モスクワのニュース

2010-08-22 18:09:15 | 日記

    MARIKOのひとりごとでッす


わたしが風邪を引いたのではありません。


今日(22日)の天気予報を見ると、モスクワの気温がようやく下がってきて、例年通り最高気温で

20度、最低気温で11度にまで落ちてきた。

思わず、よかった、よかった

実はモスクワはこの夏、例年になく30度以上の猛暑がひと月以上も続いていたという。

テレビニュースで、暑さに困っている市民たちを報道していた。

その程度なら・・日本なんか37度、38度はざらにあるし。



ところがモスクワには冷房が無い。このことを知っている人は意外に少ない。

ビルにも民家にも、だからもちろんお店にもレストランにもホテルにも。

というのも例年の夏は涼しくて、たとえ猛暑の日があっても一週間くらいで収まるのだそうだ。

「一週間ダケ我慢デキマス」と、モスクワの人から聞いたことがある。

なので、冷房設備を付ける必要がないのだという。

ところが今年、異変がやってきた。

130年ぶりの猛暑だそうだ。

なのに、ニュースでは暑さに耐えている市民の姿は映したけれど、冷房が無いということを

最後まで言わなかった。

事実は、冷房の無い猛暑の毎日なんだけど。


その上モスクワでは、悪いことが重なった。

郊外に森林火災が起こって、大阪府ほどの面積が燃えているという。

8月19日のニュースで放映していたから、たぶん今も燃え続けているだろう。

一日300箇所ほど消火しているがそれと同じくらい新たに飛び火してゆくのだそうだ。

街じゅう煙と大気汚染がひどくて、市民は暑いなかをマスクをして外出していた。

そのマスクも不足しており、お一人様20枚までしかお売りできません、とか。

酸素カクテルが飛ぶように売れているという。

店員がグラスにジュースを注いで、酸素をびゃーッと入れた。

「これを飲むと呼吸が楽になるんだ」と、若い男性が言った。

それって、かなり深刻じゃないの?

主婦たちが昼間、煙を逃れて映画館へ行っていた。

市が、せめてもの煙対策のためにと映画の無料解放をしているという。

「家に帰ったらまた煙が・・」と、主婦が苦笑して言った。

思いっきり窓を開けて扇風機を回したいところでしょうに、窓も開けられない。

想像してみるに、これはかなり辛い。

締め切った部屋で扇風機を回し続けたら・・熱風を回しているようなものじゃない。

わたしなどは今年の猛暑、冷房が無くては夏に死ぬだろうと思ったほどだ。

それほど冷房のある夏が当然になってしまっている

モスクワの人たちは涼しい夏が当然なのだから、その落差や如何に。

いや~、これって、思ったよりサバイバルな体験。

わたしたちの上にもいつ、どんなサバイバルな災難が襲ってくるかわからないのだ。

そんなときの心の持ちようだけは、用意しておかなければ・・と思った。

身につまされる。


それにしても、冷房の無いことを伝えずに暑さと大気汚染に苦しんでいるモスクワ市民の現状を

報道する、その報道神経を疑う。

それでは窮状を半分しか伝えたことにならない。

嘘は伝えていないけど、ほんとうのことも伝えていないのだ。

視聴者はたぶん、自分達と同じように冷房な生活をしながら煙を我慢しているモスクワ市民を想像

してテレビを見ていたことだろう。


何故、無いということをを報道しなかったのか・・。

モスクワで取材したレポーターが、それを知らない筈はない。

ご本人だって暑かったのでしょうから。

「いつもなら冷房が無くても過ごせるほどの気温なので取り付けていないのです」と一言付け加えれば

済むことなのに・・そのほうが現状詳しくて、レポートの価値もあがるでしょうに。

あるいはレポーターはそう言っていたのに、日本の局にいる編集者が必要ないと判断してカットしたか・・

報道した側の理由をあれこれ想像してみたがヒットするものがなかった。

あまり深くも考えないで(たいして深くもないのだけど)現象だけを取材してきたのかしらん。


このように、ニュースって結構いい加減なものがあるので驚かされる。

特に統計を使って説明するニュース、世論調査、へんてこりんなものが多い。

世論調査などは、権威あるといわれている新聞やテレビニュースでも、おかしな質問の仕方をして

いるな・・と首をかしげることがある。世論を誘導しているのかしらん、と思うこともたびたび。
 
これだってさる権威あるニュース番組の話である。


それにしても、ようやく例年どおりに気温が下がり、ホッとしている知人の顔が目に浮かぶようだ。

安心して窓を閉めていることだろう。



 


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