男と女

男女間のすれ違い、違い、特徴についての科学的考察

性分化の過程

2022-07-19 13:29:05 | 男と女

(男と女)

[性分化の過程]

性の分化(男女の区別)は下記過程を経て行われる。

1.受精(遺伝的な性の決定)

まず「接合体」が作られ「胎児原基」に発育していく。
(この胎児原基は男と女のどちらにも発育できるという特性がある)

尚、受精したときに最初の性分化が行われ、受精卵は下記となる。
卵子とX精子が出会えば、受精卵はXXをもつ女性(遺伝的女性)になる。
卵子とY精子が出会えば、受精卵はXYをもつ男性(遺伝的男性)になる。
(つまり遺伝的な性の決定権は精子が持つ)

2.両性に共通な器官の形成(胎齢約1ケ月後)

「性腺原基(生殖隆起)」が形成される。
(この中には後に卵子あるいは精子に発育していく「原始生殖細胞」も含まれている)

3.性腺(精巣と卵巣)の分化(同時期)

男:Y染色体にある「SRY遺伝子」により「性腺原基」は精巣(胎児精巣)となる。
女:Y染色体がないので「SRY遺伝子」もなく「性腺原基」は自動的に卵巣(胎児卵巣)となる。

(胎齢約1.5ケ月後)

内性器の起源となる「ミューラー管」(卵管や子宮になる)と「ウォルフ管」(精管や精嚢になる)をそれぞれ2本ずつ持っている。(未分化な生殖輸管)

4.内性器の分化(胎齢約2ケ月後)

男:胎児精巣からの「ミュラー管抑制因子(AMH)」 → 「ミューラー管」の発達を抑制
  胎児精巣からの「男性ホルモン(テストステロン)」 → 「ウォルフ管」の発達を促進
女:「AMH」がないので → 「ミューラー管」が発達
  男性ホルモンがないので → 「ウォルフ管」の発達ができない

  (内性器の分化は基本は女性型)

5.外性器の分化(胎齢約3ケ月頃迄に)

男:男性ホルモン(テストステロン)によりに外性器は男性化し、陰茎や陰嚢などができる。
女:男性ホルモン(テストステロン)が働かないため陰茎や陰嚢ができず、陰核や陰唇ができる。

  (内性器の分化も基本は女性型)

(胎齢2ケ月では、男女両性の外性器は全く同じで、どちらの性へも分化できる能力をもっている)

6.脳の分化(胎齢90日前後に決まる)

男:男性ホルモンが脳に作用し、脳を男性型に分化させる。
(男性ホルモンが脳の特定のニューロン群の分化やシナプスの形成に影響を与える)
女:男性ホルモンがないため脳は女性型に分化する。

  (脳の分化も基本は女性型)

(注)
ニューロン(神経細胞):
電気信号を用いることにより、お互いに情報伝達を行っている。 
神経細胞は軸索と樹状突起という2種類の突起を持っており、軸索を伝わった電気信号が次のニューロンの樹状突起に電気信号を伝えている。
 
シナプス:
ニューロンの軸索と樹状突起の接続している部位をいう。

(参考)
この性分化の過程については、東京医科歯科大学のWebSiteに、図解入りで分かり易い説明がある。

[性分化](「性染色体から個体の性へ」)(東京医科歯科大学のWebSiteからの転載)

(注)(東京医科歯科大学のこのサイトにリンクを貼ろうとしたが記事のダウンロードになってしまうので、止むを得ず同じ内容をそのまま記載したものを作成し、そこにリンクを貼らせてもらうことにした。)

 


コメント    この記事についてブログを書く
« 男女の違い(空間能力) | トップ | 脳の構造と機能について(辞書) »

男と女」カテゴリの最新記事