歌手の長渕剛が札幌芸術劇場でのライブで次のように発言し、波紋を呼んでいる。
北海道という街は、その昔開拓民たちが一生懸命に開拓した街だ。お願いだからこの自然に満ち満ちたこの土地を、外国人に売らないでほしい。
心情は分からないでもない。
しかし現実の土地取引はそのようなメルヘン(おとぎばなし)ではない。
昭和年代までは土地を持っていることが一種のあこがれ、人々はこぞって土地買いに走った。
しかしバブル破裂以降、土地を持つことは「負動産」になる場合がある。
土地の評価は、その土地や建物を所有してどの程度の収益が上がるかという「収益還元法」に変化。
ただ持って寝かせているだけでは、負の資産を持つことになるから「負動産」だ。
評価損などが出てくれば「腐動産」になる。
北海道の土地は札幌の市街地や外国人の買い手が多いニセコなどは、値上がりしている。
しかしその他の辺鄙な土地はまさに「負動産」
中国人だろうが韓国人だろうが高値で買いに来れば売るだろう。
ただ、自衛隊の基地や原発など安全保障上の重要な施設の周辺や国境離島などの土地については、一定の規制をかけるのはやむを得ない。
しかしがんじがらめの規制は正当な土地取引という経済活動が制約される恐れがある。
その意味で今回全面施行された「土地利用規制法」は、十分な議論もなされずに成立した。
生煮えと言わざるを得ない。
長渕剛という歌手についてあまり知らないし歌も聞いたことがない。
その信条は多としたいが、一部に「参政党」の広告塔ではという人もいる。
「この土地を外国人には売らないで欲しい」と言うような情緒的な考えで議論する問題ではない。
もっと国会で議論すべきだろう。