装備一覧を見て「えっ?」と思うのがありました。
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テント6天1 キス5 地図 磁石 マップケース 天気図 ラジオ ブス2 ガソリン8ℓ …
(注:リットルの当時の表記は「 ℓ 」だった)
えっ、ガソリンを8Lも?
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当時、私たちは登山用コンロとしてブス(ホエブス625)を使っていました。ブスは故障もほとんどなく、燃料さえあればいつまでも燃えてくれる信頼できる山の道具でした。そのブスの燃料用にガソリン8Lはあまりにも多過ぎはしない?という疑問です。
あの頃、ガソリンはガスポリと呼んでいたポリタンクに入れて持ち運んでいました。ガスポリの容量は2Lでしたので、ガスポリだけで4個も持って山に入っていくことになります。
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ガスポリとブス
ブス1基が約1.3㎏ですから、ブス2基とガソリン8Lだと、それだけで10㎏になります。
もう一度行程表を見直しました。
山中4日、予備日が2日ですので、6日分の燃料ということになります。
次に、食糧計画を確認しました。
メンバー5人の、のべ12回の飯を作るようになっていました。
一人1食米1合食べるとして、1回に5合の米を炊きます。
副食はいつものカレー、シチュー、豚汁ですが、ニンジンもジャガイモも生の状態から煮る(当然)ので、それなりの燃料が必要です。
また「とにかく寒かった」という冬山なので、テントの中で暖を取るために食事作り以外にも燃焼させていたと思われます。
ホエブスのカタログも調べてみました。ブスは灯油、ガソリンどちらも使えます(ノズルの交換で)が、燃料満タン(0.6L)で燃焼時間は3.5時間と書かれています。燃料の種類、火力の大きさが記されていなかったので、カタログの値そのままというわけにはいかないと思います。
1日に、2回の飯作り(主食用、副食用にブス各1基)と、暖房で3時間燃焼させるとすると、満タンにしたブスを1日で使い切ることになります。
0.6L × 6日 × 2基 = 7.2L
天気が悪く沈殿でもすれば、日もすがらブスをつけることになるので、やはり8Lは必要という計算になりました。
自分の手元にある別の計画書も調べてみました。
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2つとも後輩のですが、Dの南アルプスパートのには「12L」と。
あと、メタ72本、プライヤー、パッキン、グリースも書かれていました。
メタは着火前に、ガソリンを気化させるための固形燃料。
プライヤー、パッキン、グリースはブスの修理用です。
もう1つの計画書は、Eの北海道パートのですが、これにはメタ100個と記載されていました。
あと、「生ゴミ用消臭剤」もありましたが、これは熊対策用だと思われます。
脊梁について調べるのが主たる目的だったのですが、先輩の約50年前の計画書を見ていて脱線してしまいました。山に持っていく燃料の多さに、当時の私たちは凄いことをしていたのだなと、あらためて思ったところです。
参考までに
メタとブス
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火のついた白色のがメタ。あの位置でメタを燃やすことで燃料のガソリンを気化させます。
パッキンとグリース
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ブスはとても頑丈なのでが、ポンプの圧がかからないなど不具合が生じたときの修理用品です。