは酒を飲まないの?」

おじ「飲まないね。普段は酒を出すけど、自分は飲まない」

み「他の店員さんたちも?」

おじ「いや、たいていの奴が飲むね」

み「飲む人もいるんだ、アルハムドゥリッラー(よかった)」

(「アルハムドゥリッラー」は本来アッラー=神を称える言葉なので、こういう会話で使うのは不適切だが、怒らなさそうな相手だったので敢えて言ってみた)

おじ「ハハ、うちには置いてないけど、通りの向こう側のハナーホテルでは飲めるよ」

そう言いながら、斜め向かい側にある大きなホテルを指さして教えてくれた。

 

大きいホテルに行けば酒が飲めることはわかっていたが、高そうなのでこれまで私は敬遠していた。しかし、今日はもう疲れたし、そうも言っていられない。それに、道端などでおじさんたちに聞きながら探し物をする「おじさん方式」では、教えられた場所に行くのがルールなのだ。(個人的なルールです)

 

というわけで、ハナーホテルに到着。無骨なようなモダンなような、形容しにくい建物だ。

 

フロントでストレートに「ここに酒が飲める店はありますか?」と聞いたら、「すぐそこにありますよ、ほら」とフロアの奥にある店を教えてくれた。

 

入ってみると、重厚な雰囲気のカフェのようなパブのような内装で、シャバーブ(若者たち)やそのへんのおっちゃんたちは来なさそうだった。ホテルの宿泊客やビジネスマン、少し経済的に余裕のありそうな人が来る感じ。でもメニューを見たら、ビールが200円前後で特に高くない。物価が安いって、素晴らしい。

 

チュニジアビール「セルティア」。少し酸っぱくて美味しくないが、この時は美味しく感じられた。

 

 

イチジクの蒸留酒「ブハー」 特にイチジクの風味や香りはせず、純粋にアルコールの味がした。

 

とりあえず酒心は満たされたので、イタリア人のバリスタと言っても通りそうな、こちらの表情を見てなんとなく言いたいことを察してくれる接客のプロっぽいウエイターさんにチップを置いてホテルに帰る。もう夕方になっていた。くたびれた・・・

 

1時間ほど横になって休んでから、夕食をとるために重い腰を上げてまた出かける。観光客はつらいよ・・・

 

アルコールが置いてある飲食店を探して新市街を歩いたのだが、それらしき店はなかなか見つからない。しかし、暗い気分でとぼとぼ歩いている時、目の前の建物の小さな窓からハチの巣をつついたような大きなざわめきが聞こえてくるのに気が付いた。なにこのバズってるところは、と中を覗くと、広い店内を若者やおじさんたちが埋め尽くして、ビールを飲みながら賑やかに談笑しているのが目に入った。おお、飲み屋だ~! やっぱりあるんだ、酒が飲める店~ そうよね、イスラムの祝日だろうがなんだろうが、友達と酒を飲んで騒ぎたい人たちも大勢いるよね、そりゃそうよね!

 

私の心の中の乾ききった砂漠に突然現れたオアシス

 

 

女性の姿は全くなく、入ってさらし者になりながら飲む根性は出なかったので、入り口のドアの前に立っていた男性に酒を売ってもらえるか聞いてみた。もちろんOKだとのことなので、チュニジアの赤ワインと小瓶のビールを1本ずつ買う。ワインは30ディナール(約1150円)とやけに高かったが、文句を言える立場ではないので黙って支払う。

 

酒が買えた瞬間、勝手のわからぬ見知らぬ国で道に迷いながら歩き回った疲れと閉塞感が一気に消えて、世界が光に満ちて見えた。カタルシスとはこのことか。やはり、強く求めて真剣に探せば、たいていの物は見つかるのだ。よく見ると、その店の周辺には同じようにバズっている飲み屋が何軒かあった。そういう界隈なのだろう。

 

カバンは重くなったが、気分は軽い。胃も軽かったので、地球の歩き方に載っていた安食堂「モハメド・アビド・パスタカサ」で夕食をとった。安食堂なのでアルコールはないが、後でホテルで飲めばいいので全然かまわない。1人で来ている女性客も2人いた。ヨルダンやシリア等では、1人で食事する女性客の姿を見た記憶がない。チュニジアはやはりアラブ諸国の中では女性の権利・社会進出の点で進んだ国なのだろう。レバノンの次くらいかな?

 

「メルゲーズ」というソーセージ(羊か牛)のクスクスを頼む。水も頼んで9.5ディナール(約360円)。

 

スパイシーなメルゲーズも、柔らかくなるまで煮込んだ野菜も、味が染みたクスクスも美味しかった。クスクスは粒が小さいのでパスタやパンなどよりも喉を通りやすい。日本でも私はカルディで買ったクスクスを常備していて、ちゃんと料理する時間がない時、お湯で戻したクスクスに出来合いのトマトソースなどをかけて食べたりする。クスクスは同量のお湯をかけて5分ほど蒸らせば食べられるので、米や麺類よりも便利なのだ。

 

帰り道、猫たちにエサを振りまきながら歩いていたら、ちゅ~るがなくなってしまった。もっとたくさん持ってくるべきだった。

 

ホテルに戻ったら、部屋でお酒タイム。テレビをつけてアルジャジーラにチャンネルを合わせ、ワインを開ける。ビールと同様あまり美味しくないが、いいことにする。とにかく酒が買えたんだし、長い一日の終わりにこうしてベッドで酒を飲みながらアルジャジーラを観ているのだ。これ以上何か求めたら罰が当たると言うものだ・・・

 

戦利品

 

 

これでチュニス2日目の日記は終わり。3日目以降はさくさくと進みたいものだ・・・

 

(続く)

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(4)~チュニス2日目・猫とスーク編~

2019-10-25 14:58:07 | チュニジア

 

今回はチュニス2日目の続き。帰国してからもう1か月経ったのに、まだ旅の開始から2日目のことを書いているという…

 

新市街の鉄道駅から旧市街(メディナ)に入り、ザイトゥーナ・モスク周辺の広場でジュースを飲んだ後は、モスクの脇から伸びているアーケード付きの細い小道のスーク(市場・商店街)を通ってフランス門に向かった。地球の歩き方に「ジャマー・エズ・ジトゥナ通り」という表記で載せられている旧市街のメインストリートだ。

 

アーケード付きスークは全体的に猫スポットだった。新市街も旧市街の他の地域も、要所要所に猫がいるのだが、「猫だらけ」というほどではない。しかし、このスークやその脇道、特に猫の餌付けをしている人がいる辺りは猫だまりが多く、しかも子猫の姿が目立った。子育てシーズンだったのだろう。

 

広場からモスクにかけても露店のスークが広がり、青果や肉や乾物など、様々な店が並んで道行く人を誘惑するのだった。住んでたら通うんだが。

 

 

つぶれ桃。甘くて汁気が多くて見た目も愛嬌がある。でもスークでは普通キロ単位で買う必要があるので、写真を撮るだけにしておいた。

 

 

肉屋の店頭にはてんこ盛りのミント。肉を調理する時に使うのだろうか。

 

 

どう調理すればいいのか私にはよくわからない部位も並んでいる。インテリアかな。

 

 

 

これはもしや、煮干し?? 猫のおやつにも良さそうなので、買わなかったことを一日中後悔した。方向音痴なので、後で引き返して同じ場所にたどり着くのはほぼ不可能なのだ。

 

 

広場周辺の露店のスークを外れて、アーケード付きのスークの方に入る。

 

 

アラブの歴史的な屋根付スークには、旅人を惹きつける怪しい魅力があると思う。不思議な生物や精霊がひっそり棲みついていそうなのだ。

 

女性客で賑わっているマクハー(喫茶店)もあった。中東のマクハーは伝統的に男性の世界であり、女性客ばかりのところは珍しい。さすがチュニジアだ。

 

民族衣装を売る店。子供服、かわいいけど結構高そう。

 

下半身のマネキンは靴置き場を兼ねている。奥の右側のマネキンの顔がミイラ男

 

ある伝統的なドレスを売っている店では、日本好きだという威勢のいい若者に日本語で話しかけられた。ドレスにはぜんっぜん興味がないと言っても(事実だし)、「買わなくてもいいから見て行ってくれ。2階にもあるから2階に来てくれ」と熱心に言い募る。面倒なので、「今日は時間がないから、また今度来るね~」「今度っていつだ」「来年かな~」などと軽くいなして通り過ぎた。

 

スークに限ったことではないが、旧市街の古い建物の扉には、「ファーティマの手」が付いていることがあった。魔除け(邪視よけ)の役割を備えたドアノッカーで、「ハムサ」とも呼ばれる。ダマスカスの旧市街でもよく見かけた。手がふっくらしてかわいらしいので、つい用事がなくてもノックしたくなるのだが、大人なので我慢する。いい年して、しかも外国でピンポンダッシュするわけにもいかんからな・・・

 

ファーティマの手。これを持ち上げてコンコンとノックする

 

「私を握って」と誘惑する白い手

 

両手バージョンもある

 

子供の頃、ピアノの先生に「卵を握っているような形に手を丸めて弾くように」と指導されたことを思い出す。

 

 

猫たちはスークのお店の中にもいたりするが

 

 

脇道の方が猫を見かける確率が高いので、いちいち覗き込んでしまう。

 

 

私が美味しいものを持っていることを察したらしい賢い子

 

 

はるばる日本から空輸したちゅ~るをあげてみたら、獣のように(獣だけど)貪った。チュニジアの猫も日本の猫も、ちゅ~るの魔力の下では平等なのだ。

 

 

ペットボトルの下部を切り取った猫用の水の容器は、猫たちの世話をしている人が近くにいるサイン

 

台の下なども、覗くとこんなかんじ

 

ゴミ袋のベッドでツルっと滑っちゃった子猫と

 

それを冷静に観察する兄弟猫

 

家具屋さんの店頭にいた猫。なでさせてくれたが、なですぎたら爪が出た。教育的指導。

 

 

脇道の一つで、エサ場らしき猫だまりを見かけたので近寄って写真を撮っていたら、にこやかな女性が現れた。近くの文房具店の人で、毎日約20匹の外猫を餌付けし、自宅でも数匹飼っているとのことだった(うろ覚え)。

 

猫だまり

 

 

文房具店の前で待機している猫たち。よその猫より色つやがいい。

 

 

店内にも猫をはべらせている彼女。快く写真を撮らせてくれた。これはこの日のベストショット。

 

ちなみに、この日は途中でカメラのバッテリーが切れたので、携帯で写真を携帯で撮っていたのだが、道端で暇そうに立っていた男性がそれを見て、「携帯を狙うスリがいるから気を付けて。旧市街はスリだらけだぞ。携帯はカバンに入れた方がいい」と忠告してくれた。携帯を狙うスリが多発しているらしく、この忠告は他でも聞いた。そうはいっても写真を撮らないわけにはいかないので、注意しつつ持ち歩いた。

 

スークと猫を堪能し、歩き疲れてへなへなになったところでフランス門に到着したので、ホテルに帰って一休みすることにした。しかし、その前に酒を買わなければならない。前日、金曜日だったせいで酒が買えなかったから、この日はどうしても酒を買って、飲んでから昼寝をしなくてはいけなかったのだ。(アル中の使命感)

 

(続く)

 

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(3)~チュニス2日目・方向音痴編~

2019-10-09 17:03:50 | チュニジア

 

チュニス2日目の朝、9時半頃に朝食に行こうとドアを開けたら、廊下にいた掃除係らしき若い男の子(真面目そうな男前)が私を見て近寄り、出かけるのかと尋ねた。朝食を食べに行くところだと答えると、部屋を掃除したいと言うので、鍵を渡して1階に降りる。

 

朝食はパンと飲み物だけの簡素なものだったが、給仕のおじ様がにこやかで感じが良く、私がクロワッサンしか食べずにコッペパンみたいなのを食べ残したら、翌日からはクロワッサンを2個用意してくれた。方言が強くて、何を言われているのかよく分からないのが残念だったが…

 

コーヒーや紅茶はカウンターの中のおじ様に頼み、ジュースなどが欲しければコカ・コーラのロゴ入りの冷蔵庫から自分で取る方式。ジュースは別料金のようだった。

 

小学校風の薄いベニヤ板の椅子と机、なんとなく懐かしい

 

 

朝食を済ませ、廊下にいた掃除係の彼から鍵を受け取って部屋に戻り、綺麗になった部屋で2度寝する。朝が遅い私にとってホテルでの滞在は、掃除の時間に部屋を空けなければいけないことがネックなのだが、このホテルでは朝食をとっている間に掃除が終わっていたので、心置きなく2度寝することが出来た。掃除をするのが男性なので、下着の洗濯のタイミングや干す場所が微妙だったが・・・

 

11時頃、もっとゴロゴロしたいのを我慢して、勇気を出して出かける。私って、なんてエライんだろう。(「褒めて伸ばそう良い自分」運動推進中) 旧市街を目指して歩き出したのに、なぜか新市街の鉄道駅にたどり着いた。不思議だわ、宇宙人の仕業かしら?(単なる方向音痴や)

 

道すがら中央市場を通りかかったので、魚売り場を覗いてみた。チュニジアが地中海に面しているためか、いかにも新鮮な海の幸が豊富に並んでおり、それを男たちが下処理しつつ売りさばいていた。人出が多くて活気がある。よかった、午前中に出かけて・・・早起きは三文の徳とはこのことか。

 

正面入り口

 

鮮魚売り場の入り口

 

屋内の市場であまり自然光は入らないが、電球がたくさんぶら下がっていて、シャンデリアのように煌びやか。まるで舞踏会の会場のようだ。タイやヒラメが舞い踊るタイプの生臭い舞踏会。

 

新鮮さを見せるため、エラを見せる形でディスプレイされていた。アンマンの市場のハエのたかった不吉な匂いのする生魚と全然違う。

 

何か叫んでいるっぽい魚もいた。地球温暖化が導く恐ろしい結末を人類に警告しているのか。(妄想)

 

関係ないが、チュニジアでは私の知っている他のアラブの国と違って、眼鏡をかけた男性をよく見かけた。新聞や本を読む人が多そうなイメージ。

 

魚売り場の脇には植物コーナーもあり、その片隅でサビ猫さんたちがとぐろを巻いていた。

 

中央市場を出て、少し歩くと市電(メトロ)のバルセロナ駅に着く。チュニジアなのにバルセロナ。何本かの路線がここに乗り入れており、主要な乗換駅となっている。

 

 

市電のチケット売り場。降りる駅に寄って運賃が異なるので(2~30円程度だったが)、窓口の人にどこに行くか伝えて、言われた金額を払う。

 

 

周辺には市バスのターミナルもあった。ちなみに、着いた日に乗ったバスの運賃は0.5ディナール(20円弱)だった。乗ってから払う。

 

 

市電の駅から小さい公園を抜けて、隣接する鉄道駅に行ってみた。電車に乗るわけではなく、単なる見物だ。

 

公園でお出迎えしてくれた子。この子は目が白濁していた。目に問題を抱えてそうな猫は少なくなかった。不憫だ…

 

この子は大丈夫そう。

 

鉄道駅はバルセロナではなくて「チュニス駅」。けっこう広い。

 

 

見学を終えたら駅から出て、本来の目的地だった旧市街に向かい、道すがらスーク(市場・商店街)を眺める。この日はイスラム歴(ヒジュラ歴)の元旦だったが、普通に店が開いていて人通りが多く、非常に賑やかだった。

 

何を売っているのかよくわからない店。アラブあるある。

 

香水屋さん。アラブ人は男性も香水が好きだと思う。

 

乾物屋さん。唐辛子ペースト「ハリッサ」の本場だけあって、唐辛子を繋げて干したものをよく見かけた。右端の壁にかけてあるやつ。レイの代わりにも使えるね。

 

美味しそうなお菓子も色々ある。揚げ菓子が多い。

 

カラフルな小さいスプーン付きのパックで売られている。気配りが細かい。でもこのスプーンを使うと、きっと手がベタベタになる。

 

写真を撮っていたら、どうぞ、と差し出された。揚げてシロップに浸した系のお菓子。甘いけど美味しいけど甘い。

 

 

やがて旧市街のヘソ、ザイトゥーナ・モスク(グランドモスク)に面した広場に出た。ミナレットが遠くからも見えるので、方向音痴でも見つけやすい。この広場の周辺には、安食堂や食べ物・ジュースを売る店が並んでいる。

 

軽食の売店。お店の人が、「あらどうしよう、外国人観光客に写真撮られちゃった。私有名になっちゃうかしら」という感じのカメラ目線をくれた。

 

賑わっていた安食堂。入りたかったが、あまり食欲がなかったのでやめておいた。大きな胃が欲しい・・・

 

生ジュースが飲めるスタンドが2軒並んでいた。この隣はサンドイッチ売り場。

 

このミックスジュース(たしか桃・林檎・バナナ)を飲んでいる人が多かった。私も飲んでみたが、どろっとしていて甘すぎず、美味しかった。1.7ディナール(約65円)。旅行中はビタミンが不足しがちなので、こういう生ジュースをできるだけ毎日飲むよう心掛けている。

 

 

ジューススタンドのすぐそばのアイスクリーム屋さんらしき店。猫のお客さんが入ろうとしていた。

 

店内は薄暗く、誰もいない模様で、猫さんは思案顔

 

別の猫も登場。ここは猫スポットだった。

 

 

この後、ザイトゥーナ・モスクの脇から細い路地に伸びたスークを抜けて、フランス門に向かった。このスークは猫だらけだった。

 

(続く)

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