医療改革法案 与党了承 療養病床削減、受け皿不足… 医療現場は困惑
自民、公明両党は七日、七十五歳以上の新たな医療保険創設などを柱とする医療制度改革関連法案を了承した。長期の治療が必要なお年寄りが入院できる医療機関のベッド(療養病床)削減計画については、受け皿となる介護施設でもしっかりとした医療を受けられるよう今後検討を図ることで決着した。医療の現場などから受け入れ先不足を指摘する声が出ており、関係者には戸惑いが広がっている。
政府は医療制度改革で在宅医療の充実による医療費抑制方針を打ち出しており、介護型療養病床の廃止は入院日数短縮策の目玉。現在、介護型療養病床は十三万床、医療型療養病床は二十五万床ある。しかし、厚生労働省は療養病床の利用者は治療の必要性の低い人が半数近くにのぼるとみて、平成二十三年度末までに、介護型療養病床を廃止した上、医療型療養病床や介護施設に転換を図り十五万床にまで減らす計画。厚労省は入院日数短縮策で約四兆円の医療費縮減を見込むが、大半が療養病床削減による効果になる見通しだ。
東京都荒川区の木村病院は三年前に厚労省の方針に沿って、三十七床の療養病床を整備したばかり。木村厚院長は「どこでも病院の隣に土地が空いているとは限らず、老人保健施設への転換は広さの面で無理がある」という。そして「厚生労働省は『こっちの水は甘いぞ』と旗を振っては、経営的についてこられない病院を振り落とし、再び『こっちの水は甘いぞ』と別の方向に旗を振っては振り落としていく。それによって行き場がなくなる患者が一番、不幸だ」と憤る。
一方、再編で十五万床に減らされる療養病床の“奪い合い”も熾烈(しれつ)になりそうだ。
大阪府枚方(ひらかた)市で療養病床を持つ医療機関の院長は「療養病床には確かに、医療必要度の低い人も入っているが、これからは医療必要度の高い人を優先的に入れていかなければ、生き残れないだろう」と警戒感を強める。
厚労省が老人保健施設への転換以外に想定する六万-八万床の在宅への移行については、在宅サービスが十分とはいえない点が壁になりそうだ。
城西国際大学の服部万里子教授は「今の介護保険制度では、要介護度の重い人が在宅で一人暮らしをするほどのサービス量はない。在宅介護は家族の過酷な犠牲の上に成り立っているのが現状だ。療養病床を廃止するなら、安心感を確保するのが先決で、最初に廃止ありきのやり方は利用者に不安を与えるだけだ」と語る。
厚労省が今回、たいした議論もせずに決定した“手法”に不満もくすぶる。日本療養病床協会(東京都新宿区)の木下毅会長は、「本来、時間をかけて決めるべき重要なテーマなのに、十二月末に案が出て、たった二回、社会保障審議会の介護給付費分科会で話が出ただけで一カ月足らずで決めてしまうのはルール違反だ」と話している。
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■「入所難民が続出」批判噴出
自民党内では、医療関係議員らが「老人保健施設などの絶対的な収容数が不足している。受け皿の議論がなく結論を出すのは拙速だ」と猛反発し、最終段階まで賛否が分かれた。七日の厚労部会では「医療の必要度が特に低い患者が療養病床から追い出されたら、全国で約三万五千人の入所難民が生まれる」といった批判が相次ぎ、全会一致が慣例の総務会でも一部から不満が出る異例の事態となった。
医療関係議員らが最後まで反対に回ったのは、病院経営への影響が大きいことがある。患者一人当たりの一カ月の平均利用料は、介護型療養病床の約四十四万円に対して老人保健施設は約三十三万円と低い上、介護施設に移行するには施設改築が必要なためだ。「再編で収入減は避けられず、一部は閉院に追い込まれる」(中堅議員)ことへの懸念で、「多くの介護型療養病床は医療のコストがほとんどかからないため、高収入を生み、黒字を確保できた」というのが本音のようだ。
ただ、党内には「一部の怠慢な病院経営者を擁護しているだけ」との冷ややかな見方も少なくない。
一方、政府にとっては医療費削減策の大きな柱で、「法案に盛り込めなければ、医療費削減目標は達成できない」(厚労省幹部)。最終的には党三役が、反対論を押し切ったが、医療関係議員らは納得しておらず火種を残した形だ。
(産経新聞) - 2月8日2時50分更新
またまた「結論ありきの」小泉マジックで、破綻すると騒がれそうな医療保険から介護保険に付け替えるだけだと思われている件:
大義名分は「寝たきりにさせない」で。
病院にも勝ち組負け組の格差は悪くない!ってか。
確かに、今まで「医療的には必要が無いのに入院」していた人がいたのは事実ですが…また小泉改革のパターンかorz
介護施設が足りない…( ゜д゜)ポカーン
在宅看護サービスも足りない…( ゜д゜)ポカーン