毛沢東は若いころから、さらには長征中でも、17回以上読みふけった本がある。
それは北宋の文人政治家司馬光の編纂した「資治通鑑」である。
紀元前403年から紀元後959年までの中国の歴史がつづられている。
中国の先帝たちが向き合った問題「いかに権力の座にあり続けるか」に、関心があったのだろう。
資治通鑑から学べる教訓は、(ハーバード大学准教授 王祐華によると)
どんな王朝も永遠に支配することは出来ない。
王朝の滅亡で最も重要な原因はエリートの反乱である。
つつがなく帝位を去ることの出来た皇帝は半数しかいない。
有能で忠実な後継者を得た皇帝は長生きする。
習近平も明らかに学んでいるはずだ。
しかし今回の新体制をながめてみると、自らの皇帝としての地位を守るために汲々としている姿が目に浮かぶ。
自分の言いなりになる側近で脇を固め、ともすれば正論を吐く共青団グループ(李克強・胡春華ら)を完全に排除した。
次世代の後継者を育てる気もなく自分が永世皇帝気取りである。
毛沢東は73歳の誕生日に側近を集めてこう言った。
砦を落とす最も簡単な方法は、中から崩すことだ。
彼は最も危険な敵は自分の身辺にいることを言いたかったのだろう。
これからの中国が習近平1強体制確立で、秦の始皇帝や隋の煬帝の二の舞にならぬとも限らない。
極端に走れば内部から崩壊する可能性が十分あり得る。