具体的な進路について書く前に、まず、非常に基本的なことを書きます。
あなた方は途中で死なない限り、必ず大人になります。
一生遊んで暮らせる富豪の生まれでもない限り、大人になったら最低限、自分で自分を養う程度はお金を稼ぎ続けなければなりません。
もし、結婚して子供もほしいなんて思っているなら、もっともっと稼ぎ続けなければなりません。
いつまでも、親の買った家に住み、親の買った服を着て、親の作った食事を食べ、親にお小遣いをもらうわけにいかないのです。
いつか、自分で「食っていかないと」いけないのです。
なぜこんな当たり前のことを書くかというと、こんな当たり前のことをわかっていない人がいるからです。
小中学生なら仕方ないかもしれませんね。まだピンとこないでしょう。
でも高校生以上はダメですよ。高校卒業時に選ぶ進路がダイレクトに人生にかかわってきますから。
夢があるならその夢が具体的にはどういった種類の仕事なのか、ちゃんと職業として成り立っているのか、それだけで食べていけるのか、世間に需要はあるのか、その仕事につくにはどういった学歴や経歴、能力が必要なのか、具体的に調べて、具体的に行動しなければなりません。
もちろん、その後も二十代前半くらいまでなら、まだなんとか修正可能ですけど、でも、高校卒業時に誤った進路にいくと、ぐんとその後の人生大変になってしまいますので、「自分が何をして、どうやって、食っていく」のか、真剣に考えましょう。
さてさて、そうやって「食っていく」ことを真剣に考えた場合にですね、絵や漫画という職業は、昔から「食っていけない」仕事の代表格です。
みなさんも、親に「そんなもんで食っていけるか!」と漫画家への道を反対されたこともあるのではないでしょうか。
若い皆さんの多くは「食っていけないかもしれないけど、でもなりたいんだ!」と思うことでしょう。
私もそうでしたし。
でも、「食っていけない」というのはつまり「餓死すること」です。
もちろん今の日本では、よほど運が悪くない限り、餓死することはありませんが、ホームレスや生活保護に堕ちる可能性は十分あります。
でも、そんな状況になってしまったら、当然漫画なんて描き続けられません。
画材だって買えませんし、出版社への交通費もないでしょう。
なので「食っていけないけど漫画家でいる」というのは不可能なんです。
当たり前ですよね?
でも、こんな当たり前のことを、考えない人は多いです。
考えたくないからです。
でも、考えたくないことこそ、きっちり考えないと、とりかえしがつかない年齢になってから、「なんであのときちゃんと考えておかなかったんだろう」と後悔するハメになりますので、ご注意を。
「食っていけないけど漫画家になる」というのはつまり、「自分では食っていけないから、誰か他の人に面倒みてもらいながら漫画家になる」ということなんですね。死ぬ覚悟がないならね。
その「誰か他の人」って、ほとんどの場合親ですよね。女性の場合は結婚相手ってことも多いですけど。・
「自分の面倒はどうせ親がみるんだから、自分は好きなことだけやっていたいです」と言ってるようなもんなんで、そりゃ親は反対しますよね。堂々とニート宣言するようなもんですから。
かといって、「食っていけないけど、食っていけなくなったらその場で自殺するから、漫画家になりたい」と言われても、(そんな言葉はまず嘘でしょうけど)それはそれで、親は反対するでしょう。
なので、みなさんは、親に「食っていけない」といわれたら「食っていけなくてもなりたい」なんて、考えなしの甘えたことはいわないようにしてください。
「死ぬ覚悟で食っていけるようになる!」か、
「漫画で食っていけなくても、他に食っていける道を自分でちゃんと用意しておく!」か。
この二択です。
皆さんが、漫画家を目指す場合、このどっちかちゃんと選んでください。
どっちにも覚悟もリスクもありますし、どっちも大変です。
ああ、一応・・・
「周囲の人にどれだけ迷惑かけても、とにかく自分はやりたいことしかしない。周囲の人なんか全員犠牲にしてもいいから自分の夢をかなえたい」
これはこれで覚悟の一つです。
知人に、自分のやりたいことをやるために、奥さんだけに働かせている男とかいます。奥さんは毎晩深夜まで働いています。
奥さんは子供もほしかったけど産休や育休をとったら家計がもたないため、子供とか全部あきらめたそうです。
そういうことをしてくれる人がいて、自分がそれでいいなら、そういう人生もあります。
ただ、やっぱりあまりおすすめはしたくないですね。人として推奨できる生き方ではないですし、リスクが大きすぎるので。
なので、このブログではこの選択肢には触れませんよ・・・。