民主・社民フォ―ラムの飯田正美です。第2回水戸市議会定例会開催に当たり、会派を代表して質問を行ってまいります。
初めに原子力行政について質問いたします。
福島第一原子力発電所の事故から、早や7年が経過しましたが、廃炉作業も道半ばであり、依然として原子力発電に対する国民の不安、不信は取り除かれているとは言えない状況が続いています。
本市においては、近いところでは約12㎞しか離れていない「東海第二発電所」の再稼働をめぐる動きも、市民の関心が高まっていると感じております。
このような状況の中で、国は昨年7月、原発から出る高レベル放射性廃棄物,核のごみの最終処分場を選定するための「科学的特性マップ」を公表し、全国各地で説明会を実施しています。国は原発誘致政策と同じようなやり方で、「文献調査」や「概要調査」などと称する調査協力費名目で、地方自治体に対して多額の交付金を支給することで誘致の実現を図ろうとしています。
先月17日には水戸市内で、経済産業省資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(ニューモ)の共催による説明会が開催され、31名が出席しました。
そこで質問ですが、「科学的特性マップ」において、水戸市も核のごみを保管地から輸送しやすい、海岸から20㎞の範囲となる適地に含まれていますが、近隣に東海第二原発や東海再処理施設など多くの原子力事業所があり、他の地域より多くのリスクがある環境の下では、核のごみ最終処分場には適さず、明確に拒否すべきと考えますが、市長の見解を伺いたいと思います。そして何より大切なことは、脱原発を国の方針として確立し、これ以上の放射性廃棄物を増やさないことであります。
次に、東海第二発電所について質問いたします。
東海第二発電所については、2014年5月事業者である日本原電が、東海第二発電所の安全審査申請を原子力規制委員会に提出するとともに、昨年11月には、運転期間延長の申請を同委員会に提出したところです。
最近では、「原子力規制委員会は、工事計画審査の進み具合や見通しを考慮しながら、新規制基準に合格させるか最終判断する、との方針が示された。」ことが報道されています。原子力規制委員会が日本原電に対し申請書類等の提出を急がせていることからも、再稼働へ向け進んでいることは明らかです。
東海第二発電所の安全対策については、高橋市長や周辺自治体の首長が一体となり、日本原電の安全対策にものの言える環境を求め、粘り強い取り組みが実を結び、今年3月29日には、日本原電と安全協定の見直しに関する合意が図られ、再稼働についての事前了解などの権限を得ることができました。
そこで、お伺いいたします。
この度の安全協定の見直しにおいて、新協定を締結し、再稼働と延長運転に関する「実質的な事前了解」の権限を得たところでありますが、改めて得られた権限と運用についてお伺いいたします。今後日本原電が再稼働の方針を決めた時には、安全協定が見直された水戸市を含む6市村に事前説明し、合意形成を図るための協議会が開催されるとのことでありますが、その協議会の座長は決まったのか、そして今後どのように協議を進めていくのかお伺いいたします。
さらに、安全協定の見直しについては、この度見直された6市村に加え、高橋市長が座長を務める「東海第二発電所安全対策首長会議」の15の構成自治体のうち、6市村を除いた9市町にも拡大することを求めておりますが、現在の交渉状況についてお伺いいたします。
次に、有識者会議の役割、位置づけについて質問いたします。
高橋市長は、今年度原子力安全対策係を新設するとともに、発電所の安全性等を評価する有識者会議についても設置するなど、原子力防災体制の強化を表明しています。委員の人選がキーポイントになる訳でありますが、特に原子力の専門家をどのような立場の人を選任するかによって会議の方向性が決まってしまうのではないかという懸念があります。改めて、有識者会議の役割、位置づけ、さらには現在の進捗状況についてお答えください。
次に、原子力災害に備えた広域避難計画について、質問いたします。
水戸市では、広域避難の考え方を取りまとめた「水戸市広域避難計画骨子」を2016年7月に策定し、その後、受け入れ自治体と調整を進めています。原子力事故はあってはならないことではありますが、東海第二発電所が再稼働する、しないにかかわらず、使用済み核燃料などがあることから、万全の対策を講じる必要があります。しかしながら、果たして実効性ある広域避難計画は策定できるのでしょうか。はなはだ疑問であります。他自治体についてもそうですが、要配慮者への対応、地震、津波等自然災害の危険性、複合災害を想定した実効性ある避難計画は置き去りにされており、避難移動に伴う住民被ばくの問題も考慮されていません。過酷事故では避難後も地元に帰ることはできません。本当に実効性ある広域避難計画は策定できるのかお伺いいたします。
次に、東海第二発電所の再稼働について、質問いたします。
東海第二は、福島第一原発と同じ沸騰水型で、東日本大震災で被災し損傷した危険な老朽原発です。原発は老朽化すると重大事故の確率が急増します。原発の圧力容器、配管等は長期に亘って高温、高圧、高放射線にさらされているため、脆化し、腐食が進んでいます。中でも交換することができない圧力容器は深刻であり、再稼働させてはならない原発です。
そこで、お伺いいたしますが、実効性ある広域避難計画は策定されていないものの、東海第二発電所をめぐる動きの中で、安全協定が見直され、東海第二発電所の安全対策等についてものの言える環境が整ったことからも、市議会や市民の声を踏まえて、市の方針を示すべきと考えますが、東海第二発電所の再稼働に対して、高橋市長はどのように考えているのか、答弁を求めます。
次に、働き方改革について質問いたします。
働き方改革の考え方については、基本的なスタンスをどこに置くのかということが大切であります。市職員の働き方改革を進めるに当たっては、やはり職員の健康を第一に置くとともに生活の満足度を優先にして改革を進めるべきだろうと思います。市政は市民ファーストであるべきですが、市民ファーストの仕事をするには働き方改革が必要であり、その働き方改革の内容については、職員ファーストでなければならないと思っています。非正規職員を含む職員ファーストの働き方改革ができてこそ、継続して市民ファーストの市政が運営できます。そのような観点から考えますと、いろいろな取り組みがなされるべきですところが、特に働く時間、労働時間の管理がより重要です。
ところで、昨年の市長答弁では、「正規職員の長時間労働是正について,職員の健康の維持増進,経費削減の観点から時間外勤務の適正化を図ることは重要であり、長時間の時間外勤務が継続することは,職員の心身の健康に支障を来すおそれがあることから,これまで疲労蓄積度の高い長時間勤務職員に対する産業医による面接,保健指導などを行うとともに,ストレスチェックを実施している。」とのことでした。
今般の働き方改革の中では、時間外労働に罰則つきの上限規定が設けられることになっていますが、ストレスチェックの結果をいかに職場環境改善、職員の労働条件の改善に結びつけていくかというところが、一つのポイントであると思います。
この間、市民ニーズの多様化、地方分権や行財政改革の進展、各種イベント等の対応によって、市職員を取り巻く環境は複雑かつ多様化しており、職員1人ひとりに求められる役割や責任がより一層高まってきています。このような中、職員にかかるストレスが増大し、メンタルヘルス(心の健康)に不調を生じ、療養を余儀なくされる職員も少なくありません。精神性疾患による一か月以上の長期療養職員は平成25年度25人であったものがその後ずっと増え続けています。一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会による健康状況調査から推定しますと、水戸市は他団体と比べて約1.5倍高くなっています。メンタルヘルス不調の職員の発生・増加は、個々の職員の職務遂行能力や職場の活力の低下を招き、公共の福祉の増進の遂行に支障を来しかねません。
業務量に応じた人員が配置されない中、早期退職者も増え、心身の病を患う療養休暇者が増加し、またその他の人に荷重がかかるという悪循環を招いています。本市の場合、管理監督者の職員掌握が欠けているとの報告もありますが、市職員の実態がどうなっているかということについてお伺いするとともに、原因の究明と対策についてお伺いいたします。
また、昨年9月議会でも質問いたしましたが、今回改めて会計年度任用職員ついて質問いたします。
国は、同一労働同一賃金の実現を柱とした働き方改革実現会議を設置し改革を進めているものの、地方公務員一般事務職の場合、非正規職員は正規職員の3割にも満たない賃金水準となっています。昨年の市長は、地方公共団体では行政需要の多様化が進展する中、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を原則として、効果的な行政サービスを提供するため、多様な勤務形態で多くの臨時・非常勤職員を任用し、行政運営を行っている、と答弁しております。
しかしながら、国による集中改革プランに基づく合理化やそれに続く水戸市行財政改革プランに基づき常勤職員の削減が行われ、常勤職員が行っていた業務を非常勤職員へ転換してきました。その結果、非常勤職員が急速に増加していったのが実態です。本市の現状についてお尋ねいたします。
特に、水戸市立保育所において顕著な傾向が読み取れますが、常勤職員と非正規職員の比率が逆転し非正規職員の割合の方が多いため、水戸市が「待機児童ゼロ」を目標に掲げ民間の認可保育園の新設を進めた結果、民間保育園からの保育士引き抜き等により非正規保育士不足が顕著になっています。入所定員まで子どもを預かることができない。また、預かることができても、保育士が休暇を取得した時点で配置基準を下回るため、体調不良でも出勤せざるを得ない保育職場の実態が浮き彫りになっています。職員がインフルエンザなどに罹患した時、職員配置基準を下回ってしまう恐れがある。これらは、本来常勤職員で保育を行っていたものを非正規に置き変えた結果起こったものです。総務省においても、本来常勤職員が行うべき業務に従事する非常勤職員が存在することが明らかになった場合は、任期の定めのない常勤職員へ転換することが求められおり、早急に対応すべきと考えます。
次に、総務省より「会計年度任用職員制度の準備状況等に関する調査」について照会があり、7月31日が提出期限となっています。調査に関しては嘱託員の労働条件の変更に係る調査内容になっていますので、臨時嘱託職員労働組合との協議・合意を前提とする調査項目が存在していますが、この調査についての所見をお伺いいたします。
また、地方自治法・地方公務員法の一部改正の趣旨は、民間非正規労働者を保護する法制が公務で働く非正規労働者には適用されないなど、同一労働同一賃金が適用される民間非正規職員の処遇に近づける意味合いであることから、少なくとも総務省が発出しているガイドラインに則った回答が必要です。法が施行される平成32年4月1日に移行するための制度設計や条例改正等のスケジュールについてお答えください。
なお、非正規職員の雇い止めについては、募集に当たって、任用の回数や年数が一定に達していることのみを捉えて、一律に応募要件に制限を設けることは、平等取り扱いの原則や成績主義の観点から避けるべきであります。一律の雇い止めは、非正規職員の生活を破壊しかねない足かせであることを認識され、能力実証主義に基づき、経験、能力を積んだ非正規職員の任用について十分考慮されますよう申し添えます。
次に、教職員の負担軽減について質問いたします。
今議会において、部活動指導員を配置するための補正予算が提案されているところであり、教員の負担を軽減し、働く環境の向上につながるものと評価するものです。これには県の補助金が充てられていますが、県教育委員会は矢継ぎ早に県立高校や特別支援学校などに、部活も原則実施しない6日程度の閉庁夏休みを設けることや公立中学校・高校の運動部で授業前の朝練習を原則禁止する、部活休養日も設ける「運動部活動の運営方針」を通知しています。先月の新聞には古河市教育委員会も文部科学省の指針と県内の状況を踏まえ、小中32校で閉庁日年7日、全教職員休みとの記事が載っていました。このような一連の流れがある中で、本市における教職員の負担軽減についてはどのようなことを実施し、さらなる対策を行おうとしているのかお伺いいたします。
次に、保健福祉行政について質問いたします。
はじめに、老人福祉センターの整備について質問いたします。
老人福祉センターの整備については、赤塚地区市民懇談会で平成9年度を皮切りに、11年度、13年度、16年度、24年度、28年度と過去6回に亘り、地元の強い要望が出され続けてきました。赤塚地区は市営河和田住宅などでの高齢者世帯の増加もありますが、一方で、戸建て新築住宅も増加し、子育て世代が増えており、高齢者の健康増進や児童の情操教育充実のためにも、高齢者と子どもたちとの心の触れ合いを図っていきたい、多世代交流を図りたいという強い意識が醸成されてきています。そこで赤塚地区に是非多世代交流事業が展開できる老人福祉センターの整備をお願いしたいと思います。老人福祉センターの整備は水戸市第6次総合計画に位置付けられ、3か年実施計画で西部地区に整備検討が進められ、本年度が用地選定となっています。現在、水戸市内には老人福祉センターが7箇所ありますが、今度の老人福祉センターは西部地区ということでありますが、西部地区とはどこをさすのか。また、施設のコンセプトは何なのか、どのような機能を持たせようとしているのか。用地選定に当たっての諸条件、立地条件、例えば利用者が多く見込まれる人口密度の高い地区、公共交通機関の利便性が高い所などどのように考えているのかについてお伺いするとともに、現在の取組み状況についてお尋ねいたします。
次に、障害者支援の充実について質問いたします。
障害者雇用を取り巻く状況は、法改正により、この4月から新たに精神障害者も対象となり、法定雇用率が民間企業で2.2%、国や地方自治体で2.5%になり、これまでより0.2%ずつアップしました。一方、就労支援に関わる多くのNPO等は事業の経営で苦慮しており、経営相談または事業者間での意見交換や経験交流を図ることが必要であると考えます。全国的には就労継続支援A型事業所などで、働く障害者を大量解雇する所が現れてきていますし、福祉をビジネスとして参入する事業所が増加しました。ところで、福祉的就労である就労継続支援B型事業は、県平均月額工賃が1万2千円程度と伸び悩んでいる中、本市においては障害者共同受発注センターを設置し、工賃月額2万円を目標に授産製品の開発や販路拡大の取組みを行ってきていますが、その成果と今後の取り組み状況についてお答え下さい。
以上で、私の代表質問を終わります。
【再質問】
只今はそれぞれ答弁を頂きましたが、原子力行政について再質問いたします。
市長は東海第二原発の再稼働については、実効性ある広域避難計画が策定されない限り、その議論はあり得ないものとしていますが、現在、その広域避難計画は、骨子の段階に留まっています。答弁では、市民の受け入れ先が確保されたのち、骨子を計画に改定すると述べられました。スクリーニング検査の手順や場所、複合災害への備え、要配慮者の対応など課題が山積みの中で、何をもって実効性ある広域避難計画というのか、お伺いいたします。