樋尾真澄&美保ピアノリサイタル

2012-07-06 01:25:07 | 音楽(音楽動画・コンサート・オペラ) 

  

 

  こんにちは。日本全国、よく降りますね。お元気でしょうか。

  梅雨の晴れ間の7月2日、ルーテル市ヶ谷ホールで行われた≪樋尾真澄&美保

  ピアノデュオリサイタル≫に行ってきました。

  

                

 

  市ヶ谷駅の外に出ますと、お堀のほうから爽やかな一陣の風が吹いてきて蒸し暑

  さもしばし忘れる清々しい夕暮れどき。

  駅にほど近いルーテル市ヶ谷というキリスト教会の礼拝堂で開催されました。

  今回、ピアノの連弾をなさる樋尾真澄さんと美保さんはご夫婦です。

  お二人はウィーン在住で、ヨーロッパを拠点に演奏活動をなさっています。

  わたしは奥さまの美保さんと多少の面識があり、日本で演奏をなさるときには是非

  ご連絡くださいとお願いしていたのでした。

  一台のピアノを二人で弾く、本格的な連弾はまだ聴いたことがありませんでしたの

  で、興味津々ワクワクで開演を待ちました。   

  ご夫妻は写真のようにピアノの前に並んで座り、息もぴったりの連弾。

  いわば四つの手によるピアノ演奏ですけど、これが想像以上にスケールの大きな

  演奏でしたので、リサイタルが終わったときにはオーケストラのコンサートを聴いた

  のと同じくらいのボリューム感が残り、こういうものなのか・・と驚きでした。

  美保さんが演奏会のプロローグで、「では、バッハからガーシュインまでの演奏を

  お楽しみください」と仰ったように、時代的にも幅の広い曲目が並んでいます。

   

               プログラム 

       バッハ     主よ、人の望みよ喜びよ

       バッハ     フルートソナタ 変ホ長調 BWV(作品)1031

                第1楽章 : アレグロ・モデラート

                第2楽章 : シチリアーナ

                第3楽章 : アレグロ

       ヨハンシュトラウス    こうもり序曲

       ブラームス         ハンガリー舞曲  第1番  第5番  第6番

                 ~ 休憩 ~

       ヒンデミット    交響曲≪画家マチス≫ 

                  第1楽章 : 天使の合奏

                  第2楽章 : 埋葬

                  第3楽章 : 聖アントニウスの試練

       ガーシュイン    ラプソディー・イン・ブルー

 

  バッハの≪フルートソナタ≫はフルートを使わずに、なんと、袴姿で登場なさった

  青木康晴さんの尺八とご夫妻のピアノデュオの共演でした。

  尺八が遜色なくフルートと同じように演奏されていましたので、驚いてしまいました。

  フルートは横笛、尺八は縦笛ですので楽器の構造もかなり違うはずですし・・帰っ

  てから調べますと、バッハのバロック音楽の時代にはフルートは木管の縦笛だった

  そうなのです。

  フルートと尺八は同じエアリード楽器であり、よく似ている、とありました。

  とはいえ、尺八で西洋のクラシック曲を吹くのは相当高度な技術なのでしょう。  

  とくに第2楽章の≪シチリアーナ≫は、ピアノのなかに尺八のサビの効いた音色

  が忍びこんできて、フルートの代役などではなく、尺八だからこそ出せるような面白

  い効果が出ており、わたしはこのシチリアーナという曲が好きですので、思わぬ演

  奏のプレゼントに、ラッキー 

  一曲目の≪主よ、人の望みよ喜びよ≫も、キリスト教の礼拝堂で聴いたのは初

  めてだったのですけど、大きなコンサートホールでオーケストラの演奏などで聴くの

  とはまた違った趣きがあります。

  また、お二人がとても大切にこの曲を弾いてくださったので、嬉しかったです。

  気持ちが洗われるようないい曲ですので、未経験のかたはYouTubeなどで是非

  一度お聴きになってみてください。きっと好きな曲になることでしょう。  

  プログラムはどれも比較的ポピュラーな曲ばかりでしたけど、一曲だけ未知の曲

  がありました。

  ヒンデミット作曲の交響曲≪画家マチス≫です。 

  1895年~1963年のドイツの作曲家で、最初にオペラ≪画家マチス≫を発表

  したところ、ナチス政権に内容的な弾圧を受けたため、のちにオペラの中の曲を取

  リ出し、交響曲≪画家マチス≫を構成して発表したそうです。

  アメリカに亡命し、戦後戻っています。

  画家マチスは有名なアンリ・マチスではなく、別人のマチスという画家。

  現代音楽のようでした。

  真澄さんの解説によりますと(一曲づつ解説が入りました)、あまり演奏されること

  がない曲なのだそうです。

  貴重な一曲です。  

  このプログラムの主役はこの曲なのかもしれない、と聴きながら思ったことでした。

  演奏会で、知っている曲が入っていますと、知人にばったり出会ったように嬉しい

  ものですけど、でも、知られていない曲にも是非会いたいものです。

  今夜のコースメニューの最後は、ガーシュインの≪ラプソディー・イン・ブルー≫。

  ≪のだめカンタービレ≫で、のだめがマングースの着ぐるみを着て舞台でピア二

  カを演奏したときのあの曲。 ご存知のかたも多いことでしょう。

  アンコール曲は、青木康晴さんの尺八も入って≪カフェ1930≫と≪リベル・タ

  ンゴ≫。

  ≪カフェ1930≫は初めて会った曲で、以後お知り合いになって。(笑)

 

   盛りだくさんの曲と濃い演奏を聴きながら、こちらの気分も次第にハイに。

  全曲の中では、わたしは≪ハンガリー舞曲≫が最も印象に残りました。

  ロマ民族(ジプシー)のけだるさ、やりきれなさ、またハチャメチャな情熱などが感

  じられ、多くを語りかけてくるような演奏でした。

  美保さんが弾いていらした、笛のように綺麗な高音の旋律も耳に残っています。

  どの曲でしたか、お二人がピアノでお喋りをしているような感じを受けたり、一人

  で弾くピアノ曲とはずいぶん違うものでした。

  お二人はほんとうに仲の良いご夫婦です。    

  初めての経験がいくつも重なって、愉しい心の旅に出たひとときでした。

 

   今後、お二人は発表されたCDのプレゼンテーションを兼ねて、イタリアの5都

  市とウィーンを回ってリサイタルを続けてゆかれるそうです。

  ご挨拶を済ませて外に出たものの、まだ演奏の余韻が残っていて電車に乗る気に

  なれず、外堀沿いのコーヒーショップで一人コーヒーを飲んで、帰路に着きました。

 

                            

  

  

  

  

  

  


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