マグリットの空と雲

旅,空,猫,馬,Champagne&美酒,美食,art,色,海&船…時にsurrealな、好きなもの写真雑記帳。

魚籃の謎

2008-11-23 | Temple;Shrine/寺社
高輪に“伊皿子(イサラゴ)坂”という長い坂があって、てっぺんまでいくと今度は一気に下る、もうひとつの坂“魚籃(ギョラン)坂”がある。
前住んでいた部屋が伊皿子坂の近くだったので、麻布方面に行くときにはよく、そのふたつの坂を越えて行ったものだ。

港区には百数十の名のつく坂があり、ほとんどの坂に由来の表示があるのだが、魚籃坂の由来には、「坂の中腹にある魚籃寺が由来」だと書かれていた。たしかに朱の立派な門構えの寺院がある。正確には「三田山水月院魚籃寺」というらしい。

横須賀に、海軍カレーを食べに行った時、“魚籃亭”というお店を知った。「“魚籃”か……。」

“ギョラン”という言葉、ほかではあまり馴染みのない言葉。そもそも“魚籃”が何を意味するかはよく知らない。まぁ、古い地名とかそんなモノだし。とくに気にも留めないまま、月日は流れてゆく。

それが、浦賀からクルージングに出た時のこと。うらが海の駅のマリーナで、観音像が目に入った。
近づいてみると、”魚籃観音”の文字。

―「あ、これが魚籃観音さま!?」
その手には、魚の入った籠を持っている。
そう魚籃とは「魚の入った籠」ことなのだそうだ。三十三観音のひとり「魚籃観世音菩薩」は、魚売りの美女が観音様の化身だったという中国の故事から来ているらしい。

港区高輪も江戸時代には東海道のすぐ脇が海岸線だった。横須賀も浦賀も海の町。
あとで知ったが、小田原の早川に、遠目にも目立つ大きく白い観音像があるが、それも魚籃観音像なのだと。
なるほど、海や魚に関係深い魚籃観音菩薩さま、海上安全や大漁祈念と供養のために祀られているわけだ。

最新の画像もっと見る