吉松真幸のボランティア報告書

鹿児島在住、吉松真幸(仮)の東日本大震災ボランティアレポート ボランティアから帰っても、他の形の被災地支援を模索中。

連休が終わって

2011-05-10 22:26:38 | ボランティアの制度的なこと
被災地で聞いた言葉。
「ここで水が足りない、とテレビカメラに向かって言うと、ペットボトルの水がそれこそ津波のように押し寄せてくる」
本当に足りないのは、水だけではないのに、水が足りないというと、水ばっかり送られてきたとか。

同じような例は、ボランティアにも言えて、ある一か所でボランティアが足りないというと、そこにばかりボランティアが駆けつける。
宮城県石巻は、4月に入り、石原軍団の炊き出し効果もあって、ボランティアのメッカのようになった。
僕が活動していた頃は、とにかく人が足りない状態だったのに。

重要な注:どんなにボランティアが集まっても、それでもやっぱり人が足りないくらいの被災地の状況だったようだ。

そして今回、連休を利用してボランティアに行こうという人たちが大勢見られるようになると、報道は一挙に、被災地にボランティアが集中する事で、かえって混乱をきたす、というような事を言い始めた。

確かにボランティアが集中しすぎる事による混乱は十分予想されたし、そのような事態は避けられるべきだった。
僕もそれを心配し、このブログに書いた。

けれどそれは程度の問題であって、結果的に、せっかくの休みを利用して、被災地のお役に立ちたいと思った人たちの足を止めてしまった。
石巻でも、連休に入ったとたんに急にボランティアの数が減ったようだ。
被災地全体で見ると、連休の前半はそれでも全国からボランティアが集まったけれど、後半はどこでも人手が減ってしまうという状況になったようだ。

しかも、今回の件で、ボランティアが行くだけ邪魔になるという刷り込みがなされていないかと、恐れる。
被災地ではこれから、従来のがれきの撤去、泥出しだけでなく、仮設住宅への引越しという、新たなボランティアニーズが発生するという。
そういうときに、ボランティアの足が遠のくという事になりはしないか。

そのあたりに、ボランティアの効率的な配置(地域的、時期的に)という観点で見た場合の弱点が露呈したようだ。

連休という特定の時期にボランティアが集中しないように、企業や役所は、ボランティア休暇制度を拡充させるべきだろう。
そして、ボランティアに行こうという人たちに、いつ、どこに行けば効果的な活動ができるのかという情報を、社会福祉協議会やNPO団体、報道機関は発信していくべきだろうと思う。

ボランティアそれぞれの志を無駄にせず、十分に活かすためにも、改善すべき事は山ほどある。

ボランティア休暇制度の拡充を!

2011-05-05 21:15:46 | ボランティアの制度的なこと
こんどのゴールデンウィークには、まとまった休日を利用してボランティアをしようという人たちが大勢いた。
しかし、短期間に大勢が被災地に押し寄せてしまい、受け入れ側の体制が整わずに、受け入れをいったん中止したボランティアセンターもあった。
また、道路事情の改善が遅れる中、ボランティアたちが車で現地に向かい、渋滞を引き起こしたりという事も起きているようだ。

僕の場合、たまたま長期の休暇を取っていたから、3月の下旬から4月の上旬にかけてボランティア活動ができた。
その期間は大学の春休みに当たっていて、当時、ボランティアの現場では、春休みが終わって、学生たちが引き上げてしまうのではないかと、不安の声を多く聞いた。
実際、春休みを利用してきたという学生さんたちと多く出会った。

行楽でもそうだけど、今のこの国は、特定の時期に休みが集中し、よって特定の時期、特定の地域に人が集中してしまう傾向にある。

だからといって、昨年政府が打ち出した、ゴールデンウィークを地域ごとに分散させてしまおうという政策は、あまりにナンセンスだ。

問題は、休みたいときに休めないという、現在の多くの職場にありがちなシステムなのだ。
休みたい時期、休みたい期間というのは、人それぞれだろう。
それを自由にできるシステム・・・職場の繁忙期でない限り、気兼ねなく有給が取れて、好きな時にそれを利用できる・・・そういう事が許されるような環境が作られると、だいぶ良いのではないか。

そうなれば、ボランティア活動という意味でも、特定の時期にボランティアが集中する事が避けられて、効率的に復旧・復興が行なえるのではないか。

いやいっそのこと、企業や事業所が、ボランティア休暇制度を整備して、社員や従業員がボランティア活動に参加する事をむしろ推奨できるようになれば、なお良いと思う。
企業としても、社会貢献策のひとつになるのではないか?

いとこも被災地に行っていた

2011-05-04 21:37:01 | 被災地支援
昨日は伯父の1周忌で、親戚が大勢集まった。
僕と同い年の従兄も、一昨年に結婚した奥さんと、昨年産まれたお子さんを連れて、東京から鹿児島に来た。

いやぁ~、ちっちゃい子って可愛いな、と、お子さんを見ながら僕の頬も緩んだ。

法事の後、いとこ同士で、僕がボランティア活動に行った事が話題になった時、その従兄も、宮城県の被災地に行っていた事を知った。

彼は、東京都庁に勤めている。
災害後、行政支援のために、都から派遣されて行ったという。
活動内容は、住民票など証明書の発行や、避難所の支援など。
彼は、避難所の衛生管理を担当したという。
そして、ゴールデンウィークが明けてから、再び被災地に派遣されるそうだ。

僕は、東京都と宮城県が、どのような災害時の協定を結んでいるか、知らない。

けれど、たとえば、岩手県釜石市と、愛知県東海市との間では、「災害時相互応援協定」というものを結んでいた。
もともと両市は新日鉄の製鉄所があり、社員の異動などで人の交流があったためだ。
そして、震災の翌日には、東海市からの支援職員が、車で釜石市に到着したという。
道路が寸断され、ガソリンは入手困難で、災害情報は錯綜し、なにより、釜石市の市役所自体が機能をほとんど失った中で。

さらに、東海市と姉妹都市関係にある沖縄県沖縄市も、4月に入ってから支援の職員を派遣した。

このような、自治体同士の横のつながりを利用した支援体制は、これからますます重要なものになっていくだろう。
そして、自治体同士のつながりを、それぞれの自治体の社会福祉協議会や、NPOなどの民間団体のレベルまで広げて、備えとするという方法が、これからもっと採られていっていいかもしれない。

遠藤未希さんをはじめ、殉職された方々の魂を悼む

2011-05-02 21:51:13 | 日記
宮城県南三陸町で、震災直後、町を津波が襲う中、防災無線で住民に避難を呼びかけ続けた町職員、遠藤未希さんが震災から50日を過ぎて、遺体で発見されたという。

改めてテレビで見たが、津波が町に流れ込み、家や車が流されている中、「津波が襲来しています、高いところへ避難して下さい」と呼びかけ続けていた。

遠藤さんがいた建物は、津波を受けて鉄骨の骨組みだけになってしまった。
津波が襲ってくる前に放送室から避難したという記事もあるが、実際には放送室に津波が流れ込んできていよいよ危険が迫ってから逃げたのではないか。

ご両親を心配させたくないと故郷の役場に就職し、そしてまだ結婚したばかり。

まだご遺体が見つかる前、ご両親は放送局のスタッフに、津波が来た時の映像を見せてほしいと頼んだ。
映像の中では、町が津波に飲まれながらも、避難を呼びかける放送を続ける娘さんの声が、こだましていた。
嗚咽を漏らしながら画面に見入るご両親。
それを僕はテレビ越しに見ながら、とてもいたたまれなくなり、涙が出てきた。

遠藤さんだけではない。

今回の震災では、大勢の市役所・役場の職員や、警察官、消防士、消防団、自衛隊、そして一般の方々が、自らの命を犠牲にしてでも住民の命を守ろうと駆け回り、声を枯らし、そして津波に飲まれていった。

遠藤さんのような方は、一人でなく、数多くいたのだ。
心からその尊い魂を悼みたい。

サッポロビールが先陣を切ってビール製造再開!

2011-05-02 21:28:48 | 復興・復旧の動き
僕は酒造メーカーのビール製造部門で働いていて、ビール製造のまさに現場にいる。
そんな僕にとって、新聞に載っていた一枚の写真は衝撃的だった。

仙台のビール工場で、ビールタンクが倒れ、社員たちが屋上に避難している写真。
タンクから噴出したビールで、地面は泡でいっぱい。
あとで、津波被害を受けたキリンビールの工場だと知った。

僕は僕なりに心を込めてビールを造っているつもりだから、ビールが泡になって流れていってしまった光景は、心が痛むどころでなく、平常心を保っていられないくらい動揺した。
その工場の醸造士さんたちの心を思うと、さらにやりきれない思いになった。

東北のビール工場は、今度の震災でどこも製造を中止した。
東北だけでなく、サッポロビールの千葉工場も液状化の被害を受けて、製造を中止した(ただし仕込みは再開。だがしかしビールは仕込んでから出来上がるまで月単位の時間がかかる)。
現在、遠く離れた九州の鹿児島でも、ビールが品薄になっているのはそのような理由による。

そんな中、ビールメーカーの先陣を切って、サッポロの仙台工場が製造を再開した。
現在は缶詰めのみだけど、今月末には飲食店向けの樽詰めも再開するという。

アサヒビール福島工場は夏までに再開する予定だけど、キリンビールは夏までの再開は難しいという(その代わり、他の全国の工場をフル稼働させるという)。

とりあえず、ビール・・・工場の製造再開を、心からお祝いしたい。