特定機能病院、東京医大は「取り消し相当」
東京医科大学病院(東京都新宿区)第2外科の心臓外科医(45)が担当した手術で患者4人が相次いで死亡した問題で、厚生労働省の社会保障審議会医療分科会は6日、同病院の特定機能病院の承認について、病院側からの自主返上の申し出を認めず、「取り消しが相当」とする結論をまとめた。
同省は今後、関係者への聴聞を行い、7月にも最終決定する。
承認取り消しは、カルテ改ざんにより手術ミスを隠ぺいした東京女子医大病院(2002年9月)に次いで2例目。患者取り違え事件のあった横浜市立大病院は1999年8月に承認を返上し、01年1月に再承認されている。
同分科会は、東京医大病院の問題を「医療界全体に対する国民の信頼と期待を揺るがした」と判断、同病院からの自主返上を受け入れるのではなく、厚労省が主体的に承認を取り消すことで、問題の重大性を示すことが妥当と結論付けた。
東京医大病院の外部調査委員会は今年3月、「未熟な医師に手術を任せた結果、死亡例が続いた」とする調査結果を公表。これを受けて、同病院では病院長らが引責辞任を表明したのに加え、診療報酬の優遇措置が受けられる特定機能病院の承認返上も明らかにしていた。
診療報酬の優遇措置が受けられなくなると、年間収入260~270億円の同病院の場合、3~4億円の減収になるという。
(読売新聞) - 6月6日13時46分更新
<事の発端はこちらです>
「専門医」の取り消し検討 4人死亡の東京医大医師
東京医大病院(東京)第二外科で2002-04年、同じ医師が手術した心臓弁膜症の患者が相次いで死亡した問題で、心臓血管外科専門医認定機構は8日までに、この医師が持つ「心臓血管外科専門医」の資格取り消しの検討を始めた。
19日に開催予定の最高意思決定機関の委員会で議論する。認定機構によると、これまでに認定した専門医は約1600人で、取り消し例はない。
資格は「十分な専門的知識と技量を有する者を認定し、社会から信頼と評価を得る」のを目的に03年に導入。最低20例の手術実績などが申請に必要とされている。
問題の医師は、02年10月-03年3月に執刀した手術で患者3人が死亡。昨年1月に助手として参加した手術でも患者1人が死亡した。
(共同通信) - 4月8日16時33分更新
東京医大の連続死、技術未熟・改革必要と外部調査委
東京医科大学病院(東京都新宿区)第2外科の心臓外科医(45)が手術を担当した心臓弁膜症の患者4人が相次いで死亡した問題で、同病院が設置した外部調査委員会(委員長=古瀬彰・JR東京総合病院長)は30日、「技術が未熟で、経験の浅い医師に手術を任せた結果、死亡例が続いた」とする調査結果をまとめた。
第2外科を統括する石丸新教授(57)の責任についても、「死亡例が連続しているのに外科医のトレーニングのために手術を続けさせた。患者中心の医療という理念に反する」と厳しく指摘した。
調査委は、心臓血管外科の専門医や弁護士資格を持つ医師ら計5人で構成。問題が明るみに出た2004年12月に設置され、第2外科関係者からの聞き取りやカルテ(診療録)の精査、問題の手術を録画したテープの解析などを行った。
その結果、4人(当時67~81歳)に対するいずれの手術(02年10月~04年1月)でも、人工弁を縫合する針の使い方や、人工弁のサイズの選択などで基本的ミスが見つかった。
弁膜症手術とバイパス手術を同時に行った3例目の患者については、人工心肺装置を使用すべきだったのに、途中まで人工心肺を使わない難しい方法を選び、患者に重大なダメージを与えたと分析。複数の冠動脈で行ったバイパス手術の1本については「そもそも不要な手術だった」とした。
そのうえで、1例目と3例目の患者の手術について、報告書は「高度な技術を持つほかの医師に任せるべきだった」と判断。2例目からは関連病院の経験豊富な医師を助手として招いていたが、「連携が悪く、この医師の技術を十分生かせなかった」と指摘した。
また、患者や家族に対して、手術の危険性に関する事前説明や、手術後の容体急変の理由説明が、4例とも十分に行われていなかったと認定、院内の安全管理委員会に全く報告しなかった石丸教授らの姿勢も批判した。
問題の背景について、調査委は「執刀医の決定を含む心臓外科全般の総括が、血管外科を専門とする石丸教授のみによって行われていた。石丸教授が経験豊富な医師を院外に排除し、問題の外科医を手術チームの中心に据えた」と、医局の弊害を指摘。「執刀医を決める教授は心臓手術に熟達し、緊急時は、自ら修復できる技量と経験の持ち主であるべき。医療の質を向上させるための改革を実行するべきだ」と、同病院に求めた。
記者会見した古瀬委員長は、「平均からみてかなり低い医療が行われた。これだけのことが起きたのに事故でないとは言い難い」と述べた。
◆東京医大病院の話「報告内容に関しては厳粛に受け止め、病院として詳細に精査し、対応策の検討を早急に進めている」
2005年03月30日(水) 読売新聞
昔、親がよく「大学病院にいくとモルモットにされる」と言っていました。
こういう事件があると、「ほらね」とか言いそう…。
まあ、今の時代、本気で臨床やりたい先生は、民間病院に行ってもモーマンタイになりつつあるのかもしれません。
民間病院から大学教授になられた方もいらっしゃる時代ですからね(ぐぐったら、偶然か心臓外科の先生でした)。
民間で臨床修行を積んだ先生が教授になられることは患者としてはありがたや、ですが、そうなると、大学病院と民間病院の差別化とは何ぞや?の話になりそうですね。
「特定機能病院とは何ぞや」の話は、また後でのお楽しみに。
東京医科大学病院(東京都新宿区)第2外科の心臓外科医(45)が担当した手術で患者4人が相次いで死亡した問題で、厚生労働省の社会保障審議会医療分科会は6日、同病院の特定機能病院の承認について、病院側からの自主返上の申し出を認めず、「取り消しが相当」とする結論をまとめた。
同省は今後、関係者への聴聞を行い、7月にも最終決定する。
承認取り消しは、カルテ改ざんにより手術ミスを隠ぺいした東京女子医大病院(2002年9月)に次いで2例目。患者取り違え事件のあった横浜市立大病院は1999年8月に承認を返上し、01年1月に再承認されている。
同分科会は、東京医大病院の問題を「医療界全体に対する国民の信頼と期待を揺るがした」と判断、同病院からの自主返上を受け入れるのではなく、厚労省が主体的に承認を取り消すことで、問題の重大性を示すことが妥当と結論付けた。
東京医大病院の外部調査委員会は今年3月、「未熟な医師に手術を任せた結果、死亡例が続いた」とする調査結果を公表。これを受けて、同病院では病院長らが引責辞任を表明したのに加え、診療報酬の優遇措置が受けられる特定機能病院の承認返上も明らかにしていた。
診療報酬の優遇措置が受けられなくなると、年間収入260~270億円の同病院の場合、3~4億円の減収になるという。
(読売新聞) - 6月6日13時46分更新
<事の発端はこちらです>
「専門医」の取り消し検討 4人死亡の東京医大医師
東京医大病院(東京)第二外科で2002-04年、同じ医師が手術した心臓弁膜症の患者が相次いで死亡した問題で、心臓血管外科専門医認定機構は8日までに、この医師が持つ「心臓血管外科専門医」の資格取り消しの検討を始めた。
19日に開催予定の最高意思決定機関の委員会で議論する。認定機構によると、これまでに認定した専門医は約1600人で、取り消し例はない。
資格は「十分な専門的知識と技量を有する者を認定し、社会から信頼と評価を得る」のを目的に03年に導入。最低20例の手術実績などが申請に必要とされている。
問題の医師は、02年10月-03年3月に執刀した手術で患者3人が死亡。昨年1月に助手として参加した手術でも患者1人が死亡した。
(共同通信) - 4月8日16時33分更新
東京医大の連続死、技術未熟・改革必要と外部調査委
東京医科大学病院(東京都新宿区)第2外科の心臓外科医(45)が手術を担当した心臓弁膜症の患者4人が相次いで死亡した問題で、同病院が設置した外部調査委員会(委員長=古瀬彰・JR東京総合病院長)は30日、「技術が未熟で、経験の浅い医師に手術を任せた結果、死亡例が続いた」とする調査結果をまとめた。
第2外科を統括する石丸新教授(57)の責任についても、「死亡例が連続しているのに外科医のトレーニングのために手術を続けさせた。患者中心の医療という理念に反する」と厳しく指摘した。
調査委は、心臓血管外科の専門医や弁護士資格を持つ医師ら計5人で構成。問題が明るみに出た2004年12月に設置され、第2外科関係者からの聞き取りやカルテ(診療録)の精査、問題の手術を録画したテープの解析などを行った。
その結果、4人(当時67~81歳)に対するいずれの手術(02年10月~04年1月)でも、人工弁を縫合する針の使い方や、人工弁のサイズの選択などで基本的ミスが見つかった。
弁膜症手術とバイパス手術を同時に行った3例目の患者については、人工心肺装置を使用すべきだったのに、途中まで人工心肺を使わない難しい方法を選び、患者に重大なダメージを与えたと分析。複数の冠動脈で行ったバイパス手術の1本については「そもそも不要な手術だった」とした。
そのうえで、1例目と3例目の患者の手術について、報告書は「高度な技術を持つほかの医師に任せるべきだった」と判断。2例目からは関連病院の経験豊富な医師を助手として招いていたが、「連携が悪く、この医師の技術を十分生かせなかった」と指摘した。
また、患者や家族に対して、手術の危険性に関する事前説明や、手術後の容体急変の理由説明が、4例とも十分に行われていなかったと認定、院内の安全管理委員会に全く報告しなかった石丸教授らの姿勢も批判した。
問題の背景について、調査委は「執刀医の決定を含む心臓外科全般の総括が、血管外科を専門とする石丸教授のみによって行われていた。石丸教授が経験豊富な医師を院外に排除し、問題の外科医を手術チームの中心に据えた」と、医局の弊害を指摘。「執刀医を決める教授は心臓手術に熟達し、緊急時は、自ら修復できる技量と経験の持ち主であるべき。医療の質を向上させるための改革を実行するべきだ」と、同病院に求めた。
記者会見した古瀬委員長は、「平均からみてかなり低い医療が行われた。これだけのことが起きたのに事故でないとは言い難い」と述べた。
◆東京医大病院の話「報告内容に関しては厳粛に受け止め、病院として詳細に精査し、対応策の検討を早急に進めている」
2005年03月30日(水) 読売新聞
昔、親がよく「大学病院にいくとモルモットにされる」と言っていました。
こういう事件があると、「ほらね」とか言いそう…。
まあ、今の時代、本気で臨床やりたい先生は、民間病院に行ってもモーマンタイになりつつあるのかもしれません。
民間病院から大学教授になられた方もいらっしゃる時代ですからね(ぐぐったら、偶然か心臓外科の先生でした)。
民間で臨床修行を積んだ先生が教授になられることは患者としてはありがたや、ですが、そうなると、大学病院と民間病院の差別化とは何ぞや?の話になりそうですね。
「特定機能病院とは何ぞや」の話は、また後でのお楽しみに。