サラ☆の物語な毎日とハル文庫

「村上さんのところ」が7月末に出版される

村上春樹のサイト「村上さんのところ」(村上春樹が読者の質問に答えるもの)は、結局すごく面白かった。

 

優れた作家は、言葉のなかに思索と智恵を、

平易な表現のなかに、人として生きるための確固たる価値観を織りまぜるものなのだ。

そうしようと意図しなくても、物を語るうちに、自然とそうなっていく。

穴掘りにも似た言葉へのアプローチをいつもしているから、気楽な文章の中にも、納得できる言葉と智恵が垣間見られる。

 

たとえば…

 

「頑張ってね」という言葉の変わりに「うまくいくといいですね」を使うことにする、という読者に対して、村上春樹はこんな風に答えている。

 

★がんばってください、というのは決して禁句ではないと思いますよ。「がんばってほしい」という気持ちが相手に通じればそれで良いのであって、言葉を単体として取り上げる言葉狩りみたいなのは、あまり健全なことではないだろうと僕は思います。もちろんケース・バイ・ケースで使わない方がよいこともありますが、でも言葉そのものを目の敵にして、「白か黒か」で裁いていくのはちょっと違うんじゃないか、と。いちばん大事なのは、人の気持ちですよね。それを忘れてはいけないと思うんですが。

 

平易な文章だけど、心にストンと落ちる。

人としてあるべき姿は「ここら辺のラインかな」と納得する。

変な自意識もなく、肩にチカラも入らず、表現者として語るべきことを語っている。

村上春樹のサイト、けっこうすごかったなと思うわけだ。

 

ちなみに「村上さんのところ」は単行本として出版されるらしい。

アマゾンでは、7月末の発売予定にもかかわらず、ベストセラー・ランキングで今日のところ43位だ。

サイトに載った3000問以上もの質疑応答のなかから、500問ぐらいを村上春樹自身が選ぶそうだから、軽妙洒脱で面白く、なかなか含蓄深い本になるのではないかと予想される。

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