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サラ☆の物語な毎日とハル文庫

『食堂かたつむり』は美味しい

びっくりするような小説が、日本でも生まれるようになったのだな、という感慨がこみ上げてくる本。

これまでにも料理人の映画が何本もあったけれど、小説となると、出会ったことがない。
しかも、日本の田舎の話。
どこなんだろう。
東京の大きなバスターミナルから、深夜高速バスにのって早朝に着き、さらにマイクロバスに揺られていく距離。
山間のひなびた村。
東北のほうか、それとも中部・近畿、あるいは中国地方?
冬は雪と氷に覆われるみたいだから、中部地方どまりかな、などと考えます。
山の食材のほかに、海の食材もそう遠くない地元で手に入るみたいだから、もしかしたら山陰のほうかもしれませんね。

とにかく、その山間の村の引っ込んだ場所に開店したのが食堂かたつむり。
その間の諸事情は、本を読んでください。

食材調達からはじまる料理のシーンが、たおやかで、たまらなく美味しそう。
1日一組のお客に、さまざまなメニューが提供されるのだけど、その料理の一つ1つを、「食べてみたい」と思わせる筆力はすごいです。

始まりから最後まで、描写のみずみずしさは変わらず、ちょっと立ち止まって、人生のスピードをスローギアにしてみようと思わせてくれる本。

小川糸さん。
新しい才能が生まれたな、と嬉しくなってしまいます。
(本はポプラ社から出ています。)
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