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Journal de Tsurezure

雑多な日常、呟き、小説もUPするかもしれません。

『お土産と、余計なお世話』

2025-04-01 09:02:28 | 二次創作

本屋デートは無事に終わった。  
楽しそうに「また行きましょうね」と笑う美也の横顔が、午後の陽射しよりも眩しく見えた。

太陽が黄色く見えるのは――そう、たぶん寝不足のせいだ。  
夜中に何度も「何か言いすぎてないか」「近すぎたか」と反省会を開催し、朝を迎えていたから。

「お土産です、修二さん♡」

美也がそっと差し出したのは、可愛らしい動物と景色の描かれたカラーの絵葉書。  
裏には、作家らしいアーティストの直筆のサインが入っている。

「これ……君が選んで?」

「はい。甘い物は……もしかして遠慮されるかと思って」

一瞬、胸の奥がじんわり熱くなる。  
ああ、気を遣わせてしまったのか。自分のために、こんなものを。

だがその直後、美也がもうひとつ、紙袋を差し出した。

「それと、こちらは――智久さんからです」

「……は?」

紙袋を開けた修二の手が、ピタリと止まった。  
中にあったのは、どこからどう見ても、健康志向・脂質制限・糖質カットのスーパーダイエット三点セット。

──カロリミット、プロテインバー、そして「置き換え雑炊」。

「……捨てていいか?」

「だ、ダメですよ!智久さん、一生懸命選んでたんです。『これが修二さんの未来を救う』って!」

「いらん未来だわッ!」

思わず袋を床に叩きつけそうになりながら、修二は内心で誓った。

(絶対に次のデートでは、腕の一本くらい組ませてもらう。チョコレートだって受け取ってもらう。そして……ダイエット食品を押し返す!)

 


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