吉松真幸のボランティア報告書

鹿児島在住、吉松真幸(仮)の東日本大震災ボランティアレポート ボランティアから帰っても、他の形の被災地支援を模索中。

自治体の枠を超えた、広域的なボランティア活動が必要

2011-04-21 07:22:30 | ボランティアの制度的なこと
ようやくというべきか、岩手県でも県外からの災害ボランティアの受け入れを始めた。
県外からのボランティアを受け入れるだけの余裕ができるくらい、復旧が進んだということだろう。

その中で、注目したいのは、遠野まごころネットの活動だ。

遠野市民を中心に、遠野市社会福祉協議会と、市内外(県外も含む)のNPO法人が共同で立ち上げた組織という事だ。

被害の比較的少なかった遠野を拠点に、宮古、釜石、大船渡、陸前高田など、被害が大きかった沿岸部へ、ボランティア活動に向かうという。
遠野からそれらの地域へは、バスで1時間前後という。

ボランティアの宿泊には、地区センター付属の体育館を開放。
(その代わり、テント設営と車中泊は禁止)

食事は各自確保だが、近隣にスーパー、飲食店あり。
入浴も、銭湯があり。

活動は、遠野まごころネットの指示に従い、指定されたバスに乗り、現地に向かう。


僕が石巻でボランティア活動していたときに、仙台ではボランティアが余っているという話を聞いて、それでは仙台のボラセンから石巻までバスを仕立てて石巻にボランティアを派遣する形にはできないのだろうかと考えた。
これは僕だけでなく、他の多くのボランティアさんも、同じような事を考えていたのだ。

そういう考えの発展形が、遠野まごころネットの取り組みだろう。

石巻なら石巻、仙台なら仙台(仙台市内でも若林区は若林区)、というふうに、自治体単位で別個にボランティアを募集し、その自治体内で活動するという方式は、今回のような大規模災害ではかえって混乱の元になってしまったような感じだ。
しかも、自治体の社協自体が、建物の倒壊やスタッフの死亡により機能していない状態では、社協内部では混乱どころではなかっただろう。

被害の小さかった地域を拠点にすれば、体育館などの施設もボランティアの宿泊場所として開放できるし、ボランティアにとっても、食料や物資が現地で入手できるし、風呂にも入れる。
僕が石巻入りした時のような重装備が必要なくなり、志と体力(または専門技術)があれば、誰でもボランティア活動に参加できるだろう。

ボランティアの派遣先となる、被害の大きかった地域でどのようなニーズがあるかと、何人のボランティアが登録されていて、その中に専門技術を持った人がいるかどうか、がきちんと把握できれば、ニーズとボランティアのマッチングも、前日のうちに机上でスムーズに行なえるのではないか。

なにより、地域間の支援の偏りが、大幅に解消できると思う。

複数の自治体にまたがるような大規模災害では、被害の少なかった自治体の社協が、そこを拠点に、ボランティア派遣や支援物資の輸送・分配を行なうような仕組み作りが、社協や行政に求められるのではないだろうか。


P.S.遠野・・・僕は高校時代、民俗学者の柳田国男が遠野に伝わる民話や伝承を集めた「遠野物語」に出会い、衝撃にも似た感動を覚え、遠野に憧れた。
地震がなければ、この春は三陸沿岸だけでなく、遠野にも足を伸ばしていたはずだ。
遠野まごころネットの方々、ボランティアの方々のご活躍を祈らずにはいられない。


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