世の人々は、こんな日には何らかの贈り物を
相手に贈るというので、仕事の合間に
ちょこっと抜け出して、財布などを買っておいた。
火曜日はルーティンワークの残業がある。
責任範囲ぎりぎりで切り上げて、職場を飛び出した。
高田馬場近くに差しかかったとき
左前方から、無灯火の自転車に乗った若い女性が、
見事に真横を見ながらふらふらと進んでくるのが見えた。
危ないなぁ…
念のため、チーンとベルを鳴らして、右に大きくよけた。
なんと敵も呼吸ぴったり、大きく右に出てきやがった!!
急ブレーキ!後輪浮上!!!
右はガードレール、左はよそ見無灯火自転車!!!!
見事サンドイッチになったぼくは、
前転こそ免れたものの、左足を痛打。
―前、見てくださいよ!
痛みをこらえて、かろうじて訴えるぼく。
…はい
走り去る無灯火自転車。
見ていた歩行者の男性が歩み寄って、
「大丈夫ですか?」
―まぁ、大丈夫です。
答えながら、持って行き所を失った
怒りと理不尽を感じている、ぼく。
体は、とりあえず動く。
クロスライダーは、とりあえずチェーンが外れ、
LEDライトが壊れて消えている。
チェーンを入れなおして、ライトを分解して外れた部品を
取り付けなおして応急処置。
なにぶん夜道、破損の全容は分からない。
シフトから異音が出ているのが気になるが、走れなくはない。
手は油まみれ、左足は青あざ2箇所。
無灯火で、横見てた女の人!
ライトぐらい点けろ!!けが人置いて逃げるな!!!
そして、せめてひとことぐらい謝って欲しかった。
帰宅すると、相棒がステーキを焼いてくれていた。
ワインで乾杯、プレゼントを交換すると
相棒もまた、ぼくへのプレゼントに財布を買ってくれていた。
なんだか面白くない事件もあったけど、
それはさておき今日は結婚記念日、これからも宜しく…
