進路の「美大・芸大」のところに記載していましたが、内容的にはこっちのカテゴリのような気がしたので、こちらに移動させました。
私は「漫画の専門学校」には大変否定的ですが、かといって、「とにかく何がなんでも全部独学で学べ」という考え方ではありません。
私が「独学で漫画の一本も描けない人は向いていない」というのは、技術的な話ではなく、あくまで意欲とか根性とか、そういった精神的な資質の話です。精神的資質もない人が、自分では何もせず、とにかくカネ払って学校に行こうとしていたら、「そんな人が行っても時間も金も無駄になるだけだからやめとけば」と止めたくなるって話ですね。
しかし、技術的なことについては、先生について学んだ方がいいこともあります。
私が「これはちゃんとした先生について勉強した方がいい」と思う内容は、「基礎的なデッサン」です。色彩についても学びたいなら「色彩構成」も学んでおいてよいと思います。
これらは、美大や芸大の入試項目です。つまり「美術を仕事にしようと考える人間に、最低限必要な基礎力」ということです。 これらを学びたいなら、おすすめは美大用予備校です。
(※もちろん、必須じゃありません。自分でどうしても必要だと思うなら…です。多くの漫画家さんは予備校なんかに通ったりしていません。独学で描けるならそれでかまいません。専門学校ほどでないにせよ、お金もかかることだし。)
普通の勉強の塾や予備校と同様、大手予備校もありますし、個人の画塾などもあります。自分で実際見学してみて、あうところに行くといいと思います。
漫画専門学校などより、よほど安い学費で、実用的な高レベルの授業が受けられます。予備校なので、中学や高校と並行して通いますから、本来の進路を塞ぐこともありません。また、周囲の生徒たちも美大や芸大を本気で目指す高レベルな人間であるというのも大きいです。
学校というのは、カリキュラムや講師も大切ですが、周囲の仲間から受ける刺激というのも相当に大切ですから。
少なくとも、「本気で漫画家目指してるから~」と口先で言いながら、鉛筆でキャラ絵をノートに落書きしているだけ、というレベルの友達に囲まれて、オタ話して終わるような放課後(まあ楽しいですけどね・・・)よりは、技術的な能力は身につくと思います。
なお、別に本当に美大・芸大に進む必要はありません。(進みたいなら別ですが、私は漫画家になるために美大や芸大に行く必要は特にないと思ってます。詳しくはこちら)
ただ、その場合は美大芸大を目指すわけではなく、漫画のために必要な基礎デッサン力をつけたいのだとあらかじめ先生に相談しておくといいでしょう。
1年ほど基礎を学べば、とりあえず漫画に必要なだけの基礎力はつくと思います。これ以降の本格的な受験用デッサンというのは、漫画に必要かと言われると、まあ学んで損はないだろうけど・・・・というレベルのことになると思います。デッサンのところに書いたとおりです。
あと、人体デッサンやクロッキーを中心に学びたい場合は、受験用の予備校ではなく、町のデッサン教室やカルチャー教室みたいなところの方がよいかもしれません。(受験用予備校では、あまり人間は描かないです。入試にあまり出ないのと、モデルの準備などが大変なので)
予備校に通うのが難しい中高生の方は、学校の美術の先生に個人レッスンをお願いしてみると良いと思います。美術部で学ぶのもよいでしょう。
意外と現役の中高生の方は忘れがちですが、「学校の美術の先生」はあなた方の一番身近な「美術を教えるプロ」です。
彼らのほとんどは美大・芸大出身者です。(私の中学は一時期趣味で絵を描くだけの数学教師が教えていましたが・・・)
デッサンや色彩の基礎くらいは教えられます。わざわざお金をかけて外に勉強しにでかけなくても、学費内で教えてくれます。
なぜか美術の先生を頼る前に、お金をかけて何かの学校に行きたがる人が多いですが、まずは学校の先生に相談してください。先生が協力的ならば、それで充分だと思います。先生がまったく頼りにならないなら、残念ですが外に勉強しにいきましょう。
なお、これはあくまで基礎的なデッサンなどの話です。漫画に特化した技術について人に習う場合には、おそらく一番上達するのはプロのアシスタントをすることだと思います。
どんな仕事でも、現場にまさる教室はありません。ただ、仕事なので「教えてもらう」意識だけで行くと先生にご迷惑をかけるので、もちろん自分でも「お金をもらえるレベルの仕事」ができるように、ガンガン底上げして行きましょう。