サラ☆の物語な毎日とハル文庫

上野公園・東京都美術館で「ゴッホ展」を見てきた

 

@サラ☆

 

金曜の夕方。

もう秋も深まってきたので、夕暮れも早い。

そんななか、上野公園の都美術館に

「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」を見に行った。

(金曜は夜8時までやっている。)

 

去年、原田マハさんの『ゴッホのあしおと』を読み、

ヤフーニュースにはゴッホについての記事が連載されたこともあり

けっこうハマっていた。

それについては、こちらの記事を

それとこちらも。よかったら

なのでとても楽しみにしていた展覧会。

 

内容としては、個人収集家ヘレーネ・クレラー=ミュラーが集めた

ゴッホ作品のコレクションのなかから、

油彩画28展と素描・版画20点を展示するというもの。

(ルノワールやルドンの作品も含まれる。)

 

それから、ファン・ゴッホ美術館からも《黄色い家》を含む4点が

借りだされ、展示されている。

 

原田マハさんは、ゴッホは怪物ではあっても「天才ではない」と言っている。

「ゴッホは自分を鼓舞する努力もしているし、書き続ける努力もしている。

努力家なのです。」

 

原田マハさんが考える天才とはピカソ。

「自分が意図していなくても、そっちのほうに行ってしまうのが天才です。」

 

これには異論があるゾ。

天才の解釈が、あまりに一通りだと思う。

いろんなタイプの天才がいていい。

天才とは、天が与えた才能。

神様が介在しているとしか思えない才能のことを言うのだと思う。

 

挫折しても、何があっても、努力し続けられるのも才能。

一つのことにずっとこだわり続けられるのも才能。

そういう才能を持っている人はたくさんいるけれど、

人々を納得させる確かな結果を出せる人はそう多くはない。

 

さらに、世界で認められ、死後130年たっても、

愛され続けている絵をかける画家は、

たくさんいるわけじゃない。

ゴッホはピカソじゃないからといって、

天才とは呼べないって……、どうよ、と思ったり。

好き好きの話になってくるんじゃないかなー、とか思ったり。

(展覧会でゴッホの絵を直に見たけれど、まぎれもなく天才。)

 

↑ グッズコーナーで手に入れた《黄色い家》の絵のnoteと絵葉書。

 

そんなことよりも、《黄色い家》の前で足が止まった。

この黄色い家で、ゴッホは仲間とともに美術の潮流をつくりたいと

夢を描いたのだ。

たとえば赤塚不二夫たち漫画家の卵がときわ荘に住み着いて

切磋琢磨しあったように。

 

そこでゴッホはいろんな人に呼びかけ、手紙を書いたのだけど

それに応じてやってきたのはゴーギャンただひとり。

そして、黄色い家でつかのまの共同生活。

 

個性の強い2人がいっしょに生活していけるわけはなく、

共同生活は2か月で終止符が打たれている。

ゴーギャンが「もう君との共同生活は続けていけない」とゴッホに告げた後、

ゴッホはその現実に対応できずに、耳たぶを切ってまで阻止しようとする。

(耳切り事件というから、耳を根こそぎ切ったのかと思っていた。

それは狂気以外の何物でもないだろう、と思っていたのだけれど、

切ったのは耳たぶの先端だけだったらしい。)

 

仲間を待望していて、やっときてくれたゴーギャンが、

短期間で自分の元を去って行ってしまう。

そういう希望と喜びと、悲しみと絶望が詰まった黄色い家。

 

この絵の前で、その切なさにしばらく足が止まった。

 

ゴッホの習作時代の素描は深みがあり、すごい完成度だと思う。

《じゃがいもを食べる人々》はじめ、

そこに当時の時間もその人物の物語もそのまま描かれているような

生き生きとしたものだ。

 

油彩画は、実際に目の前でみると、かすかに盛り上った絵の具が

流れるようにうねり、

力強く命の輝きを描いているようにみえる。

その輝きは透明で、喜びすら感じられる。

本人は性格、性質ゆえに悲しみや絶望にかられることが多かったと思うけれど

それでも、そういう絵を描いたところがすばらしい。

見ていて静かな幸せをわけてもらえるような気がする。

そんなことを思ったゴッホ展だった。

 

 

上野公園は、人々が行きかい、賑わいを少しずつ取り戻してきているよう。

夜なので、ライトアップされたスカイツリーも遠くに見え、

動物園の入り口あたりはちょっとしたプロジェクションマッピングがほどこされ

久しぶりに、華やいだ気分に浸れました。

↑ 上野駅に設置されたクリスマスツリー。

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