思い出の一枚・・サンタルチア

2012-05-11 23:42:53 | 音楽(音楽動画・コンサート・オペラ) 

 

 

  こんにちは 

 

  日常の生活を送っているなかで、何の脈絡もなく突然記憶にフラッシュ・バックしてくる、

  過去の風景、人、場面など・・

  そして我知らず、その時の思い出にふけってしまう・・きっと誰にもそんな時があること

    でしょう。

  ブログの中で、そんなふうに一枚の写真を取り上げてみたいと以前から考えていました。

  これから時々、強く思い出に残っている一枚をアップしてお話したいと思います。 

   

  第一回目≪思い出の一枚≫は、この風景です。

 

 

    

  これは、イタリア南西部のナポリ湾にあるサンタルチア港の波止場です。

  正面に見える山は≪フニクリ・フニクラ≫という歌にも歌われているヴェスヴィオ火山。

  ヴェスヴィオ火山の噴火の灰に埋もれてしまったポンペイの街の遺跡を観光した帰り道、

  喧噪のナポリを走るバスの中から目にした風景です。 

  もどかしくカメラのシャッターを押しました。

  学校で習ったあのナポリ民謡の≪サンタルチア≫!

  胸が躍り、一瞬にして目に焼き付いてしまいました。

  港の先には、遥か彼方まで青い地中海が午後の陽射しを反射して光っています。

  海に沢山の白い船が停泊していて、とても美しい港でした。

  船のマストが林立していますので、ヨット・ハーバーになっているのでしょう。

  サンタルチアはナポリのなかの一地区です。

  驚いたことにわたしはもう何十年も、歌詞の中に出てくるサンタルチアというのは、例え

  ば「美しき月の光よ」などといった月への賛美の言葉だとばかり思い込んでいたのです。

  でも、それは大間違いでサンタルチアは何のことはない、単なる港の名前だったと判明 

  した瞬間でもありました。

  バスの後方に遠ざかるサンタルチアを見送りながら、やや気が抜けた気分にも。

  港の名前だったなんて・・

  後日談ですけど、帰ってから調べてみますとサンタルチアは意外に奥が深く、サンタ

  =聖なるという意味で、ルチアは3~4世紀に実在した女性の名前でした。

  ローマ帝国によるキリスト教弾圧の時代に、信仰に生涯を捧げていた美しい人だったそう

  で、求婚を断られた男の密告によって捕えられ、帝王よりもキリストをとったために、両眼

  をくり抜くという残虐な処刑を受けて殺されたという伝説の人。

  聖女ルチアという意味ですので、サンタ・ルチア。

  彼女は闇を照らす光、ナポリの守護聖女と言われていることから、歌詞のサンタ・ルチア

  は聖女ルチアのことだという説と、サンタルチア港のことだという説に別れるそうです。  

  学校で習った歌詞(一番)は・・   

  ♪ 月は高く  空に照り  風も絶え  波もなし  来よや友よ  船は待てり  サンタ

  ルチア  サンタルチア♪

  でしたが、原詞の出だしに月という単語はなく、正しくは、Sur mare  luccica(輝く海の

  上には) I’astro  d'argento(銀の星)。

  月と星ではイメージがずいぶん違いますね。 

  月は高く 空に照り は、誤訳といって悪ければ、意訳のし過ぎということでしょうか。

  たしかに日本語詞に移しにくい歌詞かもしれません。

  イタリア語詞を訳したものを読みますと、船頭さんが星降る夜、海の舟遊びに誘っている

  という、詩情豊かな内容でした。

  最後にYouTubeから歌を載せました。ナポリの観光スポットを巡っている動画付きですの 

  で、よろしければお聴きになってください。

  

     
            その時、もう一枚撮ったサンタルチア港

 

        
            遠くにサンタルチアを臨む。ナポリ湾とヴェスヴィオ火山。

 

  長く時間をかけて観光して回ったポンペイなどよりも、バスの窓から垣間見ただけのあの

  明るく白いサンタ・ルチア港のほうが、何故かいまだに強く思い出に残っているのです。

 

       
                (http://youtu.be/mVJJd0NNkYE)
        (表紙はナポリ湾の一部。手前にある港がサンタルチア港です。) 

     

 

                                

 

 

  

 

 

  


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