男と女

男女間のすれ違い、違い、特徴についての科学的考察

男女の違い(五感)

2022-07-24 16:21:04 | 男と女

(男と女)

[男女の違い(五感)]

「話を聞かない男、地図が読めない女」では、言語能力、空間能力以外に、人の五感についても男女の違いについて言及している。
またいわゆる女性の「第六感」についても触れているが、私見ではこれはこれら五感によって蓄積された情報が潜在意識のなかで発揮されたものと言っても良いかと思う。

(なお、ビーズ夫妻はこの本の執筆について、ややこしい専門用語は出来るだけ避けるようにしたとして、次のように述べている。)

「ここで主に取り上げているのは社会生物学という割合新しい分野の話で、これは遺伝子や進化の視点から人間の行動を説明しようとする学問である。
ここで紹介する概念、テクニック、戦略のほとんどは、科学的な裏付けがちゃんとあるものばかりで、根拠のないテクニックや意見は、本書では一切取り上げていない。」

(以下「話を聞かない男、地図が読めない女」より)

[視覚]

目は頭蓋骨から外に露出しているが、奥の方で脳とつながっている。
網膜(眼球の奥の方にあり、下記細胞で構成されている)
 桿状体細胞(1億3000万個)白と黒を識別する
 錘状体細胞(700万個)それ以外の色を識別する
色を識別する錘状体細胞のもとはX染色体で、女性はX染色体が2本あるため、色を細かく識別し、描写できる。

白眼の面積も女性の方が男性より大きい。従って表情が豊かになり、相手の目の動く方向を読み取ることで、多彩な信号を受け取ることができる。

女性は周辺視野も男性より広い。左右では自分の頭の端から45度以上(180度に及ぶ女性も珍しくない)、上下は自分の鼻のあたりまで見られるようになっている。

[聴覚]

女性は男性よりも聴覚が鋭く、特に高音を聞き分けるのが得意。

[嗅覚]

女性の嗅覚はもともと男性より鋭いが、排卵日前後には更に敏感になる。男が発するフェロモンやムスクのような、それとわからないくらいかすかな体臭も感知できる。

[味覚]

嗅覚は女性の方が男性より優れている。
人間の舌にはおよそ1万個の味覚受容体がある。(舌先は甘さ、塩味、舌の左右は酸っぱさ、舌の奥は苦さを感じている。)
男性は苦さ、塩味を区別するのが得意。
女性は甘さ、砂糖の味に敏感。

[触覚]

皮膚には、痛みを感じる受容体が280万個、冷たさを感じる受容体が20万個、触覚や圧力を感じる受容体が50万個まんべんなく散らばっている。皮膚の感受性は女性の方が男性よりも高く、触覚や圧力に関しては女性の方が男性より10倍以上敏感と言われている。

女性ホルモンであるオキシトシンは触られたいという欲求を起こし、触角の受容体を活発にする。

(しかし、皮膚の厚さは男性の方が厚く、従って年をとっても女性よりしわが寄りにくい。)

 

〇「男女の色の見え方の違い」

男女では色の見え方が異なるという。

ある色相のサンプルの表を男女に見せたところ、男性は7色に識別、女性は29色すべて違う色として識別する人が多かったとのこと。
勿論個人差はあるが、一般的に女性の方が男性より色彩感覚が鋭いと感じることは多い。

例えば百貨店のスカーフ売り場に行ったとする。
売り場には紫からピンクにかけて、様々なスカーフがグラデーション状に展示されていた場合、女性はそれら全ての色がそれぞれ異なっているのが認識出来るが、男性は隣合うスカーフの色がほとんど識別出来ないことが多いという。
これは、男性と女性のファッションに対する関心の違いもあるかも知れないが、ちゃんとした科学的理由もあるようだ。

*(色相のサンプルの表はこちら

まず、色とは何かということだが、その元となっているのは光の波長で、この光の波長が人間の目で見えるということは、そのなかの特定の波長が、人間の網膜に刺激を与えて色として感じさせているからである。

太陽の光をプリズムに通すと、虹のような色の帯ができるが、この色の帯をスペクトルと呼んでいる。
スペクトルは赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順に並んでいるが、これはそれぞれの波長の長さが違うために生じる現象で、光の中で最も波長の長い部分が赤く見え、短い部分が紫に見える。
この人間の目で見える領域の光を「可視光線」と呼ぶ。
この領域からさらに波長が長くなると、赤外線域になり、逆に波長が短くなっていくと紫外線域になるが、この領域は人間の目には見えない。

物体で反射され、視覚で色として認識される光は、さまざまな波長成分の光が混じり合ったもので、言い換えれば、この混ざり具合によって様々な色が出来ることになる。

※波長…光は波の性質を持っており、波の谷から谷(山から山)までの距離を波長という。
※虹は太陽光が空気中に浮かんだ細かな水滴をプリズムとして通ってできたスペクトル。

では、光とは何だろうか。

光は空中を飛び交っている様々な電磁波のひとつで、電磁波の中には波長が数千kmにも及ぶ電波から、十億分の1mm以下のγ(ガンマ)線まで、様々な種類がある。
「可視光線」はおよそ380nm〜780nmの範囲で、視覚で色として認識される光は様々な波長成分の光が混じり合ったもの。

※nm(ナノメートル):10の-6乗mm、つまり1mmの1/1,000,000の大きさ。

「色を感じる3要素」

人は「色相」「彩度」「明度」の3要素で色を読み取りる。

色相:スペクトル中の各単色光に特有な色
  (赤、青、黄色、緑など色の種類のこと)
彩度:色の明るさの度合いのこと
  (もっとも明度が低いのが黒、もっとも明度が高いのが白)
明度:鮮やかの度合いのこと
  (白や黒を含む色は彩度が低く、白や黒を含まない色は彩度が高くなる)

色に対する感じ方は、この「色相」「彩度」「明度」の割合の違いで、これは人それぞれ異なり色の見え方や感じ方も異なる。


さて、本題に戻ると、人は光の三原色「赤、緑、青」の組み合わせで色を認識しているが、男女で次のような違いがある。

男性:青、緑、赤の3つの色覚を持つ
女性:青、緑、赤に加え、一部の女性はオレンジ色の色覚を持つ

(言い換えると、男性はオレンジ色が女性に比べて赤みがかった色彩に感じられるなど、やや暖色寄りの色となって認識されるようである。)

(また、同じ色相を知覚するのに、可視スペクトルのほぼ全域に渡って男性は女性よりやや長い波長を必要とするとも言われている。)

つまり、女性の方が認識できる色覚数が多いので、男性よりも色彩感覚の鋭さがあるということになる。

では何故このような違いが生じるのか科学的な説明はあるのだろうか。
これについては次のような仮説がある。

男性は女性に比べて、視覚野(大脳皮質のうち視覚に直接関係のある領域)のニューロンの数が多く、このニューロンに影響を与えるのが、男性ホルモンの一種テストステロンと言われている。
このテストステロンにおける男女の違いについては、狩猟採集仮説がある。
狩猟採集仮説とは、“人類の進化が狩猟・採集行動によって影響を受けた”とするものだが、女性は色の識別能力に優れており、男性は動体視力、遠方視力に優れるという、このような視覚の性差は、進化の過程における男女の役割分担と密接につながっているとする。
そして、子を生み育てるという役割分担の中で、子どもの顔色の変化や排泄物の色の違いなどの子細な変化を見極める感受性は、女性にとってより必要な能力として進化していったとされている。

ニューロン(neuron):
生物の脳を構成する神経細胞のこと。 核が存在する細胞体、ニューロンの入力である樹状突起、出力部分であるシナプス、 伝送路に当たる軸索がある。 人間の脳の場合にはこの細胞が100億から1000億程度あるといわれている。