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米国上場断念  世界に出るには・・・

2007-10-01 00:29:29 | 内部統制
NEC、ナスダック上場廃止へ 年次報告書提出できず
2007年09月21日22時04分(asahi.com)

 NECは、米証券取引委員会(SEC)に経営状況についての年次報告書を提出できないため、米ナスダック市場で上場廃止となる。06年3月期についての報告書提出が遅れているとして昨秋、同市場から上場廃止を勧告され、対応を検討してきたNECが21日、提出断念を発表。同市場では27日からNECの米国預託証券(ADR)の取引が停止される。NECによると、報告書が提出できずに上場廃止となるのは前例がないという。

 NECがナスダックに上場しているADRは発行済み株式の約2.9%で、時価総額約320億円。記者会見した小野隆男常務は「資金調達面で影響はない」とする。ただ、有名な株式市場から「退場」させられることで企業としての信用を落とす恐れがある。また、ADRの解約手数料も負担する方針だが、株主に訴訟を起こされるリスクもある。

 東京証券取引所1部など国内市場への上場株式の取引については「問題ない」とし、日本の会計基準による財務諸表の内容に今回の問題は影響しないという。

 NECは昨夏、SECに出す年次報告書の作成に関し、情報システムの保守・サービスの売上高の計上方法が適正だと証明できるデータを出してほしいと米国の監査法人に求められた。米国の専門コンサルタントの手も借りて対応したが、ナスダック側に指定された今月25日の報告書の提出期限に間に合わなかった。

 情報システムに関する取引は、ハードウエア、ソフトウエア、保守・サポートサービスなどを一括で引き受ける「複合契約」が多い。監査の厳格化の流れを受け、米監査法人はこの複合契約がどんぶり勘定になっていない「証拠」として、10年以上さかのぼった標準価格表などが要るとした。

 だが古いデータは廃棄していた。もともと価格設定を厳密に決めず、割引率も取引の相手や内容によって変えているため「証拠」も用意できず、後付けで合理的な説明がつくような計算方式を編みだそうとしていた。

 NECはそれまで、顧客との契約書を「証拠」とし、監査でも認められてきた。小野常務は「あまりに突然で、全く備えていない要求だった」と無念そうだった。

 ●厳格監査の米上場に固執
 市場関係者は、今回の上場廃止の背景に、米国の企業改革法(SOX法)の施行や会計基準の厳格化があるとみる。「NECが米国上場のステータスにこだわった結果、ダメージが大きくなった面もあるのではないか。資金調達面だけなら、より基準の緩やかな欧州市場などもある」との指摘もある。

 米国市場から自主的に「退場」した例としては、03年4月にナスダック市場に上場廃止を申請したイトーヨーカ堂がある。米国での株式売買が細り、利点が薄れたためとしたが、市場関係者には「米国基準の会計処理ルールの変更も背景にあったのでは」との見方もあった。

 野村資本市場研究所の大崎貞和・研究主幹は「米SOX法の影響で監査法人の姿勢が厳格化し、企業は過大な負担になる分析を求められる例も出てきた。米市場に上場している企業にとって今後もこうした分析を求められる可能性がないとはいえない」と語る。

 ただ、いまのところ、NECの同業他社は対応できているとしている。日立製作所は「会計制度が変わる、変わらないにかかわらず、国際的な厳格化の流れを先取りし、透明性を高めるようにしてきた」という。「過去のデータも保管しており、監査法人のアドバイスをしっかり受けて対応している」という。
http://www.asahi.com/business/update/0921/TKY200709210323.html