男と女

男女間のすれ違い、違い、特徴についての科学的考察

ホルモンについて(辞書)

2022-07-19 13:38:23 | 男と女

(男と女)

[ホルモンについて]

(ここでは「男と女」の考察について必要なものだけを取り上げる)

「性ホルモン」

種類
男性ホルモン(アンドロゲン)
・テストステロン
・ジヒドロテストステロン (DHT)
・デヒドロエピアンドロステロン (DHEA)
女性ホルモン
・エストロゲン
 ・エストラジオール
 ・エストリオール
 ・エストロン
・ゲスターゲン
 ・プロゲステロン

精巣のホルモン
テストステロン(男性生殖器の成熟、第二次性徴)

卵巣のホルモン
エストロゲン(卵胞ホルモン)
(排卵誘発、子宮粘膜増殖、骨吸収の抑制、動脈硬化の抑制)
プロゲステロン(黄体ホルモン)
(子宮粘膜増殖の停止、基礎体温の上昇、妊娠の維持、妊娠中の排卵抑制)

アンドロゲン:
男性ホルモンおよびこれと同じ生理作用をもつ物質の総称。
(注)アンドロゲンは女性でも分泌されており、卵巣で産生されたアンドロゲンは女性ホルモンであるエストロゲンへ変換される。また、男女ともに副腎皮質でも分泌される。

テストステロン:
精巣や前立腺などの男性生殖組織の発達、精子形成促進などに重要な役割を果たすすと共に筋肉や骨量の増加、体毛の成長などの二次性徴を促進する。
(注)テストステロン女性でも分泌されており、男女共に、気分や行動などの健康や幸福感にも関与している。

エストロゲン:
女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育、維持させる働きをもっている。子宮内膜を厚くして妊娠に備えると共に、乳房の発育や、女性らしい丸みのある体形をつくったり、コラーゲン産生をうながし、肌を美しくしたり、自律神経の働きを安定させたりする作用もある。

プロゲステロン:
排卵直後から分泌量が増える、妊娠の準備のためのホルモンとも言える。基礎体温を上げ、エストロゲンの働きによって厚くなった子宮内膜を柔らかく維持して妊娠しやすい状態にすると共に乳腺を発達させたり、食欲を増やしたりする働きもある。


「精神に作用を及ぼすホルモン」

「幸せホルモン」

人間の脳には、心や身体を正常に保つために100種類以上の脳内ホルモンが分泌されているが、その中には、人の感情や意欲に大きな影響を与える物質も存在する。
「喜び」「楽しみ」「やる気」、これらの幸福感を与える物質が「幸せホルモン」と呼ばれており、代表的な物質は3種類。

・セロトニン
・オキシトシン
・ドーパミン

セロトニン:(安心のホルモン)
心のバランスを整える作用がある。ストレスを抑え、セロトニンがきちんと分泌されると、ほかの神経伝達物質が暴走するのを抑制し平常心を持ち続けることができる。
セロトニンが不足するとイライラしたり、うつ状態や暴力的になりやすいといわれている。
メラトニンを分泌するための原料でもあり、質のいい睡眠にも大きく関わっている。
セロトニンが出ていると、爽やか、安らかな、おだやかな幸福感が出る。
セロトニンには、精神を安定させる働きと満腹感を与える働きがある。
セロトニン的幸福とは、一言で言うと、健康の幸福。心と体の健康です。

オキシトシン:(安らぎのホルモン)
セロトニンと同様、心を落ち着かせる効果がある。しかし最大の特徴は、スキンシップなどの人と人との親密なコミュニケーションの際に分泌されること。親しい人からタッチやハグをされるとオキシトシンが分泌され、温かく幸せな気持ちになるといわれている。
オキシトシンが出ていると、人やペットなどとの「つながり」「愛情」、あるいは赤ちゃんを抱っこしているときの、愛に包まれた幸福感が出る。
オキシトシンには、肌の傷を治す幹細胞の動きを活性化する働きや、ストレスや痛みを和らげたり、血圧を下げたりする効果もあります。また、分娩時に子宮を収縮させたり、授乳に関する働きもある。
オキシトシン的幸福とは、つながりと愛の幸福。友情、人間関係、コミュニティへの所属などの幸福です。

ドーパミン:(快感・意欲のホルモン)
嬉しいことや良いことが起きると脳内で分泌され快感を得ることができる。人間の意欲・やる気・運動・学習能力に深くかかわっており、分泌されればされるほど意欲が上がる。
ドーパミンが出ていると、心臓がドキドキするような高揚をともなう幸福感が出る。
ドーパミンには、意欲を感じたり幸福感を得たりする作用があり、運動調節にも関連してくる。
ドーパミン的幸福とは、お金、成功、達成、富、名誉、地位などの幸福です。


「情動に大きな影響を与える3大神経伝達物質」

脳には無数の神経細胞(ニューロン)が張り巡らされている。神経細胞と神経細胞の間には僅かな隙間があり、その隙間に神経伝達物質が放出されることによって細胞間の情報伝達が行なわれている。

なかでも、情動に大きな影響を与える神経伝達物質にノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどがあり、これらを総称して「モノアミン神経伝達物質」という。

・セロトニン
・ドーパミン
・ノルアドレナリン

ノルアドレナリン:
危険を察知した時に分泌され、生物の生き残りに不可欠な神経伝達物質である。「闘争か逃走のホルモン」とも呼ばれ、不安、恐怖、緊張といったストレスに晒されると分泌が一気に増加する。
ノルアドレナリンが分泌されると、脳は覚醒し、筋肉に酸素や栄養を送るために心拍数と血圧が上昇し、血液が体中を巡り、瞳孔は拡大する。外敵から身を守るために注意力、判断力、集中力が高まり、心身が一気に戦闘モードへ突入する。
ノルアドレナリンが適度に分泌されている時、人はほどよい緊張感の中で、やる気や集中力が高まる。ストレスに対する耐性も強くなる。
しかし、過度のストレスが長期に続くことでノルアドレナリンが減少すると、やる気がなくなり、学習能力や集中力が低下し、注意力も散漫になり、無気力、無関心となる。これが高じると抑うつ症状が現われる。

ドーパミン:
快感と多幸感(ユーフォリア)をもたらす神経伝達物質である。恋をするとドーパミンが放出されて幸福感を覚えることはよく知られている。ドーパミンが適度に分泌されているとき、脳は覚醒し、集中力が高まり、すべてに前向きとなる。しかし、多く分泌されればいいというものでもない。

例えば、覚醒剤はドーパミンとよく似た働きをもつと同時に、ドーパミンの作用を増強することにより、強烈な覚醒効果と快感をもたらす。しかし、こうした働きが、結果的に人間の精神活動を混乱に陥れることから使用を禁止されているのである。

セロトニン:
ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑えて、心の落ち着きや安定感をもたらす神経伝達物質である。セロトニンの分泌が減少すると、人はやる気や集中力が低下し、イライラしてキレやすくなったり、寝つきが悪く不眠になったり、気持ちが落ち込んでうつ状態になったりする。

しかし、うつ病の治療のためにセロトニン作動系の抗うつ剤を多量に服用したり、薬剤の相互作用によって脳内のセロトニン濃度が高まり過ぎると、今度は、発汗や心拍数の増加、吐き気、筋肉の痙攣、体の震え、頭痛、錯乱、昏睡などの、いわゆる「セロトニン症候群」と呼ばれる症状が出現する。


*つまり、脳内ホルモンは、増えすぎても減りすぎても心身のバランスが崩れて、人は容易に不安定な状態に陥ってしまう。

 


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