私たちの環境

今地球の環境がどうなっているかを
学んでいきます。

管理人 まりあっち

PCPは新枯葉剤?

2006-02-13 19:16:42 | Weblog
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
     世界の環境ホットニュース[GEN] 559号 05年02月03日
     発行:別処珠樹【転載歓迎】意見・投稿 → ende23@msn.com     
           沖縄の化学兵器(第12回)        
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 沖縄の化学兵器                      原田 和明

第12回 PCPは新枯葉剤?

ベトナム戦争で使われた化学兵器のひとつに、ダイオキシンを含む枯葉剤が上げ
られます。ベトナムの人々だけでなく、参戦国の兵士にも発ガン、奇形児誕生と
いった悲劇を生み続けています。その成分は245Tと24Dという有機塩素系
の薬剤ですが、それらが沖縄にあったという証拠は見つかっていません。その代
わり、枯葉剤の別バージョンではないかと思われる薬剤の投棄事件がありました

それはPCP(ペンタクロルフェノール)という、日本でも60年代に水田除草剤
として大量に使われていた薬剤です。

沖プライ商事が琉球政府に相談もしないまま米軍から百トンものPCPの払い下
げを受け、津嘉山に野積みをしていました。70年 6月に穴を掘って埋めたのです
が、国場川を汚染、たちまち魚の大量死という結果を生みました。71年 5月には
北谷村の埋め立て地にドラム缶百本を埋め、5月19日には 具志頭村仲座の第一精
糖のバカス(サトウキビの搾りカス)捨て揚に投棄しました。すると3日後には
たちまち小学校の子供が数人、はき気や下痢を起こし、調査の結果、水源地にP
CPが投棄されていることがわかったのです。

さらに悪いことに、これはどこかで燃やす以外にないということになって、牧港
発電所でこっそり燃やしたとのことでした(1971.12.26沖縄及び北方問題に関す
る特別委員会)。有機塩素系の薬剤を燃やしたのですからきっと大量のダイオキ
シンが発生したことでしょう。

小平芳平(公明党)は「米軍は一体何のためにこのような大量の除草剤に使われ
ているPCPを沖繩へ持ち込んだのか。安保体制下においては日本のどこへでも
こういうものを持ち込むことができるのかどうか。それができるならば、このよ
うな重大事故が次から次へ発生する可能性が沖繩にも本土にも残されているとい
うことになるのですが、いかがでしょう。」と政府に詰め寄りました。

防衛庁長官・江崎真澄は毒ガスではない、基地内の除草に使ったと答弁しました
が、基地が縮小されたわけでもないのになぜ百トンもの除草剤が不要になったの
かと重ねて質問されると、今度は木材防腐剤にも使ったと聞いていると答弁、誰
から説明を受けたのかと聞かれると、大体の見当だと答え、小平に「防衛庁長官
はデタラメを言っているだけだ」と一蹴されています。

小平は次のように畳み掛け、佐藤栄作首相の見解を質しました。「除草や防腐剤
に使う範囲ならともかく、百トンも現に余っている。それを何も知らない民間に
渡して、民間企業も迷惑な話だ。それを受け取ったはいいけれども、缶が腐って
流れ出す、被害が発生する、そんなことが今後日本の基地のどこででも行なわれ
る可能性があるんですか、ないんですか。核兵器はもちろん困るし、毒ガスも困
りますが、現にPCPの場合は、沖繩で、もうこれから、はかり知れない被害、
あとどれだけ被害が発生するか見当もつかないようなことを巻き起こしているわ
けです。将来これに対する沖繩県民はもとより、日本の国全体としてのあり方に
ついてお尋ねしたい。」

このときです。「枯れ葉作戦用としてベトナムで使っておるのだよ、ベトナムで

と野次が飛びました。1960年代の代表的な水田除草剤であるPCPが枯葉剤とし
て使われていたのでしょうか?

この頃アジア最大のPCP生産工場は台湾にあった台湾苛性会社安順工場でした

この会社は1942年日本の鐘淵曹達株式會社が建設、塩酸、苛性ソーダの他、日本
海軍が毒ガスも生産していました。戦後台湾政府が改修して操業を再開したので
す。台湾苛性会社は1964年にPCPの製造に成功、1969年には当時アジア太平洋
地域では最大規模と称された、生産規模 4トン/日の PCP-Na プラントを建設し
たのですが 82年6月に閉鎖されました。工場跡地からは高濃度のダイオキシンが
検出され、地元に被害が広がっています。

佐藤栄作首相は小平の追求に次のように答えました。「先ほど不規則発言ではあ
りますが、「枯葉用だ」とか、「枯葉作戦用だ」とか、こういうような声もいた
しておりましたが、しかし、いずれにしても、米軍自身が使いこなせないものを
民間に払い下げた。いくらアメリカが金があるといっても、そんなむだな使い方
はしないだろうと思いますし、私は基本的な問題が間違っておると、かようなこ
とが 次々に起こるだろうと、かように思います。そういうことが 守られないと
――お互いに信用してこそ初めて同盟条約というものは有効だ、不信を買うよう
な行為があったらこれはもう存続の意義がなくなりますから、そういう点におい
ては忌憚のない意見を当方からも言うが、これに対する応答も十分納得のいくよ
うにしてもらわなければならないと、私はかように思います。われわれがこの米
軍と取り組む態度がどうも国民から見まして日本は弱いじゃないかと、こういう
点を御指摘だろうと思いますので、そういう点については一そうわれわれも当然
要求すべきことは要求する、また納得をすればその範囲において私どもも辛抱す
べきものは辛抱いたしますけれども、しかし、いまのような点はどの点から考え
ましても理解に苦しむものでございます。」

------------------------------------------------------------------------
■ホームページ →「環境と学びのひろば」 http://www.kcn.ne.jp/~gauss/