プーチン大統領はウクライナ侵略に舵を切り、ロシアという国を道ずれに破滅の淵に向かっている。
なんともやり切れない展開である。
1962年(昭和37年)米ソの対立が核戦争寸前まで行ったことがあるが、あの時より深刻かもしれない。
キューバ危機は、ソ連がアメリカの喉元のキューバに核ミサイル基地を設置しようとしたところから始まった。
この時、アメリカの大統領ケネディは次のような言葉を発した。
一つは、両国が互いに相手国との最悪のことを想定して行動すれば必ず戦争になる。
一つは、軍に交渉を任せれば必ず戦争に向かうだろう。それを回避し抑えていくのは政治の力である。
ケネディもフルシチョフも部下や情報機関の話をよく聞くタイプでそれなりの「自制心」が残っていた。
今回、もしプーチンが戦略核を使えば、バイデンはそれを見過ごすことが出来るだろうか?
プーチンが「窮鼠猫を噛む」ようにやけくそになるのが怖い。
連合艦隊山本五十六の本音は、米英と戦争をしたくなかった。
しかし流れは開戦に傾き、1941年11月13日山本は各艦隊の司令官と主要幕僚を集めて訓示を行う。
この辺の状況を半藤一利は「戦争というもの」の中で語る。
山本五十六
「12月8日をもって米英に戦端を開く予定。しかし、いまワシントンで行われている日米交渉が成立したならば、出動全部隊に即時引き上げを命ずる。何があってもだ」
機動部隊司令官南雲中将が反対の声を上げる。
「それは無理です。敵を目前にして帰ることなどできません。士気にも影響します。そんなこと、実際問題として実行不可能です」
山本は一瞬キッとなった表情をして、激しい口調で言いました。
「百年兵を養うは何のためだと思っているのか!一に国家の平和を守らんがためである。もしこの命令を受けて帰ってこられないと思う指揮官があるのなら、ただいまより出勤を禁止する。即刻辞表を出せ!」
いま、この国は総理を経験したような人物が中心になって、「敵基地先制攻撃」や「核共有論」などを深い考えもなく拡散しようとしている。
なんとも空恐ろしい話である。
相手から攻められぬよう自衛のための戦力が自衛隊である。
攻撃されそうだからと、こちらから他国へ攻めていくようなことがあってはならないのだ。