男と女

男女間のすれ違い、違い、特徴についての科学的考察

男女の差(声の違い、言葉づかい)

2022-08-14 21:08:27 | 男と女

(男と女)

[男女の差]

〇[男女の声の違い]

男性の声は低く、女性の声は高い。分かり切ったことだが、この違いはどうして起こるのか。

思春期になると「声変わり」が起きる。
この声変わりに大きく関係しているのが男性ホルモンで、12歳~15歳頃に分泌が増え、成長とともに声変わりが起こる。
男性は今までよりも声が約1オクターブ低くなり、それまでの子供っぽい高い声から、低く太い大人の声へと変化していく。
女性も体の成長とともに声帯が長くなるので、男性と同様に声変わりが起こり少し声が低くなるが、男性に比べて程度が軽いので気が付かれないことが多い。

では、何が変化するのか。(以下、ウェブサイト「いきいき健康相談」より)

声は、喉にある声帯(膜)が息(空気)により振動することにより出る。
声帯は、甲状軟骨(のどの前の方にある、所謂「喉仏」)と披裂軟骨(後ろの方にある)との枠に張られている。
体の成長とともに、特に思春期にこれらの軟骨も大きくなり、それにともない声帯も長く、厚くなりる。
声の高さは声帯の振動数で決まるが、声帯が長く、厚くなると振動数が下がり、そのため声が低くなる。
声帯の長さは子供が0.9cm、成人男性で2cm、成人女性で1.5cm位。

周波数で言うと、成人の基本周波数は平均125Hz、女性は男性の約2倍程度。

(以下、ウェブサイト「ママとおべんきょう」より、筆者(34歳・女・合唱はメゾソプラノ))
(注)数字はこの筆者が記載したものよりここでは若干丸めて記載した。

◆話す時の声域
成人男性 120~200Hz 成人女性 200~300Hz

◆歌う時の声域
【男声】
バス 90~290Hz バリトン 100~390Hz テノール 130~440Hz

【女声】
アルト 180~780Hz メゾ・ソプラノ 220~880Hz ソプラノ 260~1000Hz

◆「キャー!」という悲鳴 (筆者の場合) 1800Hz
◆赤ちゃんの泣き声 2000Hz以上

(以上)

(注)
声帯とは別にもう一つ男女の声質変化の要素として体格がある。
男性の方が首が太く体が大きいので、体の響きが大きくなり音は太くなる。

(参考)

〇男女の声域の違い以外に、同じ男性同士、女性同士でも声が違うのはなぜか。

声帯が声を出す器官であることは間違いないが、この声帯の振動による音(原音)はまだ声ではなくブーという小さい音なので、それが声になるためには声道をはじめ体のすべての共鳴が必要となる。
人によって声質が異なるのは、声帯の個人差もあるが、口腔や鼻腔、そして共鳴器となる体全体の大きさや形が人によって異なることによる。
一方、兄弟、姉妹などの声が似ているのは、遺伝子によりこれらが似通った形になるため。

(男女の話に戻ると、男声は男性の体、女声は女性の体を共鳴器としているので、男女それぞれ違った声質になる。)

〇録音した声はなぜ違って聞こえるのか。

録音した自分の声が 普段自分が発している声と違って聞こえるのは、音の伝わり方の違いにある。
周囲の人が聞いている自分(私)の声は、声帯の振動により口から出した声を、相手が耳でキャッチして自分(私)の声を認識している。
一方、自分自身が普段から聞いている自分の声というのは、口から発した声を自身が鼓膜でキャッチした音だけでなく、骨から伝わった音が脳内に響いている音だから。 この骨から伝わった音というのは専門用語で 『骨伝導』と言う。

〇女性にも喉仏はある (女性には喉仏はないというのは間違い)

喉仏は喉頭を覆う軟骨の一部で、喉頭やその中にある器官を守ったり、声を出すためにも必要で、人間なら誰もに備わっている。
喉仏は喉の突出部を形成しており、他の9種の軟骨と比べ最も大きく甲状軟骨と呼ばれている。
軟骨は、個体でありながら柔らかく結合性のある組織で、神経やは血管は通っていない。
2つの軟骨プレートが結合している部分が突出し、喉仏を形成している。

子どもの喉仏はみんな同じサイズだが、思春期を迎えると喉頭付近の軟骨が急成長し、声変りが起こる。
しかし、軟骨の成長の仕方は性別によって異なり、女性の場合、軟骨プレートが交わる角度は120度で鈍角なため、突出のない平らな喉になる。一方男性の場合は、この角度が90度で喉に突出部ができる。
更に、男性ホルモンであるテストステロンが軟骨の発達を促進するため、男性の軟骨や喉頭は女性に比べて大きくなる。
これにより声が低くなるだけでなく、喉仏も立派な大きさになる。

つまり、喉仏は男性の特徴だと思われがちだが、女性の場合は目立たないだけで実はちゃんと備わっている。

〇食物が気管に入らないのはなぜか。(声の考察とは異なるが喉頭関連で記述しておいた)

喉は食事の際には食べ物の通り道となり、呼吸の際には空気の通り道となる。この仕分けをしているのは喉頭で、喉頭は気管の入り口にあり、喉頭蓋や声帯をもっている。
喉頭蓋や声帯は呼吸をしているときには開いていて、物をのみこむときにはかたく閉じて食物が喉頭や気管へ入いらないように防いでいる。一方食道は普段は閉じているため、食道に空気が入ることはなく、物をのみこむ時には声帯は閉じて、その上から喉頭蓋が蓋をする。そして食道入り口が開くため、食物は喉頭・気管に入ることなく食道へ入っていくことができる。
つまり喉頭は、呼吸、嚥下(物を飲み込む)、発声という3つの重要な働きをしていることになる。

*飲食時の舌の役割

食べ物や飲み物を飲み込もうとすると、自然に舌の先端が口蓋(上顎)に押しつけられるようになり、軟口蓋が咽頭の後壁にぴったりと接触する。この運動により飲食物が鼻腔へ流れ込むことが防止される。 
次に、舌全体を軟口蓋につけて飲食物を咽頭蓋へ送り込む。この時、喉頭蓋が降下して気管との交通が遮断される。それまでは気管と食道に向けて2つの口が開いていたが、食道への道だけが開いた状態になる。この運動により飲食物が気管に入ることが防止される。 
その後、さらに舌根部を咽頭の後壁に押しつけ、飲食物を咽頭に送り込む。甲状軟骨(喉仏)と輪状軟骨が前上方に動き、輪状咽頭筋が弛緩して食道入り口部が大きく開くと、飲食物が食道に送り込まれる。
そして、飲食物が食道の入り口にさしかかると、食道の内側にある輪状筋が蠕動運動を始める。蠕動運動によって飲食物は徐々に胃のほうへ送られていく。この一連の運動を嚥下(えんげ)運動という。

(参考)
以上について参考となる画像をネットから上から選んで別途まとめておいた。

声帯の構造と仕組み」(画像)
(「声帯」「声帯のメカニズム」「男女の声帯の違い」「喉頭蓋1」「喉頭蓋2」「喉頭蓋3」「喉仏1」「喉仏2」)

 

〇[言葉づかい]

日本語では「男性言葉」「女性言葉」がはっきりしている。
外国語では多少の使い分けのある言語はあるものの、日本語ほどではない。
では日本語では、何時から、何故このような言葉の男女差が生まれたのだろうか。
ここでは特に「女性言葉」に焦点を当てて考察してみる。

文献によると、女性言葉は奈良時代からあったといわれているが、室町時代あたりから宮中の女房が使う御所言葉というかたちではっきりと現れ、江戸時代には御所言葉を使う階層および語彙の範囲も広がり、明治時代以降、女性語はさらに一般化されたとある。

女性語が一般化する下地となったのは、江戸末期の遊郭の女性が用いる遊里語で、それが発達し明治の「婦人語」の母体が作られた。
*遊里語=「ありんす」「ざんす(ざます)」などで「ざあます言葉」と言われている。
(ちなみに、この花魁言葉は、廓詞(くるわことば)・里詞(さとことば)・ありんす詞(ありんすことば)とも呼ばれており、田舎から売られてきた少女の方言や訛りを隠すために使われていた、いわば遊郭独自の隠語。)

現代の日本で一般的に女性語として認識されている言葉の起源は、明治時代に有産階級の女学生の間で発生した「てよだわ言葉」である。
「よくってよ」「いやだわ」「そうかしら」などの言葉の流行は、尾崎紅葉によれば「旧幕の頃青山に住める御家人の(身分のいやしき)娘がつかひたる」とある通り、もとは山の手の下層階級の女性が使っていた言葉が女学生の間に伝播したもので、当時は「異様なる言葉づかひ」などと文化人の非難の的になったが、結果的には中流以上の女性層で定着し、規範的な女性語として扱われるようになった。
*「てよだわ言葉」というのは、現代における女性語の代表格で語尾に「てよ」や「だわ」などを用いる言葉の総称で、女性の言葉遣いを特徴づける文末詞を指す表現として、国語学者の中村桃子女史が造語した言葉。

他に男女の違いが分かる特徴的な終助詞としては次のようなものがある。
男性…「だ」「だな」「だぜ」「ぞ」「さ」
女性…「わ」「わよ」「わね」「の」「のよ」「ことよ」

このように、日本語での男女の言葉遣いの差といえば、終助詞の違いが際立っているが、接頭語や単語などでもいくつかの差は見られる。
接頭語:女性は名詞に「お」をつける。(「お花」「お野菜」「お友達」など)
感嘆詞:男性…「ほう」「へー」  女性…「あら」「まあ」
単語:男性…「俺」「お前」「おやじ」  女性…「私」「あなた」「おとうさん」


〇[外国語における男性言葉と女性言葉]

外国語は日本語ほど顕著な差はないが、一部次のような区別がある。

*「男性名詞と女性名詞の文法性のある言語」

(それぞれ名詞や形容詞、動詞が男女で違う形をとることが多いので、男女で述語の形などがはっきり異なる)
(ラテン語を起源とする欧州語に多く、具体的には、スペイン語、フランス語、イタリア語など)

*「語尾の一部が変化するもの」

韓国語:(例) 男性「~ニダ」 女性「~ヨ」 (~です)
男性「アルゲッスムニダ」 女性「アルゲッソヨ」 (分かりました)
男性「エップンニダ」  女性「エッポヨ」 (きれいです)
*ただし、日本語ほど明確な使い分けはないとの意見もある。
つまりニュアンス的に「~ニダ」の方がかしこまっていて、フォーマルな印象、「~ヨ」の方が丁寧語だけど柔らかい印象という意見が多い。

タイ語:(例) 男性「~カップ」 女性「~カー」 (語尾につけることで丁寧語になる、~です、~ます)
男性「サワディ カップ」 女性「サワディ カー」 (こんにちは)
男性「コップン カップ」 女性「コップン カー」 (有難うございます)
(これはタイ人が話すと、スプードが早いためこのように聞こえるということで、正式な発音は下記)
男性「コープ クン クラップ」 女性「コープ クン カー」
*コープ→ (感謝に関する語)、クン→ あなた、クラップ/カー→(丁寧語になる)

*「言い回し、抑揚で区別されるもの」
(英語や中国語は文法的に明確な区別はなく、一部使用する単語や言い回しで差が生まれる。)

英語:(女性が好んで使う言葉、表現)
(1) "I thihk"→"I feel" ("I feel it's good.") 
(2) "I like"→"I love" ("I'd love to play tennis.") 
(3) "very"→"so" ("Thank you so much.")
(4) "wonderful"→"fabulous" ("I had a fabulous time.")
(5) 付加疑問文 ("You love me, don't you?")

 

(参考)
女性ことばについてのその後の考察

(「話の種」)「女性ことばについて」

 


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