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(注:写真は雨に濡れた庭の様子で、本文とは関係ありません。)
「高齢者」という言葉を初めて意識したのは退職した2020年のことだ。
そのころ「Go To トラベル」という旅行支援があっていた。コロナ渦ではあったが、退職の記念にどこか旅行にでもと考えた。ところが、当時の官房長官・菅義偉氏は高齢者の団体旅行の自粛を求めた。
氏は高齢者の目安について次のように述べていた。
「若者は20代以下を、高齢者は60代以上を念頭に置いている」と。
あのとき、還暦だった私は「自分は高齢者の区分か…」と、少しショックを受けた。
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翌2021年、コロナワクチンの接種が始まった。
接種の最優先は医療従事者で、次に高齢者とあり、早めに接種できると安堵した。
ところがだ、ここでは高齢者が「令和3年度中に65歳に達する昭和32年4月1日以前に生まれた方」と明確に年齢が示されたのだ。つまり65歳以上が高齢者、だと。
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そして今日の毎日新聞、「高齢者は何歳から?」というコラムが載っていた。それによると、高齢者の定義は曖昧で、提唱する団体によりいろいろな捉え方があるとのことだ。
老齢学会は「75歳以上を高齢者とすべきだ」とか、政府の経済財政諮問会議は「70歳以上でどうか」とか。もっとも後者の考えには、「70歳未満を現役世代とみなすことで、年金など社会保障制度を安定させたいという狙いも垣間見える」とのことだった。
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はたして「高齢者」は何歳からなのだろうか?
混沌としてきたので、今日は高齢者について調べてみた(雨も降っていることだし)。すると法律によって高齢者の定義が異なることが分かった。もっとも低く高齢者を定義しているのは55歳以上、逆は70歳以上だった。参考までに、世界保健機関(WHO)は、国際標準の高齢者を65歳以上と定義している。
70歳以上と高齢者を定義していたのは「道路交通法」で、高齢者は免許更新の際の講習のシステムが変わり、高齢者マークを付けるよう促している。
65歳以上を高齢者としているのは「高齢者の医療の確保に関する法律」で、65歳以上75歳未満を「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と明確に定義している。この呼称はよく耳にする。この法律によれば、私はまだ高齢者に達しない若輩者ということになる。このことは特に強調しておきたい。
ちなみに、高齢者を55歳以上としているのは「高齢者等の雇用の安定に関する法律」で、60歳以上としているのは「高齢者の住居の安定確保に関する法律」であった。
年齢で高齢者の定義をしていない法律もあった。
「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」だが、それには次のように書かれている。
「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人」
最初読んだときにはナルホドと思ったが、よくよく読んでみると「老人」の定義がなされていない。高齢者を定義するのに老人を使って良いのだろうかと疑問に思う。
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はて?
私は高齢者なのだろうか。
電車にでも乗ればすぐに若者から席を譲られるような容姿をしてはいるが…
健康保険証や運転免許証はその年になれば法律の定めに従わなければならないが、今はまだ「高齢者」という響きに抵抗を感じている自分がいる。
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さて、今日のコラムには「高齢者は『若返り』がどんどん進んでいる」ともあり、その根拠として次のことをあげている。
「日本老年学会が今月公表した報告書によると、この20年ほどで高齢者の要介護率は低下し、心臓病や脳血管疾患、骨粗しょう症など、要介護につながる病気の受診率も減った。健診などの参加者への調査では、1992~2017年で年を追うごとに歩くのが速くなったという」(毎日新聞6/24 「高齢者って何歳から?」)
これは高齢者の健康寿命が延びているということに他ならない。
来年になると健康保険証は前期高齢者となるが、気持ちは若くありたいと思っている。
そういえば今年の正月に70歳までにやりたいことのリストを作ったのだった。
少なくとも70歳までは身体も頭も健康で、現役時代にできなかった夢を追い続けたい。
鉄斎は老いてすぐれし絵を描きぬ年のはじめに思ふことこれ(吉井勇)
座右の銘にしている吉井勇の歌の一つ。
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