先日、電車を降りホームを歩いていたときのことです。
前方に押し車を押しながら、のっそりと歩いているおばあちゃ
んが見えました。その先には急な上り階段があります。上った
先が改札となっているのです。今、バリアフリー工事をしていて、
エレベーターはまだありません。
背中を丸め、押し車を懸命に押す細身のおばあちゃんがあの
階段を上るのは、どう見ても無理です。案の定、階段を目の前
に立ち止まってしまいました。
ほっそりした腕で必死に押し車を持ち上げようとしています。
ただ、持ち上がる気配すらありません。
側を通る通行人は、困った様子に気づいていないのか、それ
とも気づいていないふりをしているのか、無情にも手伝うこと
はありませんでした。私が手伝おうと思い足を速めました。
かなり近づいたときです。
20代から30代くらいのOL風の女性がかがみこんで、その
おばあちゃんに話しかけました。
すると、その女性はひょいっと押し車を持ち上げ、おばあちゃ
んと一緒に階段を上がって行きます。
二人並んでおしゃべりしながら階段を上がる後ろ姿は、何やら
楽しそうにも見えました。こういうのってなんかいいなぁ。
助け合って生きていくってこういうことだよな。私は自然と笑み
がこぼれているのに気づきました。日頃、仕事で地域福祉の推進
に携わっていますが、こういったことが当たり前になるといいで
すよね。なんだかうれしい気持ちになってきました。
ふと、バリアフリー工事のことを思い出しました。エレベー
ターのバリアフリー工事が終わるとこの駅も便利になるでしょ
う。でも、もうこんな光景を見ることがなくなるかもしれません。
急にさびしい気持ちが遠くからやってきました。
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