福岡動物園に行ってきた。
昨日今日と、二日連続でだ。
デートではなく、動物を観察するという生態学の実習が行われたためだ。
つまり50人弱の大勢での動物園歩きである。
昨日の動物園は、バケツごと落としたようなどしゃ降りだったため、テンションはぼくらとともに動物も下がり気味だった。
雨の中の動物は基本的にだるそうだった。
ライオンなどは目が死んでいて、威圧感うんぬんよりも、抗鬱剤を打って欲しそうな顔(ぼくの友人でも数週間に一度くらい、そういう顔をしているものがいるが)をしていた。
雨のせいかとも思ったが、躁状態のライオンを見たことがないし、もしいるとしたら、それはライオンではなく劇団四季なので、ライオンが鬱状態なのは公式設定だと認識した。
どしゃ降りの中、動物園まで行くのが一苦労であった。
当初ぼくは、先輩から安く譲ってもらって、この春から乗っている原付で行こうと考えていたが、件のような大雨。
仕方なく、友達と7人で地下鉄とバスを乗り継ぎ向かうことにした。
午前中は授業で、午後から動物園だったのだが、少し学食でゆっくりしすぎたせいか、どうも間に合わなそうな気がしてきた。
そして、目的の駅に到着したところで集合時間になってしまったのである。
ぼくらがタクシーを使おうかと思った瞬間、目の前にバスがきた。
これを逃してなるものかと、ぼくらは雨の中を走りぬけた。
さながら、大雨の戦場で、補給地が見えた兵士が弾を避けながら、そこに向かうように。
各自整理券を取って、バスに乗り込んだ瞬間、最後尾のFが雨の中バスに乗ろうともせず、顔面が蒼白となっている。
「財布をどこかに忘れた…。動物園より財布が大事じゃない…?」
と力なく放つと、ぼくらの答えを聞く前に、駅の方に向かって去っていった。
その光景が、ぼくには、補給地目前で敵軍一個小隊の銃撃を受け、
「いやだ、いやだ。こんなとこで死にたくないよぅ…。死に…た……………ガクッ」
という戦争映画でよくあるような場面とオーバーラップし、バスの中で
「戦死者が出たぞー!」
と大笑いした。
この彼は、結局数時間遅れて到着したわけであるが、傘も持っていなかったため、ぼくらが彼を見つけたとき、ずぶ濡れで、柵にあごを乗せ、マレーバクを見ていた。
「悪夢を食べてくれないかな」
とでも思っているようだったが、今日は現実に戻ったらしく、見つからなかった財布に入っていたクレジットカードを止めにいき、今日も動物園に遅刻していた。
そして何より、マレーバクは夢を食べない。
この実習は動物の行動やその形態に注目し、考察する、ということを目的としている。
なので動物園を歩きながら、どの動物をやろうかと考えていた。
その矢先、ある柵の前で目がとまった。
ツキノワグマである。
このクマ、柵の中をグルグル周ってはじっこに着いたら、おもむろに壁づたいに立ち上がり、首をグルグル回すのだ。
ずっと見ていても、それしかやらないし、立ち止まったかと思うと、うんこの臭いをブフーブフー嗅いだりする。
気が触れている…。
「こんな狭い柵の中で飼われてたからおかしくなっちゃたんだね」
と同情しながらも、ぼくらは爆笑した。
グルグル周って首を回してうんこを嗅ぐ。
楽しくないわけがない。
こいつを実習に使うことにした。
結果、5分間で10回周り、29回首を回したことがわかった。
単純計算によると、1時間に120回周り、348回首を回している。
ここまでになると、気が触れているのではなくて、何らかの儀式ではないかとも思えてくる。
もしかしたら、異次元からバハムートとかオーディーンを召喚して、人間を一瞬で絶滅させるつもりなのかもしれない、とも思ったが、うんこをブフーブフー言わせながら嗅ぐようではそれも無理だろう。
だが上手くいけば、奈良県の引越しババアくらいは召喚できて、もう少し広い檻に引越し出来るかもしれないと思った。
「引っ越ーし!引っ越ーし!さっさと引っ越ーし!しばくぞ!」
んなわけない。
昨日今日と、二日連続でだ。
デートではなく、動物を観察するという生態学の実習が行われたためだ。
つまり50人弱の大勢での動物園歩きである。
昨日の動物園は、バケツごと落としたようなどしゃ降りだったため、テンションはぼくらとともに動物も下がり気味だった。
雨の中の動物は基本的にだるそうだった。
ライオンなどは目が死んでいて、威圧感うんぬんよりも、抗鬱剤を打って欲しそうな顔(ぼくの友人でも数週間に一度くらい、そういう顔をしているものがいるが)をしていた。
雨のせいかとも思ったが、躁状態のライオンを見たことがないし、もしいるとしたら、それはライオンではなく劇団四季なので、ライオンが鬱状態なのは公式設定だと認識した。
どしゃ降りの中、動物園まで行くのが一苦労であった。
当初ぼくは、先輩から安く譲ってもらって、この春から乗っている原付で行こうと考えていたが、件のような大雨。
仕方なく、友達と7人で地下鉄とバスを乗り継ぎ向かうことにした。
午前中は授業で、午後から動物園だったのだが、少し学食でゆっくりしすぎたせいか、どうも間に合わなそうな気がしてきた。
そして、目的の駅に到着したところで集合時間になってしまったのである。
ぼくらがタクシーを使おうかと思った瞬間、目の前にバスがきた。
これを逃してなるものかと、ぼくらは雨の中を走りぬけた。
さながら、大雨の戦場で、補給地が見えた兵士が弾を避けながら、そこに向かうように。
各自整理券を取って、バスに乗り込んだ瞬間、最後尾のFが雨の中バスに乗ろうともせず、顔面が蒼白となっている。
「財布をどこかに忘れた…。動物園より財布が大事じゃない…?」
と力なく放つと、ぼくらの答えを聞く前に、駅の方に向かって去っていった。
その光景が、ぼくには、補給地目前で敵軍一個小隊の銃撃を受け、
「いやだ、いやだ。こんなとこで死にたくないよぅ…。死に…た……………ガクッ」
という戦争映画でよくあるような場面とオーバーラップし、バスの中で
「戦死者が出たぞー!」
と大笑いした。
この彼は、結局数時間遅れて到着したわけであるが、傘も持っていなかったため、ぼくらが彼を見つけたとき、ずぶ濡れで、柵にあごを乗せ、マレーバクを見ていた。
「悪夢を食べてくれないかな」
とでも思っているようだったが、今日は現実に戻ったらしく、見つからなかった財布に入っていたクレジットカードを止めにいき、今日も動物園に遅刻していた。
そして何より、マレーバクは夢を食べない。
この実習は動物の行動やその形態に注目し、考察する、ということを目的としている。
なので動物園を歩きながら、どの動物をやろうかと考えていた。
その矢先、ある柵の前で目がとまった。
ツキノワグマである。
このクマ、柵の中をグルグル周ってはじっこに着いたら、おもむろに壁づたいに立ち上がり、首をグルグル回すのだ。
ずっと見ていても、それしかやらないし、立ち止まったかと思うと、うんこの臭いをブフーブフー嗅いだりする。
気が触れている…。
「こんな狭い柵の中で飼われてたからおかしくなっちゃたんだね」
と同情しながらも、ぼくらは爆笑した。
グルグル周って首を回してうんこを嗅ぐ。
楽しくないわけがない。
こいつを実習に使うことにした。
結果、5分間で10回周り、29回首を回したことがわかった。
単純計算によると、1時間に120回周り、348回首を回している。
ここまでになると、気が触れているのではなくて、何らかの儀式ではないかとも思えてくる。
もしかしたら、異次元からバハムートとかオーディーンを召喚して、人間を一瞬で絶滅させるつもりなのかもしれない、とも思ったが、うんこをブフーブフー言わせながら嗅ぐようではそれも無理だろう。
だが上手くいけば、奈良県の引越しババアくらいは召喚できて、もう少し広い檻に引越し出来るかもしれないと思った。
「引っ越ーし!引っ越ーし!さっさと引っ越ーし!しばくぞ!」
んなわけない。
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