ペン入れについては、はっきり言って練習あるのみです。
最初はかなり苦労すると思います。初めて使うときは多分絵どころか線一本もまともにひけないと思います。
私が初めてペンを握ったのは10歳のときでしたが、「こんなもので漫画を描くとか嘘だ」と思った記憶があります。
でも10歳なりになんだかんだで大学ノート5冊くらい両面びっちり練習したんですね。それでようやく絵らしきものが描けるようになりました。
ただ私は最後までペン入れは下手でした。ちなみに今も下手です。線が硬いんです。おまけに性格が雑なので、しょっちゅうボタ落ちするわ、手でこするわ…。修正も下手なんで、まあ大変なことになっていました。
ペン入れが苦手なのもデジタルに切り替えた理由の一つでしたね。
ただ、デジタルにしたところで、アナログ(このブログでは「デジタルではない」という意味にとらえてください)でちゃんと描けない人間がそう劇的に上手になるわけもないので、欠点はあまり変わっていません。
というわけで、具体的なアドバイスは難しいのですが、一応これも小手先的なものになりますが、コツみたいなものを書いておきます。ちなみにこれはアナログの場合ですが、デジタルもたいして変わりません。
なお、細かいペンの使い方とかコツとかは、ちゃんと「漫画の描き方基礎編」みたいな本を買ったら多分書いてあると思います。(丸投げですみません)
○漫画で使われるペンとは
シャーペンやボールペンなどと、漫画を描くのに使うペンの大きな違いは、「筆圧による線の強弱」です。
ペン先を手でいじってみましょう。ちょっと力を入れると、インクが出てくる割れ目が簡単に広がったり狭まったりします。
これで手にこめる力の強弱を、そのまま線の太さに反映させることができます。
手で線の太さを細かく調節しながら描くことによって、絵の立体感を表すことができるのです。
これが、漫画がペンで描かれている理由です。
敢えて線の強弱をつけない、平坦な絵柄の人の中には、ボールペンやミリペンでペン入れをする作家もいますが、普通の少年少女マンガなどでは難しいでしょう。
○ペン先とインク(墨汁でもいい)は新しいものを
ペン先は消耗品です。どんどん取り替えてゆきます。
そのことに思い当たらなかった私は、10歳のときのままの錆び切ったペン先を取り替えることなく初投稿作を仕上げましたが、なんかもうペンを使っている意味がないようなすごい線になっていました。(太めのボールペンみたいな線になってた)
なお、ペン先には当たり外れがあるようです。プロの作家でも、「ダメペン先」にあたるとすぐ取り替えたりしているようです。
初心者の場合、あくまで練習用なので、そんな贅沢しなくてよいですが、「ペン先にも当たりはずれがある」ことは覚えておいた方がいいと思います。
取り替える基準は人それぞれですが、最初は「書きづらくなってきたら取り替える」でいいと思います。
こうでなければならないというのはないです。
インクや墨汁も、あんまり古いものだとベタベタして書きづらいです。
購入して半年以内くらいなら大丈夫です。
最初は墨汁で練習するのが手軽といいと思います。お金に余裕があったら製図用インクも試してみるといいでしょう。乾きが早いのが長所です。
あと、練習するときは汚れてもいいような服をきて、さらに腕まくりしてくださいね。
墨汁は洗濯してもなかなか落ちないので、お母さんに怒られますよ。
○最初は線や丸から
もちろん最初から絵を描こうとしてもいいんですが、多分無理だと思います。
そういうときは無理せず、まずは線を引く練習をしてみてください。
まずは上から下へ。右利きの人は左から右へ。線を引きやすい方向というのがあると思います。
線をひきやすいように紙を動かしていいので、ペン先がひっかからないようにスムーズに線を引ける角度を探してください。
○すばやく
実際やってみればわかると思いますが、ペンでゆっくり線をひくと、ぷるぷるして線は震えるし、インクがぼたっと落ちて台無しになったりします。
これを防ぐには、軽く力をこめてすばやく線をひかなければなりません。
また、指先だけでひくのではなく、短い線は手首ごと動かして、長い線は腕ごと動かしてひくようにするといいでしょう。
すばやく力をこめて、しゃっとひくと、ぷるぷるしません!
細かい部分はどうしても指先だけでかくことになるかと思いますが、力を軽くこめてひく、軽くこめてひく、という感覚をつかむようにしてください。
こういうことをしながら、かつ下書きの線をちゃんとなぞって絵を描くというのはかなり大変だと思いますが、上で書いたように紙を描きやすいように細かく動かしたりしながら、慣れるようにがんばってください。
また、すばやくしゃっと線をひくと、どうしてもはみ出します。これはあきらめて後でホワイトで修正してください。ぷるぷるした線よりマシです。
○線の強弱で立体感を表現する
これはすみませんが、漫画を見て、やりながら覚えてもらうしかないです。
プロの漫画を見ると、線の強弱がかなり細かくついていますよね。無機物などは平坦な線で描かれていることが多いと思いますが、人物をはじめ、自然物や生物は線の強弱がついていると思います。
まあペンで絵を描くとどうしてもそうなりますが、だいたい「曲がってるところ」は太め、「まっすぐなところ」は細めになってますね。
少女マンガだと全体的に細い線ですし、少年漫画だと太めだったりします。
これは自分の絵柄や画風・作風にも係わってくるところですので、どういう線(タッチ)での絵が自分にあっているのかも考えながら、練習していってください。
○デジタルの場合
最後に、デジタルでのペン入れについて。
「ペンタブレット」という、ペン型のマウスを使います。
これはソフトの機能に大きく左右されます。私が使用しているのはコミックスタジオProです。
かなり細かく設定ができるものの、アナログのペンほど細やかなタッチが表現できるわけではありません。
とはいえ、私はもともとアナログペンの使用もたいして上手ではなかったため、たいした差は出ませんでした。
細かい、微妙なタッチで美しい作画にこだわる人の場合は、あまり向いてないかもしれません。
どうしても機械ですので、機械で設定された以上のことはできないのです。
利点としては、まず何度でも簡単にやりなおしができること(大きい!)。ボタおち・かすれなどのミスが出ないこと。修正が楽なこと。服や周囲が汚れないこと、ペン先やインクが不要、などですね。
補正機能などを使えばきれいな線をひくこともできますが、やっぱりそれなりにコツがいるので、アナログで全然ダメだった人が、デジタルになったとたんとても上手になる…というようなことは残念ながらありません。
個人的にはまずアナログのペンで練習してから、デジタルのほうがあう人はデジタルにうつった方が良いと思います。
アナログでペンの扱いになれていたら、デジタルでもそのままその技術は使えます。(上記のように機械の限界はありますが)
アナログのほうがとっつきは手軽で安上がりですし、難しい分上達が早いと思います。